英語のリスニングは、多くの日本人にとって鬼門のようなもの。リスニングの本や教材、アプリを使って勉強しても、なかなかヒアリング能力が上達しない人は多い。そこで今回、TOEICが元々400点台だった僕が海外でビジネスをできるまでに至った、英語のリスニング力が効率的かつ確実に向上する勉強法を紹介する。
英語と日本語の違い
具体的なステップに入る前に、簡単に英語と日本語の違いを理解しておこう。英語と日本語は共通点が非常に少なく、その違いを意識して勉強しなければ英語の聞き取りはできないまま。英語と日本語の違いは、ざっと下記のようなものがある。
- 発音の違い
- 周波数の違い
- 音の数の違い
- 表記の違い
- 文章構造の違い
1.発音の違い
英語と日本語は発音が違う。この点はステップ1で解消されるが、リスニング能力向上を図る上では最も重要なポイント。
2.周波数の違い
英語と日本語は周波数が違う。英語は2000から12000Hzの周波数であるのに対し、日本語の周波数は125から1500Hzとなり、全く交わらないのだ。アメリカ英語はもう少し周波数が低く、日本語と交わる部分もあるようだが、いずれにしても英語と日本語は全く異なる言語ということを知らなければならない。
3.音の数の違い
日本語の母音の数は「あいうえお」の5つに対し、英語の母音の数は30近くも存在する。それらを組み合わせてできる音の数は、日本語で100ちょっとなのに対し、英語は2000以上もある。
4.表記の違い
英語がアルファベットで構成されているのに対し、日本語はひらがな、カタカナ、漢字で構成されている。つまり、共通点がないのだ。このことも、日本人が英語を学ぶことを難しくしている一つの要因である。
5.文章構造の違い
英語は重要な内容が最初の方に来るのに対し、日本語は最後に重要な内容が来る点が特徴。ここで留意しておきたい点が、僕ら日本人は無意識的に、文章の最後に来る内容が重要だと思い込んでいる点。英語をぼんやり聞いていると、最初の言葉をスルーしてしまいがち。英語は最初の部分に重要な内容が来るにもかかわらず、聞き逃してしまっては元も子もない。文章を聞くときは意識的に最初の特に3単語を聞き取ろうとすること、大前提としてこれを覚えておこう。
このような違いが英語と日本語にはある。日本人が英語を習得するのは難しいと理解したなら、そんな英語のリスニングを最短かつ確実に習得する勉強法を見ていこう。
リスニング勉強方法ステップ1「英語の発音を覚える」
英語のリスニング力を向上させるためには、最初に「英語の発音」を覚えることが大切。英語のリスニングを勉強しようとすると、いきなりニュースや会話を聞き始める方が多くいる。僕も実際そうだった。でもそれは順序が間違っている。
紛れもなく、英語のリスニング力を上達させるために一番初めにやらなければいけないことは「英語の発音」を覚えること。英語の発音を理解しない限りは、いくらニュースやラジオを聞き流しても、一向に聞き取れるようにはならない。時間の無駄だ。
僕は英語の発音を覚える前に英語の多聴をしていた為に、英語のリスニング力がなかなか伸びなかった。 でも今考えてみればそれは当たり前。なぜなら、日本語の発音と英語の発音は完全に異なるものだから。英語の発音の勉強を最初にやらなければ、どこかの場面で英語のヒアリング能力は頭打ちする。それは実際にその経験をした僕がよくわかっていることだ。
英語の発音を学ぶオススメの本「英語耳」
英語の発音を学ぶのにオススメな本は「英語耳」だ。
この本は、英語の発音記号の勉強から入り、確実かつ最短に英語の発音を身体に染み込ませることができる名著。自分が出せない発音は聞くことは不可能という前提のもと、英語の発音を徹底的に学習することで自分で英語の発音が出せるようになり、しいては英語が聞き取れるようになるというステップを踏む。
英語の発音をゼロから学び直したい方には、僕が一番オススメできる本がこの「英語耳」。何を隠そう、僕自身が英語のリスニング力の向上に伸び悩んでいた時期に僕を救ってくれたのがこの「英語耳」だ。英語耳に付いているリスニングCDを用いながら、一つ一つの発音記号を確認していくことで、今後の英語人生において必要な基盤作りができる。
英語耳は英語学習者に絶賛されている発音本でもあり、英語初心者の方や、英語のリスニングに伸び悩んでいる方には全力で勧める珠玉の一冊だ。英語耳を使った勉強方法については以下の記事ですべてまとめて書いてあるので、読みながら実践してみてほしい。
リスニング勉強方法ステップ2「単語を覚える」
知らない単語は絶対に聞き取れない。周囲の文脈から内容を推測することは可能ではあるが、英語力がない段階において、しかもリスニング中にそれを実行することはかなり難しい。とすれば、単語を覚えることはリスニング力向上のために必然となる。
ここで、単語を覚えるときは英英辞典を使うことがポイント。英和辞典は極力使わないようにしよう。それはなぜか?それはリスニングの性質上、英語を日本語に訳してから理解する癖がついていると、英語を聞いて「この単語の意味はなんだろう?」と考えている間に次の文脈に移ってしまうことにある。
英英辞典を使って単語を覚えれば、英語から日本語に訳すという行程自体を取っ払うことができ、英語を聞いた瞬間の理解のスピードが格段に早くなる。これは、リスニング力を向上させる上でキーとなるポイント。リスニング力向上のためには、英英辞典で単語を覚えるようにしよう。
リスニング勉強方法ステップ3「ディクテーションを繰り返す」
単語を覚えていくのと同時に、ディクテーションを行っていく。ディクテーションとは、リスニングをして聞いている文章を、一言一句書き起こしていくこと。このディクテーションは一つ一つの言葉を精聴するトレーニング。ディクテーションでのトレーニング効果は絶大だ。
TEDの概要
僕がオススメするディクテーションの教材は「TED」。TEDとは、ビジネスや経済界の著名人がその分野のプレゼンを行う世界的に有名なプログラムだ。で、ディクテーションをする材料はこのTEDプログラムで実際に行われるプレゼン。僕がTEDをオススメする理由は、下記のような優れた点をTEDが有しているから。
- 各界の専門家が話す内容のため、聞くだけでも勉強になる内容
- ネットで無料で再生できる
- 英語スクリプトが無料で見れる
優れたリスニング教材に必要な要素がすべて詰まっているこのTED。TEDを利用してディクテーションを繰り返していけば、ビジネスでも通用する英語リスニング力が着実かつ確実に身についてくる。
TEDを利用したディクテーションの具体的方法
具体的なTEDの使い方を説明していく。まずはトップページ。
いろいろプログラムが表示されているが、特定のプレゼンを視聴したい場合、右上の検索バーで検索をかけよう。今回は「English」と検索をかけることにする。検索項目を入れて検索をかけると検索結果一覧が下記のように表示される。この中から好きなプログラムを選択しよう。
選択すると、下記の通り再生ページにいく。
早速ページ上部の再生ボタンから動画を再生し、ディクテーションをやっていこう。ディクテーション一は言一句書き起こしていく。最初ははっきり言って付いていけない。全く聞き取れないはず。それでもふて腐れず、聞き取れなければ2回でも3回でも、10回でも繰り返して聞くこと。もうこれ以上はわからないところまでやったら、スクリプトを見て正解を確認しよう。スクリプトは同再生ページの下のところにある。(オレンジ丸の箇所)
この通り、スクリプトがしっかり存在するのがTEDの良いところの一つ。
これを見ながら聞き取れなかった部分の単語や文法を調べ、意味や発音を確認しよう。始めから最後まで一通り確認し終えたら、もう一度再生しよう。すると、最初は全く聞き取れなかった文章が、聞き取れるようになってるのがわかるだろう。
こうして一通りの内容を理解できたらまた別の動画を見て上記の繰り返し。これを繰り返すことにより、英語のヒアリング能力は効率的かつ確実に向上していくのだ。
まとめ
以上が英語のリスニング力が効率的かつ確実に向上する勉強法だ。僕自身、かつては英語のリスニングが上達しない悩みを抱えていたが、一度基本に立ち返ってこの3つのステップを踏んだことにより、英語のリスニング力は向上した。下記の記事で取り上げたが、日本人は英語を学ぶ必要性がある。
ネイティブレベルの総合的英語力を最短かつ効率的に身につける方法は以下の記事で全てまとめている。