退職願いを書きましたの直前位の話だと思ってください。
今回は僕の気持ちが完全に萎えたことに関するお話しです。
やりたい事はいっぱいあった
僕にはやりたい事がいっぱいありました。
「挑戦」と「安定」
この二つのキーワードでお話ししたいと思います。
「挑戦」したかったこと
〇優良顧客の事業拡大
A社はいわゆる大企業で、莫大なお金を持て余しています。
数億円出して買ったパッケージソフトが、うまく稼働できなくても痛くもかゆくもない人達です。
会社内のシステム化はあまり上手くいっておらず、どこから手を付けても仕事になりそうなくらい、僕から見たら面白い企業でした。
僕はお客様先で、これからずっと稼働するシステムに対し、
納品が完了した時点でメンバーが解散してしまう、プロジェクトの仕組みに疑問を感じています。
A社向けのシステム開発に携わったメンバーは、昨年末で全員解散し僕一人で質問等に答えていました。
当然、瑕疵担保期間中ですので不具合があれば対応もしていました。
しかし、僕が長期の出張などで対応できないと、完全にお客様先では止まってしまいます。
僕はここを強化したかった。
それまで我が社に無かったサポート契約を実現し、その実績を作りたかったのです。
安定収入が得られることで、
僕以外に専任メンバーを一人つけることができ、
それはお客様の安心感にも、ウチの若手の成長にもつながると考えました。
その為、
お客様から「稟議を何段階も通さなければならない一括発注より、定額の仕組みの方が嬉しい」という話をとりつけ、
僕は上司に話しました。
僕「お客様は長期のサポート契約を望んでいます。人は用意できますか?」
上司「今はちょっと待ってくれ」
—– 数日後 —–
僕「先日のサポート契約の話ですが、人材は確保できそうですか?」
上司「今すぐには回答が出せない。向こうのプロジェクトの話が動き出すかどうかなんだ。もう少し状況を見させてくれ。」
—– 数日後 —–
僕「お客様から『サポート契約ができるのか、できないのか』について、今日中の回答を求められています。
人が用意できないなら断ってしまいますよ。如何いたしますか?」
上司「あっちのプロジェクトの動きがはっきりしないんだ。今は回答できない。」
僕「今というのはいつのことですか?今日中に回答いただけると考えて良いですか?」
上司「・・・・」
僕には人を確保する裁量がありません。
僕はお客様に謝りながら回答を先延ばしにしたのですが、
結局僕が有給消化に入るその日まで、回答を得ることはできませんでした。
〇オリジナル製品の開発
僕は人月商売に疑問を持っていました。
時給いくらのパートやアルバイトと、時間を切り売りする点では何も変わりません。
僕はずっとコピペで売れる商売を探していました。つまり製品販売です。
最近「機械学習」や「ブロックチェーン」など
ひょっとしたら革命が起きるんじゃないだろうかと思われる技術が目白押しです。
ドイツもIoTの基盤がだいぶ整ってきましたし、
本当にIndustrie 4.0(第四次産業革命)が、起きる(いや起きている?)のではないかという状態です。
それらの技術とお客様の話しがうまくつながり、汎用的な製品が作れるチャンスが巡ってきたのです。
僕は製品を開発後、そのお客様をモデルケースとして、他社へ展開していきたかったのです。
お客様には他社に転売することを了承いただき、代わりに金額を安くしてほしいと希望されました。
それまで著作権まで全てお譲りする契約だったので、そこを変えての話ですから正当な要求だと思います。
僕は状況を上司に話しました。
僕「著作権はこちらという条件で、契約を結んでくれるそうです。他社への横展開も可能です。
しかし、お客様は著作権を受け取らない代わりに、金額を安くするように求めています。いかがいたしますか?」
上司「製品開発費用は全て顧客に出してもらえ。」
僕「全額出してもらうのであれば、お客様固有の部分が多くなり汎用化は難しいかと思います。製品化は諦めますか?」
上司「・・・・」
「安定」させたいこと
〇委員会の体制づくり
僕は情報セキュリティ委員会の責任者でした。
いわゆるISO関連で会社に箔をつけるための資格維持を目的とした委員会です。
10年近く続いてきたこの委員会は、何度も責任者が変わってきました。
責任者の解釈に依存した様々な改変が行われ、変更履歴もなく文書の整合性が全く取れない状態となっています。
僕はその状況を何とかしたかったのです。
責任者に依存しない体制づくりを行い安定化を目指しました。
しかし、売上に直接関係がない仕事は上からも下からも冷ややかな支援しか受けられません。
〇上から言われるのは
・あのマーク(ISO認証のマーク)が欲しいだけだ。コストをかけるな。
・真面目にやってどうするんだ。もっと手を抜け。
〇下からは
・前の責任者の方が楽でよかった
・業務優先なんで委員会の仕事なんてできません
僕は「社内のセキュリティレベルを向上」させたかったのですが、
皆の望みは「コストをかけずにISOを維持する」だったのです。
別に場当たり的な認証の通し方で良かったのです。
〇優良顧客の安定化と拡大
B社は先ほどの優良顧客とは異なりますが、ここの会社は継続して大型発注してくれる顧客でした。
専任のリーダーもつき僕のプロジェクトの中では稼ぎ頭でした。
しかし金額は大きいのですが短納期のものが多く、もう一人サブリーダーを立て安定化を図りたいと考えていた矢先の話です。
上司「B社案件のリーダーA君を、別のプロジェクトへ移動する」
僕「待ってください、今大型の案件が走っている最中です。また次期の案件も大型で予定しており、彼を抜かれると縮小するしかありません。何故A君なのですか?」
上司「A君でないと駄目だ。B社プロジェクトは安定しているので、誰がやっても同じだろう?」
僕「安定しているのはA君の力あってこそです。タイトなスケジュールが多くA君もかなり苦労しています。決して安定した状態とは言えません。むしろサブリーダーを立てて安定化を図りたいくらいです。」
上司「決定は変えない。」
僕「何故ですか?そんなに大事なプロジェクトなんですか?目の前にある大型案件捨ててでも、取りたいものなのですか?」
上司「・・・」
僕が「やめてやる」と言った直接の原因はこれです。
(「退職願いを書きました」参照)
ちなみに、A君が移動する予定だったプロジェクトは流れました。
良くしたいと思うことは悪である
僕たちはサラリーマンです。
何かを良くしたいと思ってはいけないのです。
当然ですよね。僕たちは拘束時間に応じてお給料がもらえます。
その拘束時間が、暇であれば暇であるほどサラリーマンにとってはメリットです。
何を好き好んで仕事を増やすのか。ただ、余計なことはせず現状維持すれば良いのです。
「挑戦」も「安定」も認められず、特に納得いく理由ももらえていません。
「ちゃんとやろう」「良くしよう」という気持ちは、上からも下からも否定されました。
自分の心は、どんどん砕けていきました。
この会社では、やりたいことは何もできない
そう感じながら会社を続けていた時は、同じ愚痴を繰り返すだけのつまらない男だったのです。
(「退職願いを書きました – 「辞めたい」けど「辞めなかった」7つの理由」参照)
「つまんねー」
「飽きた」
「XXXX(自分の会社名)の為に働きたくない」
「儲けさせたくない」
まとめ
今回ご紹介した以外にも、もっとやりたいことはあります。
心は完全に萎えていたのですが、有給消化に入る直前までずっと提案し続けました。
でも何もできなかった。
おわり