2017-06-20
■人生には良い図書館が必要だ 
長岡に帰ったついでに市役所の人があちこち案内してくれるというので、「図書館に行きたい」と言ってみた。
でも月曜日の図書館は休館日で、残念、中に入れないや、と思ったのだけど、なんとさすが市役所、裏口から入れていただけた。それだけでなく、館長さんにもご挨拶させていただくことができた。休館日に突然押しかけて申し訳ありませんでした。
僕は図書館は大事だ、という話を定期的にしてる。
長岡市には学校町という町があり、学校町1-1-1は新潟大学附属幼少中学校があり、1-2-2は市立中央図書館がある。
ここの図書館が建てられたまさにその年から僕は隣の学校に通うことになったので、図書館は学校そのものよりも思い入れが深い。
この図書館は高価な大型本が数多くあるだけでなく、難しい本や専門書なども取り揃えている。長岡市の図書館が保有する80万冊の蔵書のうち50万冊がこの中央図書館にあるそうだ。
たとえば「軍事」の棚には防衛庁防衛研究所がまとめた戦史がまとめられている。
「誰が読むんだ」と思わなくもないが、こういう本が子供でも読めるところに置いてあるところに意味がある。
数学の棚も、丁寧にジャンル分けされ、やはり子供でも読める場所にある。
このへんの本を、内容はわからないまでも。開いて、閉じる、ということを僕は繰り返して育った。
それで身についた数学もあれば、身につかなかったものもある。
僕は小学生の頃から三次元グラフィックスをプログラミングするために、このあたりの数学の本や、力学、航空力学の本などを読み漁った。もちろん最初はぜんぜんわからないわけだけど、しつこく何年も繰り返し目的意識を持って読みつづけることで3次元空間における複数の座標系の扱いをマスターすることができた。三次元空間を扱うには必須のオイラー角についても、NASAが宇宙船の位置を見失わないために使うジンバルについても、ここで学んだのだ。
ちなみにこれらの数学的疑問について、数学が専門の徳永先生(2組の担任であり僕の新設校進学に反対した人間の一人だ)は全く答えてくれなかった。たぶん今でも基底変換や四元数についてなにも知らないに違いない。相異なる3つの素数単位からなる複素数を僕が使いこなす日があるとは想像もできなかっただろう。
僕がこの手の本を借りようとすると、司書のおじさんが「ぼうや、君はプログラミングができるのかい?」と聞いてきて、そうだと答えると「この本も読むといい」と色々な本を教えてくれた。
プログラミングだけでなく、図書館は自分の教養を広めるのに役立った。
写真やデザイン、美術の本は先輩たちと一緒に広げて、しばしばデ・キリコに代表されるシュール・レアリズムの魅力に取り憑かれた。
他にもタイポグラフィやレイアウトなど、デザインの基礎になる本は見ているだけで楽しくて、たぶん僕がいまでもチラシやポスターを自分で作ったり、フォントや色や形に拘ったりするのはこの時の影響が強く残っているからだろう。
大好きだったレーザーディスクのコーナーは時代の流れとともになくなり、今はDVDのコーナーになっていた。それは少し残念ではあったけれども、プロジェクトXが全巻揃っていて、今の子供はそれはそれでやはり幸せだ、と思った。
思わずここに入り浸ってプロジェクトXを片っ端から見たい、という欲望にかられたが、地域の子どもたちの手前、大人げないので自分で買うことにしよう。高いんだよな。
昨日初めて知ったのだが、僕の本は3Fの永久保存書架に収蔵されているらしい。僕の本の中でこの長岡の図書館が出て来る場面があって、それに感動した司書の方が収蔵してくださったそうだ。かつての問題児が、まったく名誉なことであり、なんだか申し訳ない気分になった。
やはり中学の頃の自分を思い出すと、周囲からみたらアタマがおかしいと思われても仕方なかったかもしれない。
一昨日も同窓会だったので、たまたま仕事で来ていたうちの社員も(どうせ単なる飲み会だから)同窓会の二次会に飛び入り参加したのだが、僕がいない間にかつてのクラスメートから「紙一重の、どっちかっていうとバカの方だと思っていた」と明かされたそうだ。
確かに校舎の窓ガラスを割ってしまったことが何回かある。一回はガラスの向こう側にいる虫を殺そうと思って窓ガラスをキックしたら割れ、もう一回は、たしか音楽祭の実行委員になったときで、急いで体育館に行こうとしたら格子入りのガラス扉を体ごと突き破って血まみれになったことがある。
他にもボールでガラスを割ったりとか、うーん、他にもいろいろあったのかもしれない。
そのあと、尾崎豊の「卒業」という曲を知って、「ああ、そういうことか」と思ったのだけど、今思うとたぶん違う。その頃はガラスの値段とかを考えたことがなくて、とりあえず壊してもなんとかなるだろうと漠然と思っていたのだ。その考えそのものは(自分以外の環境を無視すれば)たしかに論理的には間違ってはいなかったが、
倫理的には間違っていた。AIも、ちゃんと育てないとこういう過ちを侵す可能性はある。僕がAI脅威論について
ほんの少しだけ同意できるのはこういうケースだけだ。
あるときは勝手にガマン大会というのを企画してあちこちにポスターを貼って、実際にやったこともある。別に文化祭の出し物とかなにか特別なことがあったわけじゃなくて、単に見たこともないガマン大会というのをやってみたくなったのだ。
たぶん実際に参加した人も覚えてないと思うけど、踏み台昇降を1時間くらいやるとか、できるだけ息を止めるとか、同級生が意味のないことにエネルギーを使う場面を撮影して笑い転げた。撮影したビデオは、特に何にも使わず上映することもなく、撮影する行為そのものを楽しんだ。まあ確かに少しおかしかったかもしれない。
女子と放送室でアダルトビデオを見ている姿を、間違って放送したこともある。ご丁寧にワイプで見てる表情まで映し出した。まあそのタイミングでうっかりテレビを付けなければわからなかったはずだが、体育の先生にはバレてあとでこっそり「面白すぎるから次からはバレないようにやれ」と言われた。いい先生だった。
僕の悪事はともかく、この頃の僕は小学校の頃からずっとやりたかった放送委員についになることができて(放送委員は人気でいつもじゃんけんに負けていた)、コンピュータグラフィックスやビデオ編集上のトリックを駆使して毎月いろんなイタズラをした番組を作った。
このとき役立ったのがやはり図書館だった。なぜなら図書館にはその手の本も揃っていたからだ。カメラワーク、編集、特撮、シナリオ作り、などなど、映像に関する指南書がレーザーディスクでも本でも山ほど置いてあり、そこに書いてあるテクニックを僕は月替りで試しては笑い転げていた。
そこで教育に必要なものが、少なくとも僕個人の成長過程のなかで図書館と学校の果たした役割が両輪であると見えてくる。
ひとつは、ミニ社会としての学校があり、クラスメートがいること。もう一つは、多様な興味を育てる環境としての図書館があるということ、東京に来てみて、あまりにも多くの人が美術に無関心で驚いた。先日、久しぶりに会った中学の同級生とデートしたときは、当たり前のように美術館めぐりを楽しめたのに。そして、子供扱いしないこと。東京の図書館の多くは、専門書を置いてない。これにもびっくりした。お小遣いで買えないような高価な本が誰でも好きなだけ読めることが図書館の価値なのに。そして最後に、表現手段があること。僕の場合はカメラとビデオデッキとコンピュータだった。壁新聞を勝手に書いたこともある。
表現することは大事だ。知識は本を読んだだけでは身につかない。それを使って具体的になにかを表現することで初めて自分の力になる。その機能は本来は学校が持っているべきだ。
アメリカで向こうの社長とケンカして日本に帰ってきて、金も住む場所もなく、仕方なく実家に戻った時に真っ先に行ったのも中央図書館だった。
僕にとっては知識の出発点であり、迷ったら図書館に行く。
人生の絶対座標(0,0,0)がここだからだ。
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