先日、Twitterで「絵を描く人は幼少期に頭を強打したことがある」という説が話題になっているのを見た。
そのツイートには「私も強く打ちました!」「私もです!」というイラストレーターさんからの返信が殺到しており、かなりの説得力がある。
だが、冷静に考えるとそもそも人は、かなりの確率で幼少期に頭部を強打するのではないか?
どうしても気になるので、自分でアンケートを作った所、9000名以上の方(なんと日本国民の13000人に一人くらい!)が回答してくださったので、結果を紹介したい。
それがこちらだ。
絵を描く人の中の「頭ぶつけた率」は75%。確かに、大部分が頭をぶつけているといえるだろう。
一方、絵に関係なく全ての人の中の「頭ぶつけた率」を調べると73%。そもそも大部分の人間は幼少期に頭をぶつけがちなようである。
では、一般よりも絵を描く人の頭ぶつけ率が2%高いことで「絵と頭部強打に相関関係がある」と言えるのだろうか?
標本誤差を考えると、今回のサンプル数の場合95%の確率で1.2%以内の値になるらしいので
絵を描く人の中の「頭ぶつけた率」
73.8%~76.2%
全員の「頭ぶつけた率」
71.8%~74.2%
ということになる。
本当に僅かではあるが、絵描きの方が頭を強くぶつけている確率が高いと言えるのかもしれない。
そして本題はここから。
統計データを取ったり標本誤差を計算したりするためには、単純な無作為抽出であることが前提になっている。
わかりやすく言うと、「今回調査できた9000人と、国民1億2000万人の中には同じような比率で絵描きや頭をぶつけた人が混ざっている」ということが計算の大前提なのだ。
ところが、同じ趣味の人間でクラスタ(集団)を作っているTwitterの特性上、今回のアンケートは「巨大なイラストレーターさんがRTした瞬間、回答者が絵描きばかりになる」という現象が起きた。
最終的な投票結果は上のとおりだが、巨大なイラストレーターさんたちが次々RTしてくれる前、50RTで370票ほど集まっていた時点の結果がこれだ。
この結果を分析するとこのような感じ。
絵を描く人の中の「頭ぶつけた率」74.1%
全ての人の中の「頭ぶつけた率」77%
絵を描く人の頭ぶつけた率が逆転されているが、差は2.9%とほとんど誤差の範囲。そこで、もう少し別の観点で見てみよう。
頭ぶつけた集団の絵がかける率 51.9%
頭ぶつけず集団の絵がかける率 60.9%
こちらはかなりの差がある。
これらから言える結論は、「幼少期に頭をぶつけると、9%程度だが絵が描けなくなる割合が増える」ということなのだろう。
そもそも、「絵描きは幼い頃に頭を打っている」という調査のスタートを考えると、真逆の結論である。回答するクラスタが変化することで、ここまで結論が変わってしまうのである。
ということで、
Twitterで拡散する以上、どうしても特定のクラスタに偏ってしまい、なかなか正確な無作為抽出をするのが難しいことがわかったツイッターアンケート。
そんな中で、一つだけ確実なのは「75%くらいの人が幼少期に頭を強打している」という事実だろう。
みなさんも頭を強く打たないよう、くれぐれもお気をつけ下さい!
(まさかの結論)