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どうして40歳になったら公正証書遺言を作った方が良いのか?
平均寿命は延び続け、病気になったらすぐに病院へ
高度な医療は発達し、高額医療費控除があるから出費もそこそこ
平和な日本では、アフリカや中東のような戦争も内乱もない
今、平和な島国ニッポンは、あと何年続くかは分からないつかのまの春を謳歌しています
しかし、3.11
東北大震災を受けて、日本人の死生観は確かに変わりました
数万人の死者、沢山の人の悲しむ姿を目の当たりにして
『やがて、いつかは死ぬのだろう』 から 『いつ死ぬか分からない』へ
国では防災担当大臣ができて、市町村では災害対策本部等が設置されて・・
国民の危機意識は、国レベルで煽られているのを実感します
明日のリスク管理は自己責任 とでも言いたげな風潮ではありますが・・
では、
本当に自分の身に何かが起きてしまったら・・
「死んだらハイそれまでよ」と言うのは、逝く側の決め台詞であって、
残った方の負担は、それまでよとはいきません(むしろそれ以上です)
そんなわけで、公正証書遺言を作ったほうが良い理由はただ一つ
残された人の負担が減るから です
自分で書いた自筆証書遺言を用意している人たちも多いと思いますが
イザ
親兄弟の相続人同士でもめたときには、
本物かどうかを鑑定されたり、いつ書いたのか問い詰められたり、精神的負担がのしかかるのは目に見えています
兄弟姉妹がいつまでも仲良しなのは幻想です
あなたの親族は良い人間かもしれませんが、いつ人に騙されて借金を背負う身になるかは誰も分かりません
お金の苦しさは人を変えます
そこで、誰にも文句をつけようがないのが、公正証書遺言になります
この遺言を作るのは、素人の自分ではなく、法務大臣に任命された公証人(国家公務員)です
内容は公証人と自分で調整しながら決めますが、作成責任者は公証人です
揉める元があろうがなかろうが、最後は国家権力の文章には誰も逆らえません
法務大臣に任命された公証人が、民法が定めた方式で作成した裁判で判決を得たのと同等の効力をもつ強力な文書=執行力がある文書
それが公正証書です
人生40年も運よく生きたら、もういい加減準備しないと大後悔する
大切なメッセージです
自筆証書遺言と公正証書遺言では、揉めたときにどれほど違うのか
先にあげたとおり、裁判で判決を得たのと同等の効力をもつ強力な文書が公正証書遺言です
なので、誰が訴えても家庭裁判所で『検認』する必要はありません
遺言書の検認とは、
相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして
遺言書の偽造・変造を防止するための手続です
例えば、子供がいない夫婦の場合、
相続人は「配偶者」と「両親(直系尊属)」または「兄弟」になります
親が生きていれば、親にも財産の遺留分が発生しますが、兄弟に配分するかどうかは遺言で決められます
でも、自筆証書遺言で書き方を間違えてしまうと、せっかく配偶者に全財産を残したかったのに、遺産の分割協議でもめる可能性を残してしまいます
「遺産を兄弟に渡さなければ面目がたたない!」ほどお世話になっている人以外は、配偶者に全財産を渡す旨を記載しておいた方が良いと思います
また、自筆証書遺言は、
もし悪意がある相続人がいれば、あなたの書いた書類を偽造したり隠匿したり破棄される恐れもあります
しかし、公正証書遺言は、公証人役場のオンラインシステムで情報登録されます
相続が発生してから、公正証書による遺言がされていないかどうかを、相続人は公証役場で調べることができます
情報化社会に相応しく、親族をむやみに信用せず、悪意がある者が改ざんできない態勢を自ら整えるべきだと思います
費用はどのくらいかかるの?
遺言書の作成手数料が250円とかは置いておいて、
ざっくり示すと、財産によって支払費用が異なります
日本公証人連合会による手数料は下表のとおりです
| 目的財産の価額 | 手数料の額 |
|---|---|
| 100万円まで | 5000円 |
| 200万円まで | 7000円 |
| 500万円まで | 11000円 |
| 1000万円まで | 17000円 |
| 3000万円まで | 23000円 |
| 5000万円まで | 29000円 |
| 1億円まで | 43000円 |
※手数料は財産を譲り受ける人ごとに計算し、合計します。
※財産の総額が1億円未満の場合は、11,000円加算されます。
1億円を超える部分については
1億円を超え3億円まで 5000万円毎に 1万3000円
3億円を超え10億円まで 5000万円毎に 1万1000円
10億円を超える部分 5000万円毎に 8000円
がそれぞれ加算されます。
これに、証人2人が必要なので、自分で用意しなければ公証役場に頼むことになります
役場によって、手数料は異なるようですが、おおよそ1人に日当として1万円〜1.5万円と交通費がかかります
例
財産5,000万円がある人
2,9000円∔
財産の総額が1億円未満の場合の11,000円∔
証人2人頼む場合の日当30,000円
=
支払合計 約70,000円
イタイ・・
1度の出費としてはかなりの高額です・・・
では、この出費7万円を高いと見るのか安いと見るのか・・
難しいところですが、それは本人次第です
自筆証書遺言と比較した時に示したのは
生きている間に『得られる安心感』です
でも、愛する人が相続人であるならば、
『残された人を無用な紛争から守れる手段』
これこそが公正証書遺言費用が多少高くても納得できる、唯一の費用対効果のポイントになるのではないでしょうか
公証人役場ってどこにあるの?
全国の公証役場のリンクになります
法務局が所管しているので役場なので、お住いの市役所の建物内にはありません
下調整に何回くらい公証人役場に行かないといけないの?
これは実際にその地方の公証役場と調整してみないと分からないのですが、
私のケースでは訪問回数は3回でした
まずは、電話にて1回目の訪問日の予約を入れる(この時に、必要書類を教えてくれる)
1日目➡下調整
下調整とはいえ、戸籍謄本、印鑑証明書、登記事項証明書、運転免許証、金融機関のコピーなどは揃っていなくてはいけません
遺言内容もある程度決めて持っていきます
①必要書類の確認
②公証人とどのような遺言にするのか文面を決定する
③次回の予約を入れる
④証人2人を自分で用意するのか、公証役場に用立ててもらうのか決める
2日目➡7日後
①公証人が完成させた遺言文面の確認
②付記として心情的になにか残しておきたいことはないのか最終確認
③3日目の予約(証人を頼む場合は、その人たちの都合もあるので後日連絡の場合アリ)
3日目➡半月後
①本人と証人2名の前で、公証人が遺言の内容を読み上げる
②内容に問題がなければ、本人と証人2名が証書に署名・押印する
③原本は公証役場が保管し、正本と謄本を手渡される
④必要手数料を現金で公証役場に支払う
大体このような流れです
必要な証人2人は、知り合いに頼まないといけないの?
まず、大前提として、相続人は証人にはなれません
なので、一般的な夫や妻は証人の一人としてカウントできません(利益をこうむる受益者は公正ではないから)
証人を設ける目的は、自己の意思に基づき遺言をしたことを確認するためでもあるので、変な圧力で書かされることがないようにしているのだと思います
証人になれない人
こうして見てみると、信頼できる親族はダメのようなので、信頼できる友人や○○書士さんなどに頼むことになりそうです
私は面倒なので、
迷わず役場にお任せして、証人2人を用立ててもらいました(約2万円かかった)
公正証書遺言に必要な書類
これは、最初に電話した時に教えてくれますが、一応記載しておきます
○遺言者本人の確認資料(原則として印鑑証明書と実印)
○遺言者と相続人との関係がわかる戸籍謄本
○受遺者(遺言者の財産の遺贈を受ける者)の住民票
遺言者の財産を相続人以外の者に遺贈する場合は、その受遺者の戸籍謄本ではなく住民票
○固定資産税納税通知書又は固定資産評価証明書
遺言者の財産に不動産が含まれている場合
○不動産の登記簿謄本
証書に所在・地番等不動産を特定する事項を記載するために必要
○証人の確認資料
遺言公正証書作成の場合、その場に立ち会う証人2人の住所、職業、氏名、生年月日のわかる資料
以上のような書類が必要です
最後に言いたいこと
費用がどのくらいかかるのかの項目で書いた
公正証書遺言を作るキーポイント
『残された人を無用な紛争から守れる手段』
おそらく、このためだけに公正証書遺言は必要なのだと感じます
実際のところ、何回も公証役場に訪問して時間もかかるし、書類を揃えるのはホント面倒です
お金だって、数万円単位で飛んでいくのは正直苦しいです
でも、やっておけばよかったかどうか
それが分かるのは自分が死んだ後です
時間とお金がどれだけ有効になるかは死んだ後には分からないので、
いくらかかってでも、生きている今のうちにやっておけば損はないのだと思います
残された人を守るために


