ブラックボックス展に行った。
端的に言うが、真っ暗闇の部屋で痴漢された。
以上。
それ以上でも、以下でもなかった。
詳細に書くが、暗闇で痴漢された話でしかない
6月17日土曜日。
ブラックボックス展が最終日だというので、クソ暑い中5時間並んできた。
一緒に並んでいた友人は、並んでいる途中でスタッフのゴツい黒人に肩を叩かれて列から排除された。
喋る相手もいなくなって暇だなと思いながら、ようやく入り口へたどり着く。
どういう基準なのかよくわからないが、ゴツい黒人がTinderのごとくパッパッと入場者を選別する。
わたしは通された。
入場料の1000円を支払い、ネタバレ禁止の誓約書にサインする。
案内にしたがって階段を上り、黒いカーテンの奥へ進むと真っ暗闇な部屋だった。
何も見えない。部屋の広さも分からない。
「あ〜こういう感じか(笑)暗闇の中で五感を研ぎ澄ませる系の体験型アートね(笑)」と心の中で半笑しながら壁伝いに歩き進む。
しばらく他の客と手と手が触れ合うなどしながら、「これで終わりか、クソ展示じゃんつまんね」と思っていた。
また誰かと手が触れた。その瞬間、手をぎゅっと握られて力強く抱き寄せられる。
顔をまさぐられて唇の場所を確認された上で、キスをされた。
硬い髭跡が顔に擦れて、男の人だと思った。
逃げようにも腰をぐいと引き寄せられていて離れられない。
そのまま片手で胸を揉まれた。髪を撫でられ、耳を舐められた。
ようやくの思いでその誰かの腕から脱出し、壁伝いに出口の方へ逃げた。
たったそれだけだった。
入る前は、友人とあれこれ想像を膨らませながらこの展示を楽しみにしていた。
「ポスト・トゥルースを象徴する展示だねえ」とか、「並んでる人たちを盗撮してて、中に入ると大画面でその様子が中継されていたりして(笑)」とか、「これだけバズらせた展示の人すごいね」とか。
マジで期待はずれというか、それどころの話ではなかった。
この痴漢が展示側の意図していたものだったのか、想定外のものだったのかさっぱり分からない。
意図していたのだとしたら、マジで死んで欲しい。
想定外だとしても、死んで欲しい。
もしかしたらわたしが見つけられなかっただけでさらに奥に別の部屋があったのかな。
それとも何か面白いメッセージとかあったのかな。
いずれにせよ、わたしには何にも見つけられなかった。
長居すればするほど知らない人から体をまさぐられるので、とにかくさっさと出たかった。
誰か何か見つけた人がいたら、きっと我慢強い人なんだろうな。
わたしは無理だった。
わたしの感想は、ただただ「痴漢キモいブラックボックス展死ね」に尽きる。
以上。