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ブッポウソウ、鳴き声聞けた 新城・鳳来寺山で7年ぶり確認

県鳥で「幻の鳥」とも呼ばれるコノハズク=鳳来寺山自然科学博物館提供

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 新城市の鳳来寺山自然科学博物館は、県鳥コノハズクが鳳来寺山で鳴くのを七年ぶりに確認した。「ブッポウソウ」の鳴き声で知られる絶滅危惧種。戦前から生息地として知られたこの場所で調査を続けてきた加藤貞亨(さだみち)館長(59)は「鳳来寺山と言えばコノハズク。また鳴き声を聞けて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべている。

 コノハズクは春に飛来し、秋に飛び立つ渡り鳥。体長約二〇センチと日本のフクロウの中で最も小さい。人目に付きにくい上、夜行性で山深くにいるため「幻の鳥」とも呼ばれる。

 県内では東三河の山間部が生息地とされるが、中でも鳳来寺山は「鳴き声の名所」として知られる。一九三五(昭和十)年には、ここで響いた「ブッポウソウ」の声がラジオで全国放送された。

 しかし、昭和三十年代以降、水田の減少や交通量の増加など、里山の環境が変わったことで個体数が大きく減り、県のレッドリストで絶滅危惧IA類に指定された。

 鳳来寺山でも鳴き声を聞く機会が減る中、加藤館長は九七年ごろから毎年、博物館利用者らによる「友の会」のメンバーや地元の黄柳野高校の生徒らと鳴き声調査に取り組んできた。

 二〇一〇年五月を最後に「ブッポウソウ」の声が聞こえることがなかったが、先月十三日深夜と翌十四日未明、鳳来寺山北側にいた加藤館長らが山頂に続く尾根付近から鳴き声が響くのを耳にした。

 「最初は声が遠かったので、『聞きたい』という気持ちから来る幻聴かと疑ったくらい。仲間同士で『コノハズクだよね!』と言い合って確認しました」と笑う加藤館長。

 「例年、四月中旬から六月下旬にかけて週一回程度、午後七時から二時間ほどかけ、過去に鳴き声を聞いたことがある場所を巡ってきましたが、今年は週二、三回に増やし、『夜明けまで頑張ろう』という日もつくりました。調査の密度を高くした成果が出ました」

 調査と並行し、繁殖に使うための巣箱の設置も進めている。まだ利用した痕跡はないが「何とか手助けになれば」と期待を膨らませている。

 (榊原崇仁)

 

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