テクノロジーとアートが結びついた!? 開館20周年を迎える文化施設「NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]」は、絵画や彫刻とは違ったインタラクティブなメディアアート作品がズラリ。学芸員さんに手ほどきを受けつつ、体験取材をしました。
Yahoo!ライフマガジン編集部
「アートは難解」をくつがえす、メディアアートを2時間で体験!
「メディアアート」という言葉を耳にする機会が増えていませんか? 有名なところでは、テクノポップアーティストPerfumeのライブでのテクノロジー演出が話題になっています。
ライブステージを華やかにするために、プロジェクションマッピングやドローン、VRやARなどのさまざまな最新技術が盛り込まれていますが、その発想の原点は、実は今回紹介するメディアアートの手法なんです。
\ど文系編集部員Sが体験!/
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「メディアアートって最新のテクノロジーと関連してて、理系に強くないと理解できないでしょ……」
「メディアアート」っていったい何? 今さらすぎて多くの人が聞けないであろう疑問を解消すべく、最近九九すらおぼつかないという完全文系人間の編集部員Sが、国内最大のメディアアート美術館「ICC」に潜入しました。
\教えてくれるのはこの人!/
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「うっす! メディアアートの知識は皆無で、九九もできない私ですが、今日はよろしくお願いします!!」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「はい、まずは館内をめぐりながらメデイアアートについて探っていきましょう」
\動きにあわせて身体がゆがむ/
岩井俊雄「マシュマロモニター」 (2002)
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「こちらは画面の描画速度を遅くしたりするモニターです。ぜひ動いてみてください」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「わ、モニターの中で身体がゆがんでる! 動けば動くほどグニャグニャですね〜。これ、どうなってるんですか!?」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「映像を描画する速度を遅くすることで生まれる効果です。この作品では、鑑賞者の動きがモニターの映像に作用しているわけですが、こうしたインタラクティブな要素はメディアアートの特徴の1つです。何より、15年前の作品なんですが、ぜんぜん飽きないんですよね」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「これEXILEとかにやってもらったら、すごそうですね! 自分の動き方によってアートの表出が変わるのは、自分がアートの一部になったみたいで楽しい。ところで、畠中さん、さっきからどこかから音楽が聞こえるのですが…」
不思議な音色に導かれ、二人が向かった先には、真っ白なディスプレイの下に虫眼鏡のようなものが。
\ディスプレイ内の音を虫眼鏡で発見/
緒方壽人(Takram)「Oto-megane」(2013)
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「これを手に取って虫眼鏡のようにして、見るってこと?」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「ふふふ。のぞいてみてください」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「わー! メガネをかざすと、ディスプレイに音の鳴っている楽器が見えます!」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「このメガネは液晶ディスプレイが映像を映し出すのに必要なフィルムの一部を使って作られています。メガネをかざして初めて映像が見られる仕組みです」
メディアアートにおいては、ハイテクやローテク、アナログやデジタル含めたさまざまな技術を使って、現在からテクノロジーを再解釈するアプローチがあるのだと畠中さんは言います。
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「このメガネをとおして映像が見られる仕組みは、液晶ディスプレイが映る仕組みと同じでハイテクだけれど、虫眼鏡をのぞいてものを見るという営みはローテクですよね。こんな具合に、作品のインスピレーションとなるものが、何らかのテクノロジーやメディアであるということが、メディアアートと言われる由縁です。メディアやテクノロジーについて考えて、それを作品に昇華したかが重要なんです」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「ほほう。メディアアート、楽しいじゃないですか!」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「これEXILEとかにやってもらったら、すごそうですね! 自分の動き方によってアートの表出が変わるのは、自分がアートの一部になったみたいで楽しい。ところで、畠中さん、さっきからどこかから音楽が聞こえるのですが…」
不思議な音色に導かれ、二人が向かった先には、真っ白なディスプレイの下に虫眼鏡のようなものが。
\ディスプレイ内の音を虫眼鏡で発見/
緒方壽人(Takram)「Oto-megane」(2013)
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「これを手に取って虫眼鏡のようにして、見るってこと?」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「ふふふ。のぞいてみてください」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「わー! メガネをかざすと、ディスプレイに音の鳴っている楽器が見えます!」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「このメガネは液晶ディスプレイが映像を映し出すのに必要なフィルムの一部を使って作られています。メガネをかざして初めて映像が見られる仕組みです」
メディアアートにおいては、ハイテクやローテク、アナログやデジタル含めたさまざまな技術を使って、現在からテクノロジーを再解釈するアプローチがあるのだと畠中さんは言います。
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「このメガネをとおして映像が見られる仕組みは、液晶ディスプレイが映る仕組みと同じでハイテクだけれど、虫眼鏡をのぞいてものを見るという営みはローテクですよね。こんな具合に、作品のインスピレーションとなるものが、何らかのテクノロジーやメディアであるということが、メディアアートと言われる由縁です。メディアやテクノロジーについて考えて、それを作品に昇華したかが重要なんです」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「ほほう。メディアアート、楽しいじゃないですか!」
不思議な音色に導かれ、二人が向かった先には、真っ白なディスプレイの下に虫眼鏡のようなものが。
\ディスプレイ内の音を虫眼鏡で発見/
緒方壽人(Takram)「Oto-megane」(2013)
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「これを手に取って虫眼鏡のようにして、見るってこと?」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「ふふふ。のぞいてみてください」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「わー! メガネをかざすと、ディスプレイに音の鳴っている楽器が見えます!」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「このメガネは液晶ディスプレイが映像を映し出すのに必要なフィルムの一部を使って作られています。メガネをかざして初めて映像が見られる仕組みです」
メディアアートにおいては、ハイテクやローテク、アナログやデジタル含めたさまざまな技術を使って、現在からテクノロジーを再解釈するアプローチがあるのだと畠中さんは言います。
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「このメガネをとおして映像が見られる仕組みは、液晶ディスプレイが映る仕組みと同じでハイテクだけれど、虫眼鏡をのぞいてものを見るという営みはローテクですよね。こんな具合に、作品のインスピレーションとなるものが、何らかのテクノロジーやメディアであるということが、メディアアートと言われる由縁です。メディアやテクノロジーについて考えて、それを作品に昇華したかが重要なんです」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「ほほう。メディアアート、楽しいじゃないですか!」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「ふふふ。のぞいてみてください」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「わー! メガネをかざすと、ディスプレイに音の鳴っている楽器が見えます!」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「このメガネは液晶ディスプレイが映像を映し出すのに必要なフィルムの一部を使って作られています。メガネをかざして初めて映像が見られる仕組みです」
\異国の街並みに説明を付けていく/
カイル・マクドナルド「群衆を書き尽くす」(2015)
続いて体験するのは、ちょっと文学的な作品。映し出されているのは、ロンドンのある街並みとオランダの街を記録した映像。見ていると、そこを行きかう人々や往来する車など、あらゆるものに次々と吹き出しのようなものが現れ、注釈が書き込まれていることに気づきます。
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「見えるものをすべてを記述していくという内容の小説にインスパイアされて作られた作品です。オンラインの作品なのでインターネットからアクセスして、書き込みできるんですよ」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「ひとりですべてを記述し尽くすというのは途方もない作業ですが、それをインターネットの技術を使えばみんなでできる、という試みですね」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「インターネットならではの力ですね」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「この世の中をすべて記述していくことで世界を作っていくという文学的なコンセプトなんです」
\筆跡を覚えたロボットアームが描画/
スグウェン・チャン「ドローイング・オペレーションズ・ユニット:ジェネレーション2(メモリー)」(2015)
こちらは人間の筆跡を模倣するロボットアームという作品ですが、模倣の対象となる人間はロボットの目の前にはいません。「メモリー」の副題にあるとおり、これはロボットの「記憶」が主題化された作品。筆跡の記憶を頼りに、ロボットアームは描画を続けています。
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「このロボットアームは、アーティストの手の動きを真似て、さらに学習して描いているんです。それによってアーティストとのコラボレーションが起こっているんです」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「私より確実に優秀ですね…」
\新作:ニュースデータが描く宇宙/
徳井直生+堂園翔矢(Qosmo)「The Latent Future——潜在する未来」(2017)
まるで夜空の星々のようにも見える、細かい点はニュースを表しています。この作品は実際に起こった出来事を扱ったニュースのほかに、Twitterからのニュースフィードをも取り込んでいます。これはそれらすべてを3D空間上にマッピングしたもの。
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「Twitterという場では常に、虚実の関係なく膨大な表現が発信されています。ニュースという過去に実際に起こった現実と、Twitterに漂う『あり得た/あり得る』別の現実がないまぜになっているんです」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「なんだか詩みたいでかっこいいですが、これもメディアアートなのですね。やはりメディアアートは深淵なる世界です…」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「メディアアートとは何か、それを僕らも今考えているところです。幅広いので定義が難しいのですが、僕は“はみだしてしまったものの集合”と思っています。100年前のテクノロジーが事後的にメディアートにインスピレーションを与えて、新たな作品が作られる場合もあります。例えば、映画やステレオ写真といったものの歴史も、ある意味では、メディアアートとして現在は捉えることができます」
専門家も考え中なら、私がわからなくてもしょうがない…深く安堵した編集部員Sが続いて向かったのは、とってもわかりやすい展示です。
\新作:スティックの位置で色が変化/
nor「herering」 (2017)
センサーを手にもって動かすことによって、空間内に配置された色彩が変化する様子を楽しむ作品です。
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「まずはキューブ状の空間に入り、真ん中に置いてあるセンサーをかざしてみてください」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「あ、色が変わった!」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「中央に置いてあるセンサーを動かすことで、明るさと色の濃さが変わるんです」
実は空間内に施された仕掛けは色の変化だけではなく……。
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「それでは次は、センサーを振ってもらえますか?」
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「あー! 振る位置によって音が鳴るんですね! 魔法使いになったような気分です」
\真っ暗な部屋で音に囲まれる/
evala「Our Muse」(2017)
この作品は [See by your ears] というプロジェクトのシリーズとなるもの。鑑賞者は真っ暗で無音の部屋に入り、視覚情報がまったくない状態で音楽を鑑賞します。
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「真っ暗ですが、目の前に音があるような不思議な感覚。目が見えているのか見えていないのかわからなくて、音しか頼るものがなくてゾワゾワしました」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「無響室では音の反射がないので、自分のいる場所を定められなくなって不安になる人もいるんです」
\こんなお楽しみスペースも/
リサーチ・コンプレックス NTT R&D @ICC
NTT研究所の先端的な取り組みを紹介するエリアでは、直感的に楽しめる作品が多数そろっています。
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「本当にいろいろな素材を使った作品があるんですね!」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「例えば絵画という形式では絵の具がメディアです。ただ、絵画で扱うメディアは画材のみですが、メディアアートはコンピューターも音響装置も含まれるので幅広いんです。とても広い領域の技術史をカバーしなければならず、また美術史も関連します。ちなみに今回の展示は、技術を用いて未来を提示するというよりは、現在のテクノロジー状況を考え直すことで未来を考え直すという観点の作品が多いですね」
\鑑賞終了〜!/
- 編集部員S
- 編集部員S
- 「メディアアートって、もっと敷居の高いものかと思っていましたが、気軽さにビックリしました。これは本当に楽しいですね。また来たくなっちゃいます!」
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- ICC主任学芸員・畠中実さん
- 「楽しくないと何事も身につかないですから。楽しみながら理解できるといいですよね。常に現在の状況から、過去や未来を照射するものがメディアアート。新しい作品が出てくると定義が変わってしまいがちでですが、100年後に通用するメディアートの定義をこれからも考えていきます」
メディアアートというと、若い人向けと思われがちですが、決してそうではありません。「ICC」では老若男女が楽しめる作品がそろっているので、まずは体験してみてください。
- Yahoo!ロコNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
-
- 住所
- 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
-
- アクセス
- 初台駅[東口(オペラシティ)]から徒歩約1分
- 参宮橋駅[出口]から徒歩約11分
- 西新宿五丁目駅[A2]から徒歩約12分
-
- 電話
- 0120-144199
-
- 営業時間
- 10:00~18:00
-
- 定休日
- 年末年始保守点検日
- 口コミ・写真など
※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。
取材・文=高岡謙太郎 撮影=寺沢美遊
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