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♪「Pon pon pon…」
♪「愛の言葉をリル」
♪「シャイなハートがドキドキ」
♪「あの日観てた“サウンド・オブ・ミュージック”」
♪「瞼閉じれば蘇る」
♪「幼い頃の大事な 宝物だけは」
♪「ずっと この胸に抱きしめて来たのさ… Ah ah」
♪「夜の酒場で Lonely」
♪「あの娘 今頃どうしてる?」
♪「さなぎは今、 蝶になって」
♪「きっと誰かの腕の中」
♪「肩寄せ合い 声合わせて」
♪「希望に燃える 恋の歌」
(みね子)<お父さん…。すずふり亭で働かせてもらうようになってから何日か たちました
。夜が前より遅い分朝が つらいです…。朝は眠いです…>
(目覚まし時計の音)
・(目覚まし時計の音)
(早苗)早く止めろ 目覚ましを。
・(目覚まし時計の音)
止めろ!
あららら毎朝 これは きついですねえ。
このころの木造アパートだと音が漏れちゃいますよね。
また みね子ちゃんの目覚まし音が大きい。
・(目覚まし時計の音)
(啓輔)もう 朝ながか…。
・(目覚まし時計の音)
あらあら いいんですかね寝てしまって。
それにしても全然 描けてないですねぇ…。
あら こちらは全然 動じませんね。
大学の試験勉強でしょうか。難しいんでしょうね。
(目覚まし時計の音)
はぁ… 半端な時間だ…。
おはようございます!(秀俊)おはよう!
ダスター 洗って お米 とぎますね。うん よろしく。
はい。
<お父さん 私の好きな開店準備の時間が始まります。今日も 忙しくなりそうです>
♪~
(省吾)はい ハッシュ あがった!
(秀俊)はい!4番さん ハッシュ あがりました!
(省吾)元治! ハッシュの肉多めに用意しといてくれ。
(元治)はい!
はい ソテー あがったよ!
(元治)ソテー あがったよ!持ってって 早く!
(高子)は~い。
腹立つわ~。はい エビ あがった!早く持ってって!たまってるって!・はい。
<開店準備が好きだということは開店してからは まだまだ全然ダメだということで…。客
観的に見ると今まで ホールと兼任だったヒデさんが戻った調理場は戦力が アップして
いるわけですが…>
あの パンは 少々 お待ち下さい。
<それに比べて ホールは明らかに戦力が ダウンしているわけでして。そして それは
ヒデさんから 私になったからで>
お待たせ致しました。失礼致します。
<でもね お父さん。私 一つだけ 自慢と言えるほどのことではないんですけど一つだけ
やってないことがあるんです。それだけは やってない。気を付けてる。それが 私の誇り
というかフフッ 自慢というか実は 勤め始めから 今日までなんと 一度も お皿を…>
はい カツ あがった!
<お皿を一度も… お皿を一度も…>
はい バーグ あがった!たまってるぞ 早く持ってけ!
はい! あ…。
<割ってない…>
(割れる音)
<…んです>
♪~
(省吾)おい。・(元治 秀俊)はい。
(鈴子)どうした?(省吾)うん。
みんな ちょっといいかな?
(省吾)ちょっと座ろう。
(鈴子)ほら みんな 座って 座って。
みね子。
大丈夫か?
あ… はい。
がっかりしてんのよね。えっ?
仕事 始めてお皿 割ったことなかったもんね。
分がってたんですか?
そりゃ 分かるわよ。残念だったねえ。
(元治)へえ すげえじゃん みね子。いや 割ってがら褒められでも。
あっ そっか! ハハハハハ!
えっ?ん?
初めて 皿 割ったことにしょんぼりしてたのか? みね子。
あ… はい…。
何だよ!えっ?
えっ そうなの? 何だ~!えっ? すみません。
(省吾)いやいや いいんだ。あっ そう?
どうしたの?えっ?
いや…何か ちょっと かっこよく話でもしようかなと思ったんだけど そういうことか。
何よ もう ついでだから話しちゃいなさい。
(省吾)ついでって何?
いや…。
俺もさ 気を付けてはいるけど忙しいとつい こう 声が大きくなって「早く持ってけ」とか…
。
そういうの ほら高ちゃんとかは あれだけどみね子は ひょっとしたら怖がってんのかなと
思って。
えっ?そういうこと。
「高ちゃんとかは あれだけど」って何ですか?
えっ? そんなこと言った? 俺。言いました。
「あれだけど」ってどういう意味ですか?
えっ?えっ?
慣れてるから大丈夫なんだけどって 意味じゃないですか。
そういうことだよ。
ふ~ん なら いいけど。
私 気にしてないですよ 全然。
えっ そうなの?はい。
うちは優しい方じゃないすか?ほかは もっと すごいっすよ。
(省吾)そうだよな。なら いいんだけどな。
俺 嫌いなんだよ。
死んだオヤジはさ全然 怒らない人でどんなに忙しくても仮に誰かが失敗してもニコニコし
てて「はいよ できたよ」って…。そういう人だった。
だから 俺もそういう店にしたいと思ってる。
まぁ 俺も若い頃によその店に修業に行ってな レストラン。
大きな店だ 有名で…。
実際たくさん 勉強させてもらった。
でも うちみたいに 調理場とホールが続いてなくて 調理場は別。
お客さんからは見えない。聞こえない。
だから…。
結構 ひどくてな。どなり合って上の者が下の者を殴ったり…。
それに ホールの人にも…。
すごかった…。
そんな雰囲気の中で作った料理なんかうまいもんかって思ってたよ。
(省吾)軍隊も そうだった。
何やってもダメでいつも どなられて殴られてばっかりいるやつがいた。
それ 見てんのが つらくてな。
かばったら 今度は 俺が殴られる。
何なんだ これはって思ってた。
初めて聞くね その話。
あんた軍隊の話は 全然しなかった。
忘れたかったからね。
(省吾)でもな…。
一番悲しかったのはその やられてたやつが自分より下が入ってきたら一番厳しくて…。
自分がやられたように下のやつ 殴ったりしてたことだ。
(省吾)嫌なもん見てるなって思った。見たくないなって思った。
(省吾)でもな…。
人間はやられっ放しじゃ生きていられないんだよ。
そういうもんだって俺は思うんだ…。
(省吾)無理もないところもあるんだ。
だから 余計に 悲しいし嫌なんだ。
(省吾)戦争 終わってあぁ もう こういうの見なくていいんだって思って。
それが うれしかった。
♪~
ごめん 話 それた。
いや…。
だからな 気付かないうちにみね子 怖がらせてたら嫌だなと思って。
そんなことないです。
そうか。
はい!
そんなこど 考えさせでしまってすみません。
♪~
(高子)でも まぁ あれですよねえ。
ん? 何だ?
料理が あがってなかなか運べない時「早く持っていけ」って言われるとちょっと 腹が立
ちますよね。
そう?
(元治)できたもん。
冷める前に持ってってほしいって当たり前の話でしょ? なぁ?
えっ? ええ まぁ…。
(高子)もちろん そのとおりです。おっしゃるとおり!
出来たてを とにかく早く私たちも届けたい。
でもね 私たちの仕事は料理を届けるだけじゃないんです。
その前に準備もしなくちゃいけないしほかにも山のように 仕事があるんです。
料理ができたから早く持っていけって言われたら「分かってるわよ!」っていう気持ちには
なる。
(鈴子)そうだよねえ。(省吾)なるほど。
(元治)はぁ?はぁ?
なぁ?
まぁ でも軽~く 復讐させて頂いてます。
復讐ですか?うん 本当 軽くね。
どういう時だよ?
あの お客様に催促された時「すみませ~んカツ まだですかぁ?」。
確かに その顔する!(省吾)するな~。
(秀俊)腹立ちますよねそん時の高子さんの顔。
何だって? ヒデ。いえ 何でもないです…。
いいね いいね こういうの。ね~!(省吾)そうだね。
「エビ まだですかぁ?」。腹立つ~!
「あがりましたけど?」。(高子)「エビ まだですかぁ?」。
(元治)「あがってますけど~?」。(笑い声)
<お父さん。私は 恵まれてるなと思います。すてきな職場です。ありがたいです。お父さ
んはどっかで働いていますか?そこには 笑顔はありますか?>
(元治)「ガロニを下さい」。(笑い声)