児童虐待6割は「実母から」 滋賀、過去最多に
2016年度に滋賀県や県内市町が児童虐待と認定して対応した子どもの数が6062人となり、過去最多だった前年の6023人を39人上回ったことが14日、県のまとめで分かった。実母からの虐待が6割を超え、前年から継続して支援を受けている子どもが全体の8割近くを占めた。
虐待の種別では、暴言を浴びせられたり無視されたりする心理的虐待が前年度比92人増の2071人で最も多く、暴力を受けるなどの身体的虐待が74人増の1986人、育児放棄(ネグレクト)が99人減の1942人と続いた。性的虐待を受けた子も28人減ったが63人いた。
年齢別では、小学生が2280人で全体の37・6%を占めた。3歳から就学前の児童が1136人、中学生が1021人、0~3歳未満が926人と続いた。全体の63・9%が実母から虐待を受けており、実父からが28・2%、実父以外の父親からの虐待も3・4%あった。
16年度に新たに虐待と認定された子が1398人なのに対し、前年から引き続き支援を受けている子が4664人と76・9%にのぼった。虐待の解消に向けた支援が長期間に及んでいることを示した。
県が設けている3カ所の子ども家庭相談センター(児童相談所)に寄せられた通告件数をみると、警察からの通告が831件で前年度の2・7倍に増えた。警察庁が16年4月に、すぐに虐待と判断できない児童についても児童相談所などと情報共有するよう通達したことが背景にあるという。近隣や知人からの通告は412件で166件減ったが、市町からは215件と154件伸びており「児童相談所よりも最寄りの市町へまず通報しようという意識が高まっているためではないか」(県子ども・青少年局)とみている。
児童虐待で県などの支援を受ける県内の子どもは、2011年度の3596人から1・6倍に増加している。県子ども・青少年局は「虐待の要因には親の経済的困窮や社会からの孤立など複数がある。市町と連携を深めて細やかな支援を続ける」としている。
【 2017年06月15日 09時20分 】