2017年6月1日(木)

<狭山虐待死>母主張「虐待したくない」「虐待は男提案」反省文で涙

 狭山市で昨年1月、藤本羽月ちゃん=当時(3)=が冷水をかけられて放置されるなどして遺体で見つかった虐待事件で、保護責任者遺棄致死や暴行などの罪に問われた、母親の無職藤本彩香被告(24)の裁判員裁判の第3回公判が1日、さいたま地裁(高山光明裁判長)で開かれた。被告人質問で藤本被告は昨年12月以降「自分は虐待をしたくないと思うようになった」と主張した。

 藤本被告は2015年5月ごろから、大河原優樹被告(26)=保護責任者遺棄致死罪などで懲役12年6月の判決=と同居し、同6月に妊娠が発覚。共謀して9月ごろから羽月ちゃんに虐待したとされる。

 被告人質問で弁護側から当時の状況を問われると、「つわりがひどく、精神的にも不安定になった。彼(大河原被告)の束縛で外出もできず、羽月にイライラした」と説明。虐待は「彼が提案した。私も羽月が静かになってくれたらいいと思っていた」とした。

 検察側証拠によると、藤本被告は大河原被告とのけんかを機に15年11月、子ども2人を連れ実家に帰ったものの、その後大河原被告との生活を再開。12月からは冷水をかける虐待も始まったとされる。

 藤本被告は「母には、彼のところに戻ったら縁を切ると言われた。縁を切ったことで羽月が人目につかなくなり、彼の虐待がエスカレートした。私は虐待をしたくないと思うようになっていた」と主張。止めなかった理由については「経済的、将来的な不安があった。彼にしか頼れず、居場所はここしかないと思った」とした。

 両被告のライン(LINE)からは、昨年1月5、6日に羽月ちゃんが体を震わせるなどの症状があったことが記されている。ただ、藤本被告は「症状が治まったので気にならなかった」と述べた。

 公判では藤本被告が書いた反省文が読み上げられ、藤本被告が涙を見せる場面も。羽月ちゃんに対しては「申し訳ない気持ちでいっぱいです」と謝罪した。

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