ブログを始めたてのまりもさんが、「書く」という行為に壁を感じているという記事を読みました。
彼女のお悩みは、
「書きたいものがあって書けないってどういうことなんでしょう?」
ということですが、たいがいの人はこういう時、「書く」という「アウトプット」に目が向きがちです。
しかし、原因はそうじゃない。ではなくて、それだけじゃないのです。
言及先のまりもさんに限らず、書けない人のほとんどの共通点は、
インプット不足
の問題もあると思われます。
アウトプットするにしても、それを吐き出すインプット量がなければアウトプット以前の問題です。
銀行口座には1万円しかないのに、5万円引き出そうと思っても無理でしょう。それなのに
「何故5万円引き出せないの??」
とATMの前で頭かかえている。その前に自分の口座の金額見なさいと。
ブログにかぎらず何かを書くという行為は、「無料」で書けるわけではないのです。それなりの「費用」がかかります。
ブログを書くぞ~!
と最初は意気込んでいても、インプットの量が少ないとすぐに枯渇します。ネタが枯渇し、書きたくてもどう書いて良いかわからないジレンマに陥ってしまう。
才能が~という人もいますが、才能なんて急に降ってくるわけないやんと。
ブログ巡りをしていても、アウトプットがどうだの主張しているブログは多けれど、インプットに注目している人はあまりおらず。
一にアウトプット、二にアウトプット、三にアウトプット。死に物狂いでアウトプットせよ。寝る間も惜しんでアウトプットせよ。
みんなそう書いているから、初心者ブロガーは書かなきゃと強迫観念に囚われ書いてゆく。ガソリンの蓄えがなければ、すぐにガス欠を起こすのは必然。
確かに書くことも大切だけれども、バランスを考えてインプットのことも書かないとね。
何故インプットのことを書かないかと言うと、インプット不足はいわば自分の不甲斐ない部分、マイナスの部分でもあります。人間は、己のマイナスな面には蓋をし、見ないようにする本能があります。マイナスはできれば見たくない。誰でも自分がかわいいのです。
インプット量が少ないということは、自分のマイナス面と向かい合わなければなりません。しかし、それを認めたくないが故に、見なかったことにしてしまいます。これを無意識にやったり、言葉の屋根をくっつけて正当化したりするから人間というものは厄介なのです(笑
誰だって自分自身の欠点なんて好き好んで見たくないですから、よほど追い詰められない限り、全部アウトプットのせいということにしておいて一件落着。真犯人インプットは追求せず、忘れた頃に同じスランプを繰り返すと。
インプット量=知識量・・・とは限らない
インプット量は、何も知識の量とは限りません。
もちろん、知識も重要です。しかし、ものすごく博学博識な知識王でも、いざ自分の脳内を言葉に表現しようとすると、手が止まってフリーズしてしまうことがあります。
では、もう一つの「インプット」とは何を指すのか。
それは「ラーニング力」と私は定義しています。
ラーニング
まだまだ偉そうなことは言えたご身分ではないですが、自分の文章力・表現力の源泉はなんだと問われたら、やはり読書に勝ものはなしです。
読書をして共感したり、怒ったりすることも読書の大切なメリットですが、読書のもう一つのメリットは、作者から文体や表現方法を盗むということ。
ゲームのファイナルファンタジー風に言うならば、相手の特殊能力を「ラーニング」すれば良いということです。
ブログのネタ自体は、読書だけではなく友達との会話からでも、ラジオからでも、テレビからでも、ネットからでもいくらでも仕入れる事ができます。
しかし、それを表現するとなると、まりもさんのようにフリーズしてしまう。
それはアウトプットの問題ではないの?そう思う人の方が多いはず。
しかし、これはインプットの問題なのです。
どう文章で表現すればいいのか、「ラーニング」していないから詰まってしまうのです。
ここで書いたように、私は司馬遼太郎の文明論、遠藤周作のユーモアエッセイ、宮脇俊三のオタクを極める文学、他には阿川弘之や北杜夫、吉行淳之介、谷崎潤一郎などなど、常に読書してラーニングさせていただいています。
これはいいな!と思った表現や言葉(書き手の造語など)はノートに書いて保存。コンビニコピーは禁止。すべて「手書きコピー」します。その方が頭に入るから。昔はiPadからEvernoteを使ってたのですが、アナログの方が頭に入る気がし回帰しました。
たまにそれを眺めていると、ラーニング力が強化され書く意欲すら生まれる。
私も、書くというアウトプットを行っているうちに、急にガス欠のように手が進まなくなることがあります。
気が乗らず、キーボードを叩く手もピタリと止まる上に、良い文章も思いつかない。ちょっとしたプチスランプのような状態になります。
こういう時はどうするか。
一気に手を休め、インプットに入ります。読書をして先哲の文章からエネルギーをもらい、何かをラーニングし新たな気持ちでPCに向かう。
そのエッセンスは、読んでいるだけで相当数獲得できるもの。書きたくない時があっても、彼らの文章を読んでいると自然と書きたくなる。本からエネルギーをもらっているのでしょうね。そういう意味では本には魂があるし、その魂は書き手が削った魂の一部なのだろうと。
そして、読みてはその魂の一部を拝借させて頂きましょうと。
あるいは、家から離れて散歩に、時間があれば旅に出て、日常空間から離れてしまうことも肝心です。家という日常空間で詰まってしまったら、そこから離れ思考を「非日常」にチェンジする。これも有効な手段です。
しかし、これだけは一朝一夕に身につくものではありません。ラーニングする対象が大作家であればあるほど、文章のパワーや書く技法に圧倒され、自分への自信を失ってしまいます。
そこまで高みに登りたくないなら、手軽な方法があります。他の人のブログを読めばいいのです。
「ブロガー」と言いますが、一人ひとりがネット時代の「作家」「エッセイスト」でもあります。それぞれ個性があり、書き方も内容も違います。はてなブログだけでも、何人ブロガーがいるかわかりません。編集部も把握してないんじゃないですかね(笑
そこから輝く何か、ネタでもいい、文体でもいい、生き様でもいい、ラーニングすればいいわけです。
ネタなんて他人から奪えばいい。文章まるごとコピペは反則かつマナー違反ですけど、ある人のブログを読んで、
「私は違うと思う!」
「共感した!でも補足させて!」
と自分が思ったことを書けばいい。書く書かないは、書き手の裁量一つにかかっているのだから。
そして、いろんな人のブログを読んで勉強し、自分のブログを書いていくにつれて、これだけは学んで欲しいなーという事が、一つだけあります。
それは、書く愉しさを知って欲しいということ。
「書く=文字で自分を表現できる」
ということですが、これを自由に出せ、かつ豊富に表現できる。これは日本語だからできる、と言って良いほどです。
日本語を駆使していろんなことが表現できる愉しさが、書き物にあります。
自分というちっぽけな存在がブログを書くということは、ネットという大洋に小石を投げるようなもの。最初は何の反応もありません。
しかし、発信することでそこから波紋が生まれます。波紋は文章を書くことによってだんだんと大きくなってゆき、他の人が投げた石の波紋を受けることによって、たくさんの反応が返ってきます。
ひとりぼっちで始めたブログも、ブロガーという人とのつながりによって横幅が広がり、より楽しくなっていきます。
そして、ブログを書くのがますます楽しくなってゆく。投げた石の波紋は大きくなり、たまに大波、いや、津波か、になって返ってくることもあります。
しかし、それにはやはりインプットが必要です。そこに還らざるをえない。インプットの量を増やしボキャブラリーの引き出しを増やすことが、アウトプットへの道ですね。
アウトプットの量は、インプットの量に比例する。これは普遍的な法則です。
ただ、そのインプットの方法は、今は読書とは限らず、ブログでも何でもいいということですね。が、「質」を求めるなら読書、それも古典や文豪の著書が百薬の長であることは、誰も否定しないと思います。
作家の吉川英治は、
「我以外皆師」
という言葉を残しました。
自分以外の人はすべて人生の師匠だ、回りのみんなから学びなさいと吉川英治は言っています。
学ぶとは良いところだけでなく、人の悪いところを見て学ぶ反面教師も同様です。
私は文章の師として上述の人物を挙げましたが、そこまで上段に構えなくても、お菓子を食べながらブログ巡りをし、ピンときた話題やブロガー、そして表現方法をラーニングしてゆけばいい。
それを繰り返していくうちに、知らぬ間にレベルが上がっています。
ゲームのように、レベルが上がればファンファーレが鳴るわけではないですが、半年後、1年後、もしくは数年後になり過去の文章を見返してみると、
「ああ、昔の文章は未熟だったな」
と反省しながら懐かしく思い、こっそりリライトしたくなる発見があるはずです。そういう意味では、私はリライト否定派ではあります。
短期決戦であればアウトプット一本でも良いと思いますが、長期戦となるとインプット優先でブログ運営を行ってゆくことが、長い目で見た「ブロガー」への道だろうと思い、私も日々書き続けています。
「ブログが書けない!ネタがない!」
という方。
「ネタはあるけど表現できない!」
という方。
手元にある本でもいい、図書館で本を借りてもいい、他のブログを巡回するのもいい。
少しブログから離れ、インプットしては如何でしょうか。
騙されたと思って、一度お試しあれ。
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