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小池都知事の謀略人事? 「森元総理」側近が叩きつけた辞表

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週刊新潮 2017年6月22日号 
2017/6/15発売

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「女城主」の攻めが始まった?

 東京都庁の実権を掌中に収めた女城主・小池知事からすれば、東京五輪組織委員会は何としても奪取したい「城」である。何しろ、金を出し、人も送り込んでいるのに居座るのは森喜朗会長なのだ。となれば、これは敵の“外堀”を埋める作戦なのか。森氏の側近に発令された意外な人事――。

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 2月28日、東京・新宿にそびえる東京都庁庁舎では、この日発令された人事が波紋を呼んでいた。

 職員の1人が言う。

「東京都から五輪組織委員会に出向していた平山哲也という人物が“退職”となっていたのです。定年より10年以上早い49歳だったことも意外でしたが、組織委員会での役職が役職だけに、何があったのかと、皆驚いたのです」

 この平山氏、組織委員会にとってはキーマンとも言える存在である。2014年2月に都のスポーツ振興局組織委員会設立担当部長から組織委員会に出向した平山氏は、昨年、役員室長に昇進し、森会長の秘書役を任されていた。

「平山氏は、外務省の文化交流部に出向するなど都庁でもエリートコースの幹部です。組織委員会に出向してからは森氏と都庁とのパイプ役を務めていた。ご存じのように五輪組織委員会は官民の寄り合い所帯ですが、平山氏は古巣に気兼ねすることなく森氏の意向を伝えていたことから、余人をもって代えがたい人材でした」(同)

 退職しなければ局長クラスの出世も望めたと言うが、何があったのだろうか。

 別の都庁職員が言う。

「年明けから組織委員会に対して平山氏を戻せと要請があったのです。具体的には小池知事が強く求めたと聞いている。一方、平山氏は抵抗していましたが、知事に楯突くと、どんな冷遇を受けるか分からない。そこで都庁を辞めて組織委員会に留まることにしたのです」

 何かと対立する森会長から側近を引き剥がすという小池氏の“作戦”なのだろうか。一方、東京都に聞くと真っ向から否定する。

■食い違う言い分

「都庁から組織委員会への出向期間は3年とされており、平山氏は、今年が期限となっていたのです。しかし、1月末にはそれを更新しており、出向を無理矢理解こうとしたわけではありません。あくまで退職は本人の申し出によるもの。小池知事が処分をチラつかせたということもありません」

 もっとも、その延長は今年の3月まで、というもの。平山氏本人に聞くと、

「出向を解く旨の連絡は今年1月に入ってからありました。私を戻さなくてはいけないというのが、都庁の意向です。しかし、IOCからも大会が終わるまで組織委員会の幹部を変えるべきではないと言われているのです。個人的にも五輪を目前にした段階で組織委員会の仕事を離れるのは本意ではなかった。そこで森さんや武藤さん(敏郎・事務総長)と相談して退職することにしたわけです」

 どっちの言い分が本当なのか。ちなみに平山氏と同時期に出向していた職員には、なぜか2年の延長が打診されている。

 女城主の謀略による「城攻め」はもう始まっているのかも知れない。

ワイド特集「我が世の春」より

  • 週刊新潮
  • 2017年3月23日号 掲載
  • ※この記事の内容は掲載当時のものです

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