2017年6月16日、第二回安全運行サポータ協議会セミナーが開催された。輸送事業者にとってドライバーは経営を支える重要な財産。佐川急便が週休3日制を導入し、人材採用市場にアピールするなど、ドライバーの確保が課題となっている。
人材採用という側面では新規にドライバーを採用するという点も重要だが、既存のドライバーに如何に長く働いて貰えるかを考慮する必要があるが、輸送事業者では「ドライバーの高齢化」が経営課題になりつつある。
そこで、従来の「安全運転」の捉え方が拡大し、ドライバーの疲労状態や健康状態を企業として管理し、健康な身体で長く働いて貰おうという取り組みが輸送業界で始まっている。
本セミナーは、そういったドライバーの「安心・健康管理」に着眼点を置き開催された。筆者も本セミナーに参加したので、イベント内容をレポートしたい。
■ドライバーの健康状態を管理するシステム
展示ブースでは、ドライバーの健康状態改善に繋がる様々なサービスが展示されていた。
株式会社タニタヘルスリンクのブースでは、ドライバーの体重、歩数、心拍数等のバイタルデータを管理する仕組みが展示されていた。従来からドライバーの健康に配慮していた企業では、ドライバーの健康管理は実践されていたが、その多くは手作業によるもので有り、管理コストがかかっていたという。
タニタヘルスリンクの仕組みを導入すれば、体重計に乗るだけで体組成情報がサーバに送信され、ウェアラブルデバイスをかざすだけで、これも自動的にデータが送信される。健康管理の工数が大幅に削減出来る。
■ドライバーの疲労と眠気を検出
ユニークなシステムを展示していたのはデルタ工業株式会社だ。同社は座席シートにマットを装着し心拍数等を取得することで、ドライバーの疲労度合いや、眠気を測定し、眠気が検出された場合には「喝!」と一括されるシステムを展示していた。導入価格は1台15万円。補助金を利用すれば半額で導入可能。クラウド等との連携は行っていないので、ランニングコストがかからない点が特徴だ。
■Fitbitと車載器(Cariot)による実証実験
実は、私も出展者として参加していた。我々は株式会社フレクト様と共同で、Fitbitと車載器(Cariot)を組み合わせた実証実験を行ったので、その発表を兼ねて参加した。
我々出展内容は運送業者協力のもと、ドライバー、トラック各々10台にFitbitとCariotを取り付け、一ヶ月間の間業務を行っていただくことで、ドライバーの健康状態や危険運転がどの程度可視化出来るかを評価した。
結果は良好で有り、Fitbitを装着しているとドライバーの睡眠時間を記録することが可能だが今回の実験で対象となった実に85%から、睡眠時間4時間以下の日が検出された。(但し、検出された日は休日前という可能性も有る)当然、ドライバーの健康状態は業務開始前の点呼等で確認されてるが、睡眠時間は自己申告に頼っている状態。こういった結果がわかり短睡眠時間者には仮眠を取らせる等の配慮が可能になれば、ドライバーの安全の確保並びに、輸送業の品質改善に大きく貢献出来る可能性が有るだろう。
また、車載器(Cariot)では、ドライバーの急加速、急減速が何回あったかを検出すること「危険運転レポート」を生成することが可能だが、これも今回対象となったドライバーのうち57%で「危険運転」が検出された。
こういった「危険運転」レポートを基に、危険運転が頻繁に見られるドライバーには安全運転を指導するなどの業務改善が可能となる。
■安全運転管理は次のフェーズに
今、輸送業界ではEC業界の活性化などにより多忙を極めるようになってきている。ドライバー一人あたりの業務量は多忙を極め、安全運転は従来のドライバーまかせでは十分とは言えなくなってきている。一方で、IoTの技術を取り入れ、ドライバーをサポートする仕組みも次々と登場してきている。
そしてまた、こういった仕組みを導入することが「ホワイトな企業」と認知され、ドライバー採用にも影響を与えてくるではないか?そんなことを感じたセミナーであった。
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