ヤフーは6月19日、ExaScalerとHPCシステムズ協力のもと、スーパーコンピュータ「kukai」(クウカイ)を開発したと発表した。ディープラーニング活用に特化し、省エネ性能の高さも特徴。「GPUを使った従来の社内環境と比べ、演算処理性能が理論上約225倍になった」という。
kukaiは、スパコンの省エネ性能ランキング「GREEN500」で世界2位を獲得。処理性能も460.7TFLOPS(1秒間の演算回数)を記録した。同社は、「大規模なディープラーニング処理を短時間・低コストで行える」理由を3つ挙げる。
まずは、最先端の冷却技術「液浸」(えきしん)の採用。ファンを使った空冷と異なり、電気を通さない特殊な液体に直接ハードウェアを漬け込むことで冷却効率を高めた。
また、米NVIDIAの最新GPU「Tesla P100」を160基搭載。液浸による効率的な冷却を可能にするExaScaler独自の高密度ハードウェア実装技術を用い、GPUの効率稼働を実現したという。
機械学習の専門家である東京大学大学院の佐藤一誠講師協力のもと、機械学習によるチューニングを行い、処理効率そのものも向上させている。具体的な手法については今後発表する予定だ。
ヤフーは以前から、ディープラーニングを活用したコンテンツのパーソナライズ精度の向上を図っていた。しかし、それに適した「マシンパワー」を保有できていなかったとして、今回kukaiの開発に至ったという。
kukaiは今後、ヤフーとIDCフロンティアが共同運営する「白河データセンター」にて運用していく予定だ。
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