8年に及ぶ長期上昇相場の米国株
米国株は2017年に入り、好調を維持しています。そうなると、大きなキャッシュが手に入った場合に投資先をどうするかという悩みになります。
すでにポジションを持っている人は、ほとんど全員が全株利が乗っている状態なのでしょう。これがプラスサムゲームの真髄です。結局、勝っている市場に乗るというのはそういうことなのです。
2009年から相場は上昇しており、8年間の上昇相場ということになります。日本はもちろん、世界を振り返ってもなかなか無い、長期上昇相場です。
人の行く裏に道あり 花の山
人とは違うことをしたほうが、旨味があるとする投資の格言です。みんなが上昇相場で、株を買っているような相場だとするならば、どうなのでしょうか。S&P500のPERも20倍を上回る水準が続いています。
私はこういう相場の時は、自分の持っている資金を一括ですべて投入というのは避けるべきだと考えます。
多くの人は「おそらく、(あるいは)絶対に上がるだろう」という希望的な観測を抱いて買い参入します。最初から負けることを考えて投資する人は多くありません。今のような上昇相場の時は提灯がついたり、未経験者の参入があったりします。
そのため、そういう楽観的な見通しを持って買っている人が増えていることが予想されます。しかし、現実には株の名人でさえも負けることがあります。株式投資界の巨人であるバフェット氏がIBM投資で予想を外したことは記憶に新しいところです。
こうしたことを踏まえて、ご質問を紹介します。
事業売却に伴う5000万円をどのように投資にまわすべきか。
たばぞう様
いつも拝見しております。今回はじめて質問させていただきます。
現在、事業などの売却益等で直近2,3年で使う可能性がある額を多めに除いても、少なくとも10年以上は使う予定のない預金が5000万以上あります。
この現金を投資に回したいのですが、ここ数年の株価があがりきっている今のタイミングで大きな金額を一気に入れるのも怖い面があり、どうすればいいかと悩んでおります。
3%程度のリターンを目指し、2,3年かけて数十万円ずつバランス型ファンドなどに積み立てていくこともできるのですが、何が正解なのかわからずにいます。
投資の上で正解などないのは承知の上ですが、たばぞう様であれば、どのタイミングで何にどの程度の量をどのくらいの期間をかけて投資されますでしょうか。
ブログで取り上げていただいても構いませんので、アドバイス頂けると幸いです。
よろしくお願いいたします。
バランス型ファンドを選択するのは間違いではない、が。
バランス型ファンドを選択するのは間違いではありません。リスクヘッジという意味では、適切な選択になりうると言ってよいでしょう。ただし、山崎元氏のこういうご意見もあります。
バランスファンドがダメな4つの理由
さて、運用商品としてのバランスファンドの可否については、世間的な専門家の間で賛否両論がある。筆者は明確に「否!」の立場なのだが、理由は以下の4つだ。
(1)リスクの大きさ・内容が把握しにくい
(2)リスクの大きさ・内容のコントロールが難しい
(3)コストが割高
(4)アセットアロケーションの特別な能力は誰にもない
バランスファンドが本質的にダメな4つの理由 | 山崎元のマルチスコープ | ダイヤモンド・オンライン
相変わらずのスパッとした分かりやすい切り口は山崎元氏ならではですね。3000円投資の横山光昭氏もお話しした際に、「実は米国ETFについて触れようとしたけど、編集から『一般には難しいから・・・』と止められた」というエピソードを開陳されました。
初心者向きという意味ではバランスファンドには魅力があるのでしょうが、やはり私は米国ETFを柱に組み立てるのが王道だと思います。下の関連記事で紹介するボーグル氏の主張にも目を通してみてください。
米国ETFをどのように買い入れていくのか。
5000万円ですから、1年あたりざっくりと1000万程度投入していくのが良いかと思います。3~5年あれば十分な分散、研究期間、経験の積み重ねができるからです。
だいたい1か月につき80万円程度です。少ないと思われるかもしれません。この間、ブログを巡回したり、書籍に目を通すうちに知識と経験が追い付いてきます。この知識と経験が備わるまではあまり派手に相場に張らないほうがよいです。
ただし、投資を実践しないと本気の学習になりません。だから、決められた額で投資していくのです。
十分な知識と経験を得て、相場の環境が魅力的に思えるならば投資のスピードを速めても良いでしょう。いろいろなチャートや記事を読むと「自分も早く追い付かなくては!」と焦りがちですが、ゆっくり投資しながら学習をしていくのですね。
少なくとも今はそういう時だと感じます。
関連記事です。
米国の人口が伸び続ける、米国が覇権国である限りにおいて、米国の経済成長は多少の波がありつつも右肩上がりなのでしょう。
金融庁が示す、有望な株式ETF。インデックス。その具体的な内容について触れています。この金融庁の見解も参考になります。
下記で紹介するVTI、VYM、BNDを組み合わせて資産を増やすという考え方です。それぞれに分散の効いた良いETFです。バンガード偏重が気になるならば、IVVをトッピングしてもよいでしょう。