はじめに
これまで、基本的な人の描き方について、特に「形」の取り方などを
書かせていただきました。
今回はその中に「心」を入れる「感情表現に」ついて簡単にまとめてみました。
ステップ1:感情表現の基本
古来より大きく人の感情は「喜怒哀楽」という言葉で表されてきました。
もっとも人に伝わりやすい顔の動きであるからです。
「喜」……喜ぶ
「怒」……怒る
「哀」……哀しむ
「楽」……楽しむ
これらを表す場合普通の人物の顔は「表情筋」というものがあり
これが大きく感情により動くことで、各パーツの位置や大きさ・形が変わります。
実際に上の図で、筋肉の動く部分にしるしを加えた図です。
たとえばうれしい時は眉と目じりが下がり、頬と口角が上がったりしています。
自分の顔で鏡に向かって表情を作ると
どこの筋肉が動いて、パーツが変わるかがよくわかります。
ただ、実際には目が一番感情の根底が表現されるというほどポイントになり
楽しい物、好ましいことには瞳孔が開き、嫌悪や憎しみがあると瞳孔が狭くなります。
漫画的表現だと、強い怒りや高ぶりを表す際に目から炎が出る、
という表現もありますね。
では、細い目や糸目の場合はどうなのか、という場合ですが
これはその分眉や目のカーブの向き、シワ、口元で
表現可能です。こういうキャラの設定は
感情の起伏の少ないキャラの設定にされることも多いですが
影や髪、漫画的記号(しずくや怒りマーク、音符など)で
豊かな感情を表すことが可能です。
また、同じ喜びや怒りでも感情の大きさによって表現が異なります。
その場合は一番の大きさは口になると思います。
「腹の底から」という意味で感情を吐き出すのは
やはり呼吸を発する口の開き方が鍵ですので
そのあたりでいろいろ表現するといいでしょう。
ステップ2:感情表現の応用
複雑な感情になるほど、左右のパーツの形も非対称になりますから
大きくバランスが崩れない程度に歪ませるテクニックも大事だと思います。
漫画やイラストで感情を表す際、そのキャラクターの設定やストーリーが
しっかりしているほど必要に迫られた表現が出てきます。
大きく感情が動く人や感情をあまり表さない人もありますし
年齢や性別、角度、状況などいろいろな部分を見て
どの描き方がそこにふさわしいかを描くことを意識していくと
表現豊かなキャラが生まれると思います。リアルに近づくほど、形の変化はより複雑で難しい物になりますが
SDキャラや小さいイラストなど
簡単なキャラクターを描く場合は複雑な表情をいれずに
シンプルに「眉・目・口」で表すと必要な情報のみが伝えられます。
ステップ3:おまけの感情表現
最後に、オマケですが
漫画やアニメに見られるキャラクター表現に「ツンデレ」というものがあります。
一般的な認識は普段ツンツンした攻撃的態度のキャラが
時として好意を寄せるキャラにのみ
かわいらしい態度を見せる様子を主に指すことが多いですが
感情の変化を出すのにとても便利な早ワザが「頬を赤く塗る」です。
自分の描く人物がいつも同じ顔ばかりの人はアングルやポーズだけでなく
まずは表情から直してみるといいですよ。
必ずキャラが生き生きしてくるはずです。
少しでもキャラクター作りにお役に立ちますように。