2020年まで残したい昭和な4大ラブホ
贅を尽くしたアートのバブル遺産を村上賢司さんが厳選して紹介。ユネスコさん、登録できません?
ホテル ブルージュ
HOTEL BRUGGE
建造費36億円のアート建築
染谷将太&前田敦子主演の映画『さよなら歌舞伎町』のロケ地となった老舗。白亜の宮殿が柏の高速道路沿いに突然現れる。建造費36億円。ヨーロピアンクラシックを再現した。イタリア直輸入の家具など、高級品が惜しみなく使われる。
『ホテル ブルージュ』のエントランス。呆気にとられる高い吹き抜けと豪奢な内装。部屋には1セット1000万円するイタリア直輸入の家具などが置かれている。しかも1泊1万円以下と安い。
迎賓館
GEIHINKAN
『ヘルタースケルター』のロケ地として話題に
2階分が吹き抜けになったロココ調の部屋、部屋の中に橋が渡された料亭のような部屋など、ユニークな客室がカオスに揃う。305号室と405号室は沢尻エリカ主演の映画『ヘルタースケルター』のロケ地として使用された。
ザ・ウェーブ
THE WAVE
親子3代で継承される本格派
相模原にある80年代のトレンディ感をそのままカタチにしたラブホテル。エメラルドグリーンの壁や天蓋つきベッドなど、バブル期の突発的お金持ちの家を再現したようなデザインが特徴的。ピアノやウォーターベッドもあり。
ホテル パピオン
HOTEL PAPION
30年の歴史をもつ昭和な下町の遺産
東京・西日暮里に、“世界の都市”“夢のリビング”“時代のアート”“メルヘン”の4つのテーマで計30室を用意。写真はフリーウェイを疾走するシーンをイメージした自動車型ベッド。まさにカーセックスのための部屋といえる。
ラブホテルと2020年東京五輪
コスプレ撮影などの需要はあるものの、昭和のラブホテルは年々閉館されている。主流は“シンプル”に変わってきているのだ。
「いまのラブホテルは、“お得なシティホテルですよ”というのがウリ。でもそれって結局はシティホテルに負けちゃうわけだし、安くて落ち着く部屋なら、自宅とさほど変わらないからつまらない。特に昭和のラブホテルを期待した外国人観光客たちは、無味無臭なラブホテルを見てがっかりしてますね。みんなネットに出ている川崎の『迎賓館』みたいなのを目当てにやってくるけど、ラブホテルエリアとして紹介されている渋谷の円山町でさえ、ああいうのはほとんどありません」
東京オリンピックを5年後に控えたいま、昭和のときのように個性的なラブホテルをつくることは大いに意味があるとも話す。
「いまはSNSが流行っているから、みんな背景として面白いものを求めています。日本に来てこんな珍しいところに来たんだぞ!と拡散させたいわけです。だからいま残っている個性的なラブホは存続させるべきだし、2020年の東京オリンピックまでに新たなラブホテルをつくるべきだと思う。もうあの頃のようなものをつくるのは難しいかもしれないけれど、例えば『ロボットレストラン』などはいいヒントになると思います。若い建築家やアーティストたちに、LOVEをテーマにさまざまな部屋をつくってほしいですね」