跳ねる柑橘(@hoppingnaranca)です。
みなさんは
クラシック
この音楽のジャンルに、どういう印象をお持ちですか?
「上品」 「壮大」 「美しい」
と思う一方、
「公演一回が高い」「一曲も長い」
「知識が無いとわからない」
「ウンチクがね・・・」
「静かに聴かないといけない」
「咳払いすらしづらい」
「なんやねんブラボーって」
「正装しないといけないじゃん」
…要するに、クラシックって敷居が高い じゃないですか?
私は小中学校で楽器を習っていました。そして社会人になった今、もう一度習い直しています。いわゆる「大人の音楽教室」状態。習っているのはこれを標榜する大手さんではないけど。
さらに、ときどきチケット買ったり、いただいたり、知り合いの音楽家に招待してもらったり、そんな感じで年に数回クラシックコンサートを聴きに行きます。
そのたびに、その会場内に作り上げられる世界に浸りつつも、
多少クラシックに慣れ親しんだ私にしても、…まあ、堅いは堅いな。もっと軽い気持ちで聴けてもいいよね。と。上に書いた感想はうなずけるものばかりだし。
クラシックがそういう、敷居の高い世界であることを望んでいるのかな。
そんな風に思っていました。
そしたら、たまたまなんですが、
このジャンルで新しい世界を切り開こうとしている若い人達を見つけました。
Orchestra Ensemble Tokyo
通称O.E.Tという、新しいオーケストラです。
クラシックの世界への入口を、渋谷で覗いてみるのはどうでしょう?
(目次)
O.E.Tとは
2017年の春、東京に新しいオーケストラが誕生しました。
それがO.E.Tです。
活動理念は、
“「クラシック音楽の入口を開くカギとなるオーケストラ」として、今後東京を拠点に活動していく“
上のアイコンもO、E、Tでカギをあしらっていますね。
◆代表は23歳の指揮者◆
O.E.Tはこの理念を掲げて、オーストリアで指揮を学ぶ若手音楽家、水野蒼生さんを代表に結成されました。海外で腕を磨いている20代のアーティストたちが集い、今後東京を中心に活動をしていく、フレッシュなオーケストラです。
代表:指揮者の水野蒼生さん
代表の水野さんは現在23歳。20歳より渡欧し、現在オーストリアのザルツブルク・モーツァルテウム大学にてオーケストラ指揮と合唱指揮を学びながら日本での演奏活動を行っている方です。
ベートーヴェンの『第九』(歓喜の歌としても有名)の合唱詞を超訳して、そのエモさを伝えたりもしています。
確かにエモい。
個人的には『第九』といえば「げ~~ってるふんけん!」なんですがね。
なんだっけ、神のスパークだっけ。
オーストリアといえばクラシックの本場。
首都は音楽の都ウィーン。
モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ウィーン少年合唱団…本場も本場、天王山ですね。そんなオーストリアでも有数の都市、ザルツブルクです。
(ザルツブルクと聞くと私は宮本恒靖と三都主アレサンドロも出てきますが)
実は多くの将来を期待される若手音楽家が、水野さんの様に本場ヨーロッパでクラシック音楽の腕を磨いている。そんな彼らが集まったのが、O.E.Tというわけ。
◆「渋谷×ベートーヴェン」な結成記念公演◆
O.E.Tの結成記念公演が、7月20日に行われる。
「Opening」と銘打たれた公演、
会場は渋谷の文化総合センター大和田 さくらホール。
渋谷駅からちょっとのところです。山羊のいる「桜丘カフェ」のすぐ近く。
そしてプログラムはというと、オール・ベートーヴェン。
序曲「レオノーレ」第1番 ハ長調 Op. 138
ピアノ、バイオリン、チェロのための三重協奏曲 ハ長調 Op. 56
お値段は
全席自由:¥3,000
クラシックコンサートとしては、安いです。かなり。
発見し、共感し、応援する クラシック界に新しいカタチを
私にも音楽家の友人が何人かいて、
その中には水野さんのようにザルツブルクの大学で研鑽を積んでいた人もいます。
こう書くと、水野さんは私の友人ではないみたいですね。
そう、少なくとも知り合いにはなりましたが、友人ではない。笑
実は私は水野さんはもちろん、O.E.Tのメンバーとは誰とも面識がない。
たまたまTwitterで、結成記念公演の存在を知っただけなのです。
最初、この公演の存在を知ったとき、「えらい良心的な値段だな。そりゃまあ超有名オケじゃないし?若手っていうし、こんなもんなのかな?」と思いました。
しかし、このオケについて、水野さんが発信するコンセプトやメッセージを見ると、これからの時代のスタイルを模索する、若い演奏家たちの挑戦のカタチなのだとわかったのです。
これに共感した、というのが今回この記事を書くことにした動機です。
古き良き音楽は古臭いんじゃない!それをもっと知ってもらおうという挑戦
金曜の夜、渋谷の街で、リーズナブルに、誰もが知っているベートーヴェンを聴く…
そんな夜を提案しているわけです。たまにはそんな夜があっても良いのでは?
◆音楽家とファンの新しい繋がり方◆
また新しいスタイルとして、彼らはこの公演のチケットをCAMPFIREというクラウドファンディングで販売しています。¥3,000のチケット代だけを払うこともできるし、それ以上の金額を支払い、公演開催資金を支援することもできる。
オーケストラの公演って、お金がかかるもの。特にプロの楽団では大口のスポンサーがいることでまわっていますし、そうでない場合は、入場料と、楽団員の持ち出し、周囲の支援でなんとかまわっています。
規模は小さくなりますが、生徒は小学生ばかりの音楽教室が、街のホールで発表会を開く時だって、意外とお金がかかっているんです。だから教室の先生は、月謝と別に参加者にお金を頂いたり、教室運営を応援してくれているご近所からの支援(無いことも多い)、そして教室の運営資金から工面したりとするわけです。
水野さんはブログで、こう書いています。
運営側の人間は、フライヤーを楽器店やCD屋に置いてもらって、SNSで必死に告知して、最大限に動くけれど、それでも客席を見渡せば実際は身内だらけ。
(中略)
「自分たちで資産家に当たって地道に資金を集めた方が堅実だ。」
僕らだって勿論そう思う。
でもそれでコンサートがすんなり開けたとしても、結局のところそれはやっぱりクラシック界の中で身内と小さな市場にしか届けられない。
リスクがあったとしても広い世界に声を届けることを僕は選んだ。
入口のオーケストラになるために。
より多くの人にクラシック音楽を届けるため。
既存のやり方とは違う手法で、「普段クラシックを聴かない人」の目に触れるようにクラファンを選び、 小口の「パトロン」を募っている、というわけです。
CDの時代が終わりつつあり、配信の時代。
それでもライブに参戦してアーティストを応援し、また自身もナマの音を楽しむ…これはどのジャンルの音楽、アーティストでも変わらない流れですよね。そこにクラシックが参入することは、何も不思議ではないはずです。
サイリウムとかタオルマフラーではなく、チケット代に少し応援の気持ちを上乗せする。それによって楽団は次の公演が可能になる。
そんなアーティストとファンのあり方が、クラシックでもできる様になるのではないか。彼らのクラファンを利用した試みはそんな兆しを感じるものです。
◆パトロンになってみた ◆
色々と面白い取り組みをしているな、と思い、はじめてパトロンなるものになりました。CAMPFIREで支援する人のことを言うんですがね。クラシック音楽的にはまさにその通りな言葉でなんか笑っちゃうけど。
友人や自分の先生など若い音楽家の方々に触れて、全然わかんないなりにクラシックが好きなんだけど、
「色んな意味で『選ばれし一握り』だけじゃなくて、もっと彼らが活躍できる世の中になってもいいのに。そしたら色んなシナジーが起きそうだけどな」と思っていた。
そこに、クラシック界の入りにくい扉を開いて、ふだん聴かない人たちにもその旋律を届けよう!という若手音楽家たちのオーケストラがある。
応援しないわけにはいかないじゃないですか。
まあ、日頃から「落としたハンカチを拾っただけでお返しに大金を支援してくれる、そんなお年寄りはどこかにいないものか」と本気で探していた私が、まさかパトロンの方になるとは。笑
それに、私自身は行けるかちょっと怪しいんですが…涙
渋谷で気軽にガチクラシック
そんな新たな取組みで、クローズドな世界というクラシックのイメージの刷新に挑むO.E.Tがお届けするベートーヴェン。
団員の方には軽いコピーで失礼ですが、「豪華&ガチすぎるクラシック入門コンサート」かな、って思います。上に載せたリーフレットに出ている方たちの肩書をちらっと調べただけでも、実力とポテンシャル十分の、日本音楽界が期待を込めてザルツブルクに送りだした若人たちです。
渋谷で味わう本格的なクラシックの世界。
ぜひ、チェックしてみてください。
O.E.T公式サイト:オーケストラ・アンサンブル・東京
O.E.T公式twitter:O.E.T (@o_e_tokyo) | Twitter
O.E.TのCAMPFIRE(クラウドファンディング):凄腕若手プレイヤーが集結!東京からクラシックをアツくするオーケストラ計画! - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)