日本とフランスの孤独死による遺体の腐り方に、違いはあると思いますか?
日本でもフランスでも、孤独死した遺体だけに限らず、すべての遺体は絶対に腐りますが、その国の気候や風土によって、遺体の腐り方に多少の違いが生じます。
今回は、フランス在住の元葬儀屋が語る、「日本とフランスでの孤独死の遺体の腐り方がどう違うのか」をご紹介していこうと思います!
目次
楽天家に見えるフランス人は、実は内向的!?
日本での孤独死は、身寄りのいない高齢者や離婚後に1人暮らしをしている40代の中年男性が圧倒的に多いのが特徴です(下図参照)。
フランスにおいては、よくあるのが一人暮らしの老人などで、夜中に心臓発作や心筋梗塞で孤独死してしまうケースに加えて、若者の自殺も多く挙げられます。
フランス人は楽天的な割には、内向的な人も多く、20代の若い男女でも思い悩んで自室で孤独死してしまうことが多くあります。
持病を抱えている人も多く、末期癌でも自宅に1人で暮らしている場合も普通で、訪ねてきた医師や看護師が孤独死している遺体を発見することもあるのです。

日本の孤独死は中高年の男性が中心
日本の遺体は溶けて脂っぽい液体になる!
日本は、湿気の多い国なので孤独死した遺体は、真夏であれば数日で腐り始めてしまうことがほとんどです。
遺体が腐るという状況は、孤独死した遺体が置かれた部屋の状況と、その時期の湿度、故人の体格や生前に患っていた病気などが大きく関係してきます。
孤独死した遺体の腐敗を進ませないためには、孤独死後の部屋の室温が4℃以下の状況に保たれていなくてはなりません。
これでも、腐らないということはありませんが、近隣の住人にも気付かれるぐらいの死臭を撒き散らすことは防ぐことができます。
孤独死した遺体が、いちばん最初に腐り始める部位は下腹部(大腸から)で、なんとも言いようのない気味の悪い濃い緑色に変色します。
最初は、おへその下あたりの内臓だけなのが、時間が経過するにつれて胃の方へ、胃から胸の方へとジワジワと広がってきます。
その後に、水疱瘡の時にできるような液体を伴った水泡で、腐敗性水泡と呼ばれる腐敗ガスを含んだものが遺体の表面に現れてきます。
日本での孤独死した遺体は、運が悪い場合には腐敗状態を通り越して、骨や皮膚、髪の毛だけを残して完全に溶けてしまい脂っぽい液体になってしまうことも多くあります。
フランスは乾燥していて涼しいから腐らない
フランスでは、空気がものすごく乾燥しているので、孤独死後の遺体の腐り方は、日本と比べて遥かに遅い傾向にあります。
孤独死の時期や気温にもよりますが、フランスでは真夏でも家の雨戸を完全に閉め切ると、室内が冷房も要らないほど涼しくなるため、遺体はあまり腐りません。
特徴的なのが、フランスでは日本のように世間と隔絶された環境にいる人が少なく、孤独死といっても長期間発見されず液状化してしまうほどの遺体がありません。
屋外で自殺しても、朝晩の気温が低いことや、ガレージや日陰に遺体がある場合には乾燥した空気と涼しい気候が関係して、すぐに腐るということがありません。
フランス人は、日本人よりも体格が大きく、わかりやすく言うと太った人が多いのですが、体が大きくても孤独死後の遺体の腐り方は、遅いように思います。
日本の孤独死で多い遺体発見現場は、お風呂の中やトイレですが、フランスでは高齢者には湯船に浸かっての入浴をする習慣がなく、若者の間でもシャワーが一般的なので風呂で腐ることも、よほどの不運に見舞われない限りは、ありません。
「『遺体の腐り方が違う』元葬儀屋が語る日本とフランスの違い」まとめ
孤独死の遺体の腐り方は、日本の方が環境的にも状況的にも、かなり酷く腐ってしまったり、遺体が人間の形をなくすほどに溶けてしまってから発見されることが多く、遺体がキレイな状態を留めていることが少ないように思います。
フランスでの孤独死後の遺体は、着ている洋服を捲り上げてみると、腹部の変色が確認出来るのと、遺体の下や周囲に尿や体液が確認できる程度のことが多いのが特徴です。
住んでいる地域が北フランスに近く、寒い地方だからかも知れませんが、酷く腐った状態の孤独死の遺体には出会ったことがありません。
お腹が冷えると、腐るのが遅くなると言われていますが、死亡後は体温も下がり、床で亡くなっている場合には大理石の床が冷たく、ドライアイス代わりになっているのかも知れません。