こんにちは、ピコシムです。
色々あって、久々の更新です。
超高齢化社会による孤独死が問題になっています。
今回は、ある日突然お隣さんがお亡くなりになり、不幸にも誰にも発見されず、死後9日目にして私が警察に連絡して事態が発覚したお話です。
連日の猛暑で、めちゃくちゃ大変なことになりました。
日本ではこのような話は忌諱され、一般的には表に出てきません。
都会の集合住宅では、隣に誰が住んでいるか分からず、誰もが突然トラブルに巻き込まれる可能性があります。
以下、私の体験談です。
お食事中の方や、この手の話が苦手な方はご遠慮ください。
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私は、関東の某県で家賃が3万円ぐらいのアパートに住んでいました。
その建物は、1Kで6畳間の部屋が10部屋ある軽鉄骨アパートです。住民は、近隣に勤めるサラリーマン、大学生、そして一人暮らしの中年男性と、中年女性でした。
たまに、60代ぐらいの男性の大家さんが、隣の県から草刈りに来る、ごく普通なアパートでした。
あの怪事件を除いては。
プロローグ
隣の住人の玄関に怪しい落書き
1Fには私の隣の部屋に50代ぐらいの独身男性が住んでいました。たまに顔を合わえると挨拶をする程度でしたが、新聞勧誘からもらという粉洗剤を、そんなにたくさん使わないからと差し上げてくれる気さくなおじさんでした。
そのおじさんの玄関の扉に、ある日とんでもない落書きがされていました。
「死ね死ね死ね死ね!」
「○○は地獄に落ちて死ね!△△△号の住民より!」
本当に△△△号の住民が油性マジックで落書きしたかは分かりませんが、太めの油性マジック殴り書きされたような感じです。
△△△号は、そのおじさんの隣の部屋です。
隣人トラブルかなにかでしょうか。尋常ではない字体で、今思うと明らかに精神的に問題の有りそうな感じです。
そのおじさんは、しばらくして自分で玄関の扉をスポンジでこすって消していました。
それは生前私がおじさんを見た最後の姿でした。
思い出しても本当に不気味なことで、同時に△△△号の謎の住民は誰が住んでいるかよく分からず、もっと警戒しておくべきでした。
部屋からわき出る謎の異臭
連日猛暑が続いたある真夏の夜、東北の実家に帰省していた私は、4日ぶりに自分の住むアパートに戻ってきて、鼻を突くような不快な臭いに気が付きました。
堆肥のような、糞尿のような、ネズミより大きな獣が腐ったようなツーンとする刺激臭なのです。
キッチンの換気扇をフル回転させますが、臭いは全然取れません。
台所に腐ったものはなく、排水口の匂いでもなく、ネズミが死んでいるわけでもなく、いくら原因を探しても見つかりません。
エアコンを冷房MAXの16度に設定して、ファブリーズを部屋中にかけて、冷房をガンガンかけて臭いが少なくなった気がしました。
どんな悪臭でも鼻は慣れてしまうのですが、唯一、風呂に入ると鼻がリセットされます。
浴室から出る瞬間、猛烈に鼻が曲がる不快な臭いに何とも言えない感情が湧き出ました。息をするのもためらう空気が漂っているのです。
私は、その臭いが何を意味するか、どこから発しているのか全くわからなかったので、その地域の、生物系の大学生が、部屋の中で堆肥の研究でもしているのかと思い込み、何日か我慢することにしました。
衣類全体に染み付いた謎の刺激臭
東京までの通勤電車は、例のごとく満員電車です。
私は、連日の謎の異臭のせいでスーツから得体の知れない悪臭を放ちながら通勤することになりました。
ファブリーズをスーツ全体にスプレーしているにもかかわらず、なかなか臭いが取れず、私が電車に乗ると、なぜが私を避けるように、謎のスペースが空き、視線を反らして顔をしかめたサラリーマンや、明らかに眉間にしわを寄せる女性がいたと記憶しています。今考えると申し訳ない気持ちになりました。
部屋の中の建具、家財道具、衣類、書物、食器など全て謎の臭いが染み付いてしまいました。
洗濯をしても、乾燥する時点で周囲の空気が悪臭なので、元通り臭くなります。
こんな状態が1週間も続きました。
そして、最初に異変に気づいてから7日目、事態が急展開します。
謎の住人との遭遇「臭くないですよ」
深夜0時 あの△△△号室に住む40代女性に出くわす
異変を感じてから一週間後、深夜に帰宅すると相変わらず異臭の原因が分からない中、隣人のおじさんの部屋のポストに8日分ぐらいの新聞が溜まっていることに気づきました。
時刻は深夜0時過ぎ。
同時刻、数年来見たことのない、ロングヘアーの白髪交じりの40代の中年女性と鉢合わせになりました。あの△△△号の女性です。
普段何をしているかよくわからない感じの人でした。
意を決して話しかけてみました。
私「こんばんは、ここ1週間ぐらいこの辺で何か変な臭がしませんか?」
△△△号の女性「別に、変な臭いなんてしないですけど(ニヤっ)」
私「あ、そうですか・・・」
女性はすぐに、自分の部屋に入りました。
さすがに超絶鈍感な私でさえも、女性の恐ろしい視線と、ただならぬ様相に気づくまでに時間はかかりませんした。
もしや、隣人は死んでいるのでは。。。
なぜ、この臭さ気付かない?
もしや、女性が犯人だとしたら・・・!!!
時刻は深夜0時15分
女性に顔を覚えられてしまったこと、話しかけてしまったこと、部屋の場所を特定されたことで、一気に身の危険を感じました。
すぐに、玄関の鍵の鍵を閉め、チェーンを掛けて、部屋の一番奥で息を殺して110番をしました。
オペレーター「事件ですか?事故ですか?」
私「隣の部屋から1週間以上前からひどい悪臭がするのですが・・・」
警察が来るまでに、もしかすると女性に刺されるか、危ない液体をまかれるのか、得体の知れない恐怖で覚悟しました。
真夜中の現場検証
刑事ドラマとは違い、赤色灯を遠くで消して、サイレンも鳴らさず静かに1台のパトカーがやってきました。約15分ぐらいでしょうか。
30代後半ぐらいの中肉中背の地域課の男性警察官2名は、周辺地域をパトロールしていたそうです。
早速、問題の異臭がする部屋を案内しました。
その警察官は、ポストから9日分の新聞を全部出し切った後、玄関扉の新聞受けを両手の親指で開けて、臭いを嗅いだ瞬間、
「こんなに酷いイノシシが腐った臭いは久しぶりだ!死んでるね」
玄関の扉は鍵がかかったままで、中の様子を確認するため、1階の窓から侵入を試みます。
その窓は鍵が空いており、おまわりさんは、カーテンを開けてライトを照らします。
「うわっ、これは酷い!」
二言目に
「君も見てみるか?」と、あながち冗談でもなさそうな感じで言われたものの、自分自身がPDSDになると面倒なので、丁重にお断りしました。
お巡りさん曰く、新米警察官だと、腐乱遺体を見たショックで気分が悪くなり、その現場で吐いてしまい、何日も食欲が無くなるそうです。
警察官とはなんて大変な職業なのだろうと、心底感服しました。
突然の死臭に逃げ惑う2階の住民
お巡りさんは、窓から侵入して、遺体のある部屋の部屋の電気をつけた後、玄関の鍵を開けて出てきました。部屋の中は、真夏の高温で、遺体が既に腐乱しており、ハエやウジ、腐敗した液体で相当にすごい状態になっているという想像を絶する状況の模様。
暗くて見えませんが、相当の虫が湧いていたそうです。
キンチョールや蚊取り線香を求められましたが、あいにく部屋になかったため、劣悪な環境の中で処理をし始めました。
時刻は深夜1時過ぎ。
警察官が、亡くなった部屋の住民の換気扇をつけた瞬間、一気にメタンガスを主成分とする刺激臭が2Fに駆け上がりました。
死臭は無色透明ですがその威力は凄まじく、2階にある5つの部屋は一斉部屋の明かりがつき、鼻と口を覆いながら、バルサンで焚かれたゴキブリの如く、男子大学生と思わしき住民が、寝間着姿のまま階段を駆け下りてどこかに行ってしまいました。
その晩、出ていったアパートの住民は誰も帰ってきませんでした。
本署から刑事と鑑識が到着
やがて、本署から刑事と鑑識が到着しました。遺体を載せる白い担架と、カメラ、他機材が投入されました。
- 以下の写真撮影は許可を取りました
- 隣家が写り込まないように一部加工しています
鑑識と刑事が到着
新聞の日付を検証する鑑識
1Fの窓からの概観を撮影する鑑識と刑事
問題の部屋の鍵が開いている様子を確認
電気をつけて問題の部屋を検証する様子
必要な道具を準備する、刑事と鑑識
奥の開いている部屋が問題の部屋
真夜中ということもあり、総勢5名体制で問題の部屋の検証を行い、遺体を司法解剖するために、私の部屋の玄関の前で、担架を置いて体のパーツごと運んでいった模様です。
刑事ドラマと違い、遺体の損傷が激しい中、過酷な状態を淡々と処理される警察官には頭が下がる思いです。
幸いにも深夜だったため、周辺住民に知られることもなく、こっそりと処理されたようです。3時半にはすべての処理が終わり、警察関係者は本署に帰っていきました。
家財・衣類は全て破棄することに
その後、一週間程度で都内へ引っ越すことになりました。
問題発覚後、不動産屋に掛け合いましたが対応が悪く、代わりのホテルや住居は用意されず、一時は友人宅に避難しました。
家財道具、衣類、食器すべて死臭で臭いがついてしまいました。これらは結局全部破棄することになりました。
唯一、スーツはクリーニングに出して、PC、大学院時代の論文、専門書等は捨てずにやむを得ずファブリーズによって臭いをごまかしつつ、いまも押入れの奥で、ダンボールの中に封印されています。
その当時、隣人の死による家財道具等の損害賠償については、火災保険が適用外だったため不動産屋に交渉して、僅かながらお見舞い金をいただきました。
ともあれ、ある日突然自宅が火事になって焼け出されたような状態です。
その話はまた後日書こうと思います。
その後、亡くなった隣人が住んでいた部屋は、特殊清掃が行われてオゾン脱臭等の処理がなされ、床板、フローリング、壁紙の張替えがなされたようです。
今もそこには住人が住んでいることでしょう。
結局、隣人は病死か自殺、他殺かは分からないまま、今も真相は闇の中です。
皆さんも異臭に気がついたら、まず隣人の安否を心配しましょう。
最後までお読み頂きありがとうございました。
次回もお楽しみに。