「甘い!」「脂がのってる」「濃厚」「口の中でとろける」……グルメ番組で連発される表現の数々。美味しいものを食べるとつい手放しで賞賛してしまうが、その「美味しさ」には、理由があるのをご存じか。
酸っぱいみかんと甘いみかん、2種類がスーパーに並んでいたら、誰しもが迷わず甘いみかんに手を伸ばすだろう。
だが、考えてみたことはあるだろうか。みかんって、いつからこんなに甘い果物になったのだろうか、と。
みかんだけではない。いちご、りんご、桃、梨……あらゆる果物で「甘さ」が売りにされ、糖度が表示されたものも増えている。少なくとも20年前には、これほど甘くて美味しい果物は、世に出回っていなかった。これは、品種改良が重ねられた成果でもあるが、じつは、薬品によって人工的に甘さを生み出すことも可能なのだという。
「みかんやオレンジなどの柑橘類は、収穫後2~3週間ほど貯蔵してから出荷します。寝かせることで酸が抜けて糖度が上がるのですが、これだけでは限度がある。柑橘類の糖度を高くするのに、植物生長ホルモン剤が使われていることもあります。これを与えることで、生長を早め、甘さを増す効果があるのです。
また、輸入モノの柑橘類には、酸味を抑えて甘みを出すために、ヒ酸鉛という農薬が使用される。中毒の危険性から日本では使用されなくなりましたが、南米などでは依然として使われているのです」(食品ジャーナリスト・郡司和夫氏)
より甘い果物を求めるあまり、品種改良だけでは補えない部分を薬品に頼るようになっているのだ。