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大怪獣まんだら このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2017-06-20

超獣は48人の女?

| 01:45 | 超獣は48人の女?を含むブックマーク 超獣は48人の女?のブックマークコメント

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去る6月17日、「第9回AKB48選抜総選挙」が開催された。今回の話題の中心といえば、やはり須藤凛々花の結婚宣言に他ならない。

一時期の熱はどこへやら、すっかり48グループに対する興味を失いつつあった自分も、今回ばかりは仕事の手を止めて見入ってしまった。かつての同グループの無茶苦茶さを彷彿させる須藤の宣言そのものはもちろん、即座に心にもない祝福の声を上げるメンバー、奥歯に物が挟まったような書き方で苦言を呈する高橋みなみ下品にも程がある無言のメッセージを配信する大島優子……我々オトコが思い描く“女子”を余すところなく体現するリアクションの数々にクラクラしてくる。この風! この肌触りこそ48グループよ!


どんな社会にも存在する格差、それを可視化したものが総選挙だ。今の御時世、ここまで残酷なショーも珍しいが、だからこそ地上波で特番が組まれるほどの巨大イベントへと育ったのだろう。実際、総選挙がなければ、アイドル嫌いだった自分が48グループにハマることもなかったに違いない。縁も所縁もない少女たちが、理不尽な精神的負荷をかけられることで、こちらが思いも寄らなかった反応を示す。最低だが、最高のエンターテイメントだと思う。最高だが、最低のエンターテイメントと言い換えてもいい。

当然、だから48グループが嫌いなんだというアイドルファンも少なくない。終わりのないグループ内競争に疲れ果て、もっと人数も少なくて平和な乃木坂46欅坂46に流れていったファンもいる。また、4年前に起きた峯岸みなみの坊主事件を経て、精神的負荷のひとつである恋愛禁止ルールに対して疑問を抱くファンも増えてきた。そして、今や指原莉乃は総選挙3連覇を成し遂げ、峯岸も赦され、柏木由紀に至っては禊すらなくグループに居座り続けている。外からは分からないかもしれないが、あんなルールはとっくに形骸化しているのだ。


では、どうして須藤は叩かれているのか。

まず第一に、彼女が処女性をアピールポイントのひとつにしていたことが挙げられる。つまり疑似恋愛ではなく、“ガチ恋”だと思っている若いファンを大勢連れているメンバーのひとりだったということ。しかも20位、合計31779票も獲得していたらしい。おそらく個人で数万、数十万、ひょっとしたら数百万という大金を投じて、彼女をスターダムにのし上げようとしたファンがいたのである。まあ、怒るよね。


第二に、発表の場として総選挙の壇上を選んだこと。これは火遊びじゃない、本気の恋なんだと表明することが、彼女なりの筋の通し方だったのかもしれない。「週刊文春デジタル」に動かぬ証拠を押さえられていたのだ。いずれ発表されてファンは大きく傷つくことになる。それならば、敢えて自分から嫌われてみせようという男気だったというふうに受け止めることもできる。敢えて火中の栗を拾うキリコスタイルで名前を売ってきた子だから、充分にありえる話なんじゃないか。

しかし総選挙は、彼女と彼女のファンのためだけにあるイベントではない。すべての参加メンバーにとって、一世一代の大舞台なのである。それを台無しにされたら、他のメンバーのファンやOGだって怒り狂う。人数から考えたら、こちらのベクトルで怒っているファンのほうが多いんじゃないかしら。


ただ、彼女を叩くにせよ庇うにせよ、結婚宣言にゴーサインを出した大人がいるという視点が抜けている人が多いような気がする。ひょっとするとダマテンという可能性もゼロではないが、普通に考えて「文春」対策の話し合いくらいは行われたはずである。

すなわち大島のFUCKは、少女たちに精神的負荷をかけることに慣れきってしまい、オモシロと話題性優先で動く大人たちに向けてのFUCKだったのでは? そう解釈すると、怖い怖いと騒がれている大島の見え方も変わってくるのではなかろうか。

何が言いたいのかというと、そんな簡単に誰が悪い、可哀想などと割り切れる話ではないのである。総選挙後の常とはいえ、今回も外野から門外漢が騒ぎすぎだ。それこそ運営の大人からすれば、もっと騒げもっと騒げといったところだろうが、あんまりにも一面的でトンチンカンなアイドル文化批判ばかり流れてくるもんだから呆れかえっている次第。


特に恋愛禁止ルールは人権侵害にあたるという主張は、的外れもいいところだと思う。ルールが形だけのものになりつつあることは、先ほども書いた。そもそも十代、二十代の少女とはいえ、どんなグループなのか分かったうえで入ってきているのだ。さらに世の中には芸能界でしか生きられないタイプの人間、AKB48のようなグループでなければ輝くことができない少女も確実に存在する。

かつて人権団体の善意の行動によって、多くの小人プロレスラーが活躍の場を失ったという。彼らを笑い者にするんじゃないと声を上げた人々は、“可哀想”という方便を使って、自分たちの見たくないものに蓋をしてしまったのである。どんなに残酷な世界に見えたとしても、そこで生きている者がどう感じているのか。それは当人にしか分からない。


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