「玉ねぎアイランド」こと淡路島は現在、玉ねぎ収穫の真っ盛り。先週・先々週がピークだったか6月も中旬に入ると落ち着き、次はお米と畑に水を引く姿が目立ち始めています。淡路島は気候的に三期作が出来るので。
そろそろ淡路島に玉ねぎ購入のための他府県ナンバーが増えてくる頃と言います。去年も、西は高知や愛媛、東は尾張小牧や石川ナンバーまで見かけたので、淡路島を走る車のナンバーを見るのが、ここ数ヶ月楽しくなりそうです。
親いわく、関西のローカルニュースだと思いますが、淡路島の玉ねぎ収穫やってます的なニュースが多くなっているそうです。先日戸籍抄本GETのために弾丸帰省した時に電話した時も、たまねぎたまねぎと電話口でうるさい。わかったわかった、「実家宿泊料」はたまねぎで払えってことやろ!
しばらく文句は言わせないために、たまねぎをダンボール一箱分買って持って帰ってやり、親の口を封じ込めました。1箱あれば1シーズン困らんやろ。
島内だけでなく、私のネット上の周囲も玉ねぎ食わせろだ、玉ねぎ送れだうるさすぎて、淡路島の形自体が最近玉ねぎに見えてきた。あかん、もう「淡路島病」という疾患かも。
先日、大阪府経由で神戸市まで出向きパスポートの申請に行きました。島から神戸の単純往復ならバスを使う方が賢いのですが、大阪まで戸籍抄本を取りに帰ったので今回は車。
しかし、阪神高速神戸線がいつも恒例大渋滞だったので、湾岸線に逃げたらそこもアウト。出口出るだけで1時間近くかかったのと、ほうほうの体で三ノ宮に着いたら、駐車場がことごとく満車でえらいことに。やっぱり車で来るものではない。
淡路自動車道の高速に乗って帰った帰路でのこと。どうせ今日一日休みなので時間はたっぷりある。普段使わないICで下りてやろうと、いつもの冒険心スイッチが作動し全然違うICで下りました。ナビも敢えてオフ。道に迷って迷子になって不安どころか、オラ、ワクワクすっぞ!という感じでしょうか。
するとICを下りてすぐのところに、
この建物が目につきました。
淡路島なら特に珍しくもない、玉ねぎの直売所です。
しかし、ピンクの看板がやけに目に入る。ピンク色というだけで広告効果はあるらしい。
このピンク色の看板を見た時、nychさんの下の記事を思い出しました。
記事中に、私のコメント(はてブ)を転載し紹介してくれていました。
玉ねぎの保存方法、間違ったことは書かなかったものの、書き方が適当だったので、文字制限があるはてブやなくて、コメント欄にきちんと書いておけばよかったかなと。
しかし、せっかく淡路島に住んでいるのだから、玉ねぎのことなら餅屋of餅屋の玉ねぎ農家に聞けばいい。
と書くと、たまねぎ屋ならそこら中にいるので簡単なことだと思いますが、島民の気質は良くも悪くもかなり保守的なので、あまり外来種に心を開かない&口下手。関西ならお馴染み上沼恵美子(南あわじ市出身)のような突然変異もたまーに出てきますが、島民は基本無口です。
それ故に、なかなか話してくれないor質問しても返ってくるのがひと言で、なかなか会話が続かない。これは私の質問力が悪いのが原因の一つですが(上手かったら、冗談抜きで今頃ジャーナリストにでもなってます。ヘタクソなので学者なのです)、おしゃべりな人以外から話を聞き出すのはなかなか難しい。
商売人でも、大阪人から見ると「あんた商売する気あるの?お金儲ける気あるの?」というレベルのもの。
せっかくモノを買ったのに、下を向いて無表情、客に向かって警戒心オーラ出しまくりで「ありがとうございます・・・」あんた、客にもの売る気あんの?とクレームつけたい(笑
元々農村な上、農民が期間限定商売人転身という店も多いので、そこは考慮しないといけない。そしてこれが県民性・・・ではなく「お国柄」。淡路島をdisっているわけでも、島民反省しる!と言ってるわけでもなく、大阪人が客観的に見た眼だと思って下さいね。
こういう違いを楽しめないと、海外には行けませぬ。異文化に飛び込めませぬ。中国に10年以上も住むなんて神経が持ちませぬ。淡路島は海外ではないけれど、海外に行かずとも大阪湾を跨いだだけで、十分「異文化」を体験できるのです。
いつもなら、いらっしゃいませも言わない店員さん(≒農家の人の片手間)が無愛想に立っているだけなのですが、ここの店主のおじさんはえらい愛想がよろしい。
一つ質問すると、餅屋らしくスラスラと素人にもわかりやすく答えてくれた上に、人当たりも良い。せっかくだからと、玉ねぎのことについてあれこれ質問してみました。
玉ねぎの種類
玉ねぎには、収穫時期によって3種類の呼び名があります。
1.早生(わせ)
収穫時期:3~4月頃
※「新玉ねぎ」がこれにあたります
※2月に収穫する「超極早生」もあるそうです
2.中生(なかせ)
収穫時期:4月下旬~5月頃(ちょうどGWの頃)
3.晩生(おくて)
収穫時期:5月下旬~6月中旬
それぞれ品種も味も保存方法も違うそうです。
この呼び名は玉ねぎに限ったものではなく、野菜・果物・穀物に共通したものです。稲(米)の場合は、「早稲・中稲・晩稲」と読みは変わりませんが漢字が変わります。
また、呼び名も「早生」は「わせ」と変わりませんが、「中生」は「ちゅうせい」、「晩生」は「ばんせい」と音読みで言う人もいます。
玉ねぎの味
甘みは
早生>>>>>>中生>>晩生
だそうで、淡路島玉ねぎの「生でかじっても平気」というフルーツ感覚なのは、主に早生ものだそうです。アクを取るために水に漬ける必要もないとのこと。
中生ものになると少し辛味が増し、晩生は甘みも十分ですが辛味も十分。詳しく聞くのは忘れましたが、火を通すと良いとか言ってた気が。
店主いわく、地元の人は中生くらいなら生で食べるとのことですが、もし辛味がイヤなら水に10~15分ほど漬け、キッチンペーパーや新聞紙などで水気を切ってから味わえば、辛味が取れ良い塩梅になるとのことです。
保存方法
上の記事では、冷蔵庫に玉ねぎを入れるなんてとんでもない!傷むよ!というコメントがありました。念のために我が母親に聞いてみても、同じことを言っておりました。
「たまねぎは冷蔵庫に入れない」は世間一般の常識として、広く知れ渡っております。
しかし、餅屋に聞いてみると衝撃の内容が!!
「冷蔵庫に保存してもいいですよ!」
え?冷蔵庫に保存するなんて愚の骨頂ってのは、世間の常識になってません?
と言うと、
「我々も冷蔵庫に保存してますよ!」
どういうこっちゃ?
つまりこういうことです。
収穫したたまねぎは、
こんな風に「玉ねぎ小屋」に吊るされて保存するのが筋なのですが、今は収穫量が多くなりすぎて全部吊るしたらキリがない。実際に吊るしているのは「ほんのごく一部」とのこと。
大多数は、集積所にある大型冷蔵庫に保管され、逐次出荷されているのです。話を聞くと、売り物としての玉ねぎは収穫即冷蔵庫行きっぽいのです。衝撃の事実でした。
早生ものは収穫即出荷だそうで、ほとんど干すことはないとのこと。
何故干すのかは、風に当てて辛味を取り、甘みを増すためと聞いたことがあります。元々甘い早生種はその必要すらないほど甘い、ということなのですね。
淡路島公式の「たまねぎの保存方法」によると、晩生ものは糖分も多い代わりに辛味成分も多いので、冷蔵庫に敢えて入れて辛味だけを飛ばす方法もあるそうな。
1.たまねぎをスライスする
2.水分を飛ばして冷蔵庫に一晩保存
3.朝イチに冷蔵庫から出し、常温で辛味を飛ばす
一度お試しあれ。私はまだやったことがないですが、今日晩生ものを買ってきてやってみます。今日の夜は、台所で涙に濡れていることでしょう。
ただし!
と店主は続けました。
「除湿はしっかりして下さいね!」
これが非常に、非常に、非常に重要なのです。ここからはコピペしてスマホに保存しておいて下さい(笑
玉ねぎは湿気や水分に非常に弱く、傷む主な原因はこれ。
市販の冷蔵庫は湿度が非常に高く、冷蔵庫によっては湿度95%なんてものもあります。
「冷蔵庫に入れると傷む」は冷蔵庫自体ではなく、冷蔵庫の湿気が犯人でした。冷蔵庫の保管自体がダメというわけではないのです。
玉ねぎ集積所の冷蔵庫は、温度と湿度がコンピュータ管理された玉ねぎ専用ハイテクものだそう。
店主いわく。
「除湿をしっかりできるのであれば、冷蔵庫でも保管可能です。ただし、水分はしっかり取り、新聞紙などで包んで保管がいいです」
しかし、素人は外で保管するのがベストとのこと。市販の冷蔵庫の湿度管理はなかなか大変というのが理由です。
保管は家のベランダでも全然OKとのことですが、条件として、「風通しがいいこと」「直射日光が当たらないこと」が第一条件だそうです。
ブログではわかりませんが、淡路島は常に風が吹いています。台風でもないのに暴風状態になり洗濯物が全部吹き飛んだり、軽自動車に乗っていて突風が吹き、片輪が浮いたような感覚になったこともあります。だから玉ねぎの栽培&保存に適してるのでしょうね。
また、今の時期淡路島に来ると、
玉ねぎを入れるコンテナをあちこちで見ることができます。
このコンテナは伊達ではなく、ちゃんと風通しをよくするために細かいスペースが空いているのです。
かといって玉ねぎ専用ではないので、ホームセンターに売っているレベルの市販品でOK。売ってなかったら淡路島までGO。島内のホームセンターなら、どこにも売っています。
が、消費者の食べるまでの短期保存であれば、
市販の買い物かごで十分とのことです。
つまり、こんな感じでいいということ。
あ、お隣さんもさりげなく玉ねぎを外に晒してるな(笑
しかし、買い物かごの下には、できればパレットを載せた方がいいとのことです。
「パレット」とは、輸送や私のような貿易をやっている人にはお馴染みですが、人によっては「スキッド」と呼ぶ貨物の下敷きのようなもの。
こんなものです。
貨物輸送でしょっちゅう使う標準の1100mm x 1100mmパレットは、ヘタすれば1諭吉弱します。デカくて置き場所に困る上に、そこまで高いのに手を出さなくてよろしい。小さなものならホームセンターに売っています。
ただし、条件は「風通しが良さそうなもの」なので、写真のようなパレットであれば全然OKです。
外に保存すればあとは放置!という人も多いと思いますが、
「それではダメ」
と店主。
玉ねぎは湿気や水分に極めて弱い
と上述しました。
雨などで玉ねぎが濡れるとそこから傷んでしまう上に、風で晒されていない部分が柔らかくなってゆきます。
なので、カゴに入れた玉ねぎは数日おきに手で軽く混ぜ、シャッフルすることが大切とのことです。まんべんなく風に当てるためです。
少し手で押して柔らかくなってきた玉ねぎがあれば、それから召し上がってゆくとよろし。
保存期間
これは、収穫時期によって違います。
早生ものはアク取りの必要がなく、甘くて果物代わりに食べられる代わりに、保存も効かないそうです。
玉ねぎは数ヶ月持つというのが常識ですが、それは中生や晩生もの。
早生はもって数日だそうです。だから買ったらすぐ全部食べろということ。
中生ものは、湿気のないところで保管すると1~2ヶ月は全然もち、晩生は保存のために品種改良されたもので、6月収穫で年末まで持つと、店主ではないですが地元の人は言っています。
しかし店主が言うように、少し柔らかくなったら食べるということを守ればいいわけですね。
上に書いた保存方法を守れば、1ヶ月や2ヶ月は軽く持つ。こういう解釈でよろしいかと。
ちなみに、今は倉庫の温度・湿度がしっかりしているせいか、収穫時期は決まっていても、出荷のシーズンは昔ほどはっきりしていないとのことです。今は年中出荷していますとのこと。
その他にも店主から色々話を聞いたのですが、会話の内容をICレコーダーに録音しておく価値があった!(←撮っときゃよかったという意味)というほど、勉強になりました。
その「受講料」というのもなんですが、
中生もののたまねぎ(¥380)と、店主の自家製たまねぎドレッシング(¥500)を購入。ドレッシングは他の店で買ったら¥600なのですが、ここは¥100安くなってます。
たまねぎは上記の保管方法でOK、ドレッシングはサラダだけではなくしゃぶしゃぶにも使えるので是非!とのことでした。今日は禁煙25日記念なので、豚肉買ってきてこのドレッシングで一人パーティーするか。
このお店は、店主の人当たりが島民にしては非常に良く、サービス精神が器から漏れているようなお方でした。そのサービス精神溢れるのもう一つの点が、
看板にさりげなく書いていますが、コーヒー一杯無料サービス。
購入者限定とはどこにも書いていないので、休憩所としても使って下さいね、ということなのでしょう。
私も店主に、どうぞどうぞ飲んで帰って下さいとおすすめされて飲んで帰ったのですが、コーヒーごちそうになって手ぶらでは帰れない。それが人の心情というものです。私にはそんな厚かましいことは出来ぬ。そこを狙った戦術であれば、店主もなかなかの商売人である。あ、私がコーヒーを飲んだのは、「購入後」ですからね。
淡路島の農産物直売所数多けれど、ここまでサービス精神旺盛なお店はなかなかないと思います。
神戸方面からなら、明石海峡大橋を渡った淡路ICの次の「東浦IC」を下りたところなので、時間的にもすぐに当たります。
最後に、
「ええ話聞かせてもろたんで、『受講料』と思ってブログで宣伝しときますね。させてもろてよろしいか?」
と聞いたら是非に!とのこと。
地方への発送の電話予約も絶賛受付中!とのことなので、概要を下記しておきます。
㈱K.ファーム
電話番号&FAX:0799-70-4347
担当者:保宗(ほうそう)さん
Facebok:https://www.facebook.com/k.farm.awaji/
Mai : k.farm-katahara@ares.eonet.ne.jp
営業時間:9:00~17:00
休み:月曜日と木曜日は農作業に出ているので不在のことが多し。訪問の時は上記番号にTELをお願いしますとのこと。
秋以降などオフシーズンも店は開いており、玉ねぎの発送も受け付けているとのこと。
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なんてほど私のブログは有名じゃないですが、そういうのも面白そうやな。そろそろ名刺を作っておくかとふと思った、昨日の「お勉強」でした。
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