夜明けを告げるルーのうた。これはもう発表された段階で海外視野は見えていた。
多分日本では厳しいが、きっと海外とくにヨーロッパ圏では受けるだろうなと。ただし脚本に一抹の不安はあったが杞憂だったようだ。
エイプリルフールに公式利用されたうえにちょっと滑ってしまったルー大柴も喜んでいるだろう。
ただしやはり日本での評価は厳しくなると思う。どんな世界の映画でも国内と国外で評価は分かれるものだ。その国の気質があるのだから、邦画に限ったことではない。
結果的に湯浅監督の次回作が見られる(しかも予算あがる)ということだけで嬉しいものがある。
驚いたのが「この世界の片隅に」で、エンタメ色はあるといえばあると思うが無いと言えば無いし、日本の歴史にある程度精通してないと理解できない部分も多い。
今回の公式上映中も「盛り上がるクライマックスはどこ?」という質問が監督に飛んでいた。(国内外のアニメファンがその質問に同意したり失笑していたが、エンドロールだと監督は答えていた)
例えば「火垂るの墓」なんかは国外アニメファンもジブリブランドも手伝って多くの人が見ているらしいのだが
海外で評価されたかというと、時代もあるが一部の無名賞でしか評価されていない。
出来が気に入らなかったのか、といえば多分違っており、昨今では見ておくべきアニメ映画の一つとして海外に広がっている。
これはなにを意味するかというと「賞を与えるべきでは無い」という心理があるからだ。
実際「この世界の片隅に」もアジア勢からの反応は複雑なものが時折見受けられている。どこまで理解しているのかは謎だが、のんさん効果で映画祭りには呼ばれているようだ(のんさんアジア人気あるわ)
が、しかし今回のアヌシーでは発表前の予想段階からレビューサイトの点数を見ても有力候補だった。(ゴッホアニメとの競合。多分ルーは観客賞の雰囲気だったが、これはサプライズ)
次点という扱いだが審査員賞というと百日紅もとっているので、国外に出ると知識を持ったちょっとインテリ向けなのは否定しないし
オープニング作品にも選ばれていたので、審査員に本作激押しの人が居たのかもしれないと睨んでいるのだが
個人的サプライズだった。日本的であり日本人が好んだストーリー(極右極左は嫌ってたの笑ったが)であまりにも日本人が辛いだけの映画が
外国人に届く。というのは、作品の構成だったり熱意だったり出来だったりが良かったのは間違いないし
火垂るの墓以降20数年経って、「日本」の印象が少し変わっているというのも分かる。
アニメだけではなく、実写も舞台も本も漫画も、この先きっともっと自由に作って海外の人に届く日が来るのかもしれない。