昨日は、父の日でしたね。
親父には日本酒を送りました。
私の親父は、真面目な男でした。ギャンブルやらない、タバコ吸わない、女遊びしない、親父は仕事が終わるとまっすぐ家に帰ってきて、仕事に関する試験の勉強をする。興味があるのは仕事と日々の晩酌。寡黙な男で、たまに話しても1か2ターンで会話が終わってしまう。親父は何が面白くて生きてるんだろうなと高校生の頃は思っていました。
そして厳格な男でした。小さい頃いたずらが過ぎると、私は柿の木に縛りつけられたり、私が小5のときウルトラマンのゴム人形を万引きしたのがバレた時もほっぺたがパンパンに腫れ上がるほど往復ビンタを食らったり、と厳格でお堅い人間。そんな父親でした。
酒を選んでいるときに親父とのエピソードを思い出しました、、、
私が高校1年か2年の頃だったと思います。私は反抗期が酷かったせいもあり、反抗期が終わっても恥ずかしさや照れがあり、家族とほのぼのとした団欒みたいなのはしない、家庭内クールな息子でした。
ある日、テレビで歌番組をみていました。コタツに入っているのは私と親父の二人。
親父は座って、私は向かい側で寝転んでみていました。
ユーミンの『リフレインが叫んでいる』が流れてきました。
すると親父は「この歌ええ歌やわー」と言いながら、いきなり「どうして、どうして、僕たちは、出会ってしまったのだろうー」の部分を歌い出しました。
親父は歌い始める前に、フとンの間の鼻歌(結構高めのキー)で前奏のシンセサイザーに合わせています。
私は(親父に好きな歌とかあったんや)とちょっと驚いていました。そして親父は歌い始めます。
のっけから「どうして」のキーが驚くほど高い方に外れています。最初の鼻歌よりもさらに上に行こうとして完全に音程を見失っています。
次の「どうして」でもキーが取り戻せません。さらに喉を絞り高音に望んでいます。
重度の音痴です。
普段は物静かで厳格な父親ですが、意気揚々と鼻歌交じりで歌い始めた直後、失態をさらしています。
次の「僕たちは」で親父は驚くほど自分自身を見失っています。全く声が伸びません。
次の「出会ってしまったのだろう」で一気にキーをダウンさせ、か弱く、しりつぼみになり、沈み切りました。セルフ撃沈です。
私は爆笑しそうになりましたが、家族内クールの路線を外れてしまうので、顔がニヤつかない様、必死で舌を噛み、真顔を保ちます。
(早っ、終わった。なんで親父歌ったんやろ!全然ウマないやん笑)
舌を噛みながら、親父をチラッと見ます。親父は一点を見つめていました。
(めっちゃ悲しそうな顔しとる!)
犬がうん○するとこ見られてるときと同じくらい、悲しい顔してました。
ここで私は耐えられず大笑いしてしまいました。
「とうさん!(笑)全然歌ウマないやん!(笑)」
というと、少し間を置いて、恥ずかしそうに「酔っとるからのぉ」と返してきました。
「関係ないじゃん(笑)」と言いつつちょっと親父が可愛いなと思った瞬間。
・・・あー、そんなこともあったなぁとふと思い出しました。
では。