2017年6月19日、慰安婦問題をめぐる日韓合意に基づき韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」による元慰安婦の支援事業が、文在寅(ムン・ジェイン)政権発足以降、中断していることが分かった。韓国・毎日経済はこれについて、合意の「受け入れ不可」を事実上表明した文政権が、「合意の再交渉準備に着手したものと分析できる」と伝えている。
韓国女性家族部がこのほど明らかにした財団の予算執行履歴によると、元慰安婦の生存者や遺族に日本の拠出金10億円から支払われる「癒やし金」は、先月2日に生存者1人への支払いが行われたのを最後に、支払いに関する議決が行われていないことが分かった。これは、今年初めまで財団や外交部・女性家族部関係者らが元慰安婦らに直接会い、支援金受領の説得に当たっていた動きとは明らかに異なるという。匿名を求めた財団理事の一人は、「現政権が慰安婦合意の全面的再検討を考慮している状況で、財団事業を進めることは現実的に不可能だ」と吐露した。
女性家族部によると、財団がこれまで元慰安婦の生存者32人と遺族31人に受け渡した支援金は37億6200万ウォン(約3億6800万円)、これに財団運営費として使われた2億2000万ウォン(約2200万円)余りを加えると、日本の拠出金10億円(108億ウォン)のうちまだ半分以上の68億ウォン(約6億6600万円)が残っている計算だ。
これについてある外交消息筋は「生存者のうち支援金受け取りに応じた人への受け渡しは完了し、遺族168人に対する受け渡しは個人情報保護法で住所が分からないケースが多く難航している」と説明、「財団事業が中断したわけではない」と釈明したが、毎日経済は、18日に外交部長官に任命された康京和(カン・ギョンファ)氏の発言などをみると、文政権の「合意の再交渉の方針」はほぼ確実視できる雰囲気だと伝えた。
この報道を受け、韓国のネットユーザーからは「当事者であるおばあさんたちが望んでいないんだから、再交渉は当然」「慰安婦問題は誠意ある謝罪からやり直しだ」と合意に否定的な声や、「財団はおばあさんたちに金を受け取って目をつぶれと脅迫してきた団体じゃないか」「また運営費でお金を使いそうだね。使用内訳を公開すべき」など財団の事業や存在自体に疑問を投げ掛ける声が寄せられている。
また、韓国国民にとって「当然」とも言える再交渉と事業中断を大層なことのように報じた記事について「どういう意図でこんな記事を?」「なぜ日本の味方をするんだ?狂ってる」「事業を続けなきゃいけない理由などどこにある?」と反発する声も目立った。(翻訳・編集/吉金)