旅館業法による「民泊」(1)

旅館業とは

そもそも旅館業とは、旅館業法(昭和23年法律第138号)において、「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」であることとされ、「宿泊」とは「寝具を使用して施設(ホテル、旅館等)を利用すること」とされています。

この中で、簡易宿所許可〔厚生労働省〕申請で、帳場(フロント)設置が大きな壁になることが多いのですが、国土交通省が進める「民泊」に影響されてか、規制緩和がすすんでいます。

「旅館業における衛生等管理要領」(厚生労働省)で簡易宿所でも玄関帳場(フロント)の設置を求め、各自治体はそれに応じ、玄関帳場(フロント)設置を条例で制定していきました。

平成28年になって、旅館業(簡易宿所)許可要件について通達がありました。

これは、実に大きな変化です。

厚生労働省「旅館業法施行令改正」による、簡易宿所における「客室の延床面積要件」緩和と、「旅館業における衛生等管理要領」改正による簡易宿所の玄関帳場(フロント)に関する基準が改正されました。要は設置要件の緩和です。

ここで、厚生労働省の通達を見てみましょう。

■「簡易宿所営業」の許可基準

・「玄関帳場〔フロント〕」について、
生 食 発 0 3 3 0 第 5 号
平 成 2 8 年 3 月 3 0 日

旅館業法施行令の一部を改正する政令の施行等について
〔一部抜粋〕

  特に、上記第2(別紙1新旧対照表)のとおり、玄関帳場等の設置について、宿泊者の数を10人未満として申請がなされた施設であって、要領のⅡの第2の3(1)及び(2)に掲げる要件を満たしているときは、玄関帳場等の設備を設けることは要しないこととするところ、改正の趣旨を踏まえ、簡易宿所営業における玄関帳場等の設置について条例で規定している都道府県等においては、実態に応じた弾力的な運用や条例の改正等の必要な対応につき、特段の御配慮をお願いする。

なお、この場合における当該要件の具体的な内容については、「旅館業法施行規則の一部を改正する省令の施行について」(平成24年4月1日付け健発0401第1号厚生労働省健康局長通知)の第2の4及び5に示した例などを参考としつつ、使用する施設の構造や管理体制等を踏まえ判断願いたい。

厚生労働省と国土交通省が「民泊」を旅館業法の「簡易宿所」に位置づけで収益をあげるには都道府県知事の許可が必要です。

(次回は「どのようにすれば「簡易宿所」として許可が取れるのかを解説します」)