カード渡さないで!だまし取り被害急増 県警が注意呼び掛け

 被害が後を絶たない振り込め詐欺で、被害者に現金を振り込ませるのではなく、犯行グループがキャッシュカードをだまし取って現金を下ろす手口がことしに入って急増している。被害者が現金を引き出したり、振り込んだりするために訪れる金融機関で犯行が発覚するのを避ける狙いがあるとみられ、県警は「キャッシュカードは絶対に他人に渡さないで」と注意喚起している。

 県警捜査2課によると、ことし1月から5月末までの振り込め詐欺の認知件数は755件(前年同期比297件増)、被害総額は約17億1700万円(同1億6300万円増)。このうちキャッシュカード手渡し型は165件(同141件増)で、すでに昨年1年間の117件を超えている。被害総額も2億6900万円(同2億3300万円増)に上る。首都圏で増加傾向にあるという。

「振り込め」新しい手口


 主な手口はこうだ。警察官や全国銀行協会職員、金融庁職員などを名乗る犯行グループが被害者宅に電話し、「あなたのキャッシュカードが悪用されている」と不安をあおる。

 続いて「個人情報が漏れている」「カードが偽造されている」などと畳み掛け、「キャッシュカードを取り換えたほうがよい」と誘い、言葉巧みに暗証番号を聞き出す。被害者宅を訪れた「受け子」にカードを渡すと、直後に近くの現金自動預払機(ATM)などで現金が引き出されてしまう。中には複数枚のカードをだまし取られ、計約3500万円を引き出されたケースもあったという。

 捜査幹部は、キャッシュカード手渡し型の被害が急増している理由について、金融機関での職員による声掛けで被害を防止するケースが相次ぐ現状を踏まえ、「金融機関を介在させないことで犯行発覚を逃れる狙いがあるのでは」と分析。ノウハウを持つ犯行グループが役割分担し、手当たり次第に電話をかけているとみる。

 犯行グループはストーリーを入念に作り上げ、複数の関係者を入れ替わり立ち替わり登場させる劇場型の展開に持ち込み、被害者が正常な判断を下せない状況にする。捜査幹部は「誰でも被害者になりうる」と警戒感を強める。

 同課は「万が一、キャッシュカードを渡してしまっても、すぐに警察に通報すれば口座を凍結して被害を防げる可能性がある」と指摘。「不審な電話があったらまずは相談を」と呼び掛けている。

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