スティーブ・ジョブズ(Steven Paul Jobs)が2005年にスタンフォード大学の卒業式で行った、"Stay hungry. Stay foolish."のスピーチは全世界を感動の渦に巻き込みました。全力で生き続けて死の淵までみた彼の人生論は、強烈な輝きを放っておりました。
今回は彼のスピーチを抜粋して紹介させていただきます。本来なら全文を掲載したいところなのですが、こちらに記すには余白が狭すぎました。
1. "connecting the dots (点と点を繋ぐ)"
彼は諸事情により大学を退学されました。そのため、彼は在学中は、必修科目ではなく、興味の赴くままに当時としてはおそらく国内最高水準のカリグラフィの勉強に打ち込みました。
Of course it was impossible to connect the dots looking forward when I was in college. But it was very, very clear looking backwards ten years later.
Again, you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life. Because believing the dots will connect down the road, it gives you confidence to follow your heart; even it leads you off the well-worn path. And that will make all the difference.
― Steve Jobs, at the Stanford University's 114th Commencement on June 12, 2005
もちろん、当時は先々のために点と点をつなげる意識などありませんでした。しかし、いまふり返ると、将来役立つことを大学でしっかり学んでいたわけです。
繰り返しますが、将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後から繋ぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかで繋がって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。
一見、無駄に思える知識・経験でも、真剣に学習したことは、時を経て異なる場面で生きてくることがあるのだと希望と自信を与えて下さります。先のことは誰にも分かりません。興味のあることに出逢えたら、皆様も挑戦してみてはいかがでしょうか。
2. "love and loss (愛と敗北)"
彼はAppleを創業したものの、会社を追放されてしまいます。しかし、NeXTやPixarの創業を経て素晴らしい女性と恋に落ち結婚しました。そして、最終的にAppleに復帰を果たします。
I’m pretty sure none of this would have happened if I hadn’t been fired from Apple. It was awful tasting medicine, but I guess the patient needed it. Sometimes life hits you in the head with a brick. Don’t lose faith. I’m convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did. You’ve got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers. Your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. If you haven’t found it yet, keep looking. Don’t settle. As with all matters of the heart, you’ll know when you find it. And, like any great relationship, it just gets better and better as the years roll on. So keep looking until you find it. Don’t settle.
― Steve Jobs, at the Stanford University's 114th Commencement on June 12, 2005
アップルを追われなかったら、今の私は無かったでしょう。非常に苦い薬でしたが、私にはそういうつらい経験が必要だったのでしょう。最悪のできごとに見舞われても、信念を失わないこと。自分の仕事を愛してやまなかったからこそ、前進し続けられたのです。皆さんも大好きなことを見つけてください。仕事でも恋愛でも同じです。仕事は人生の一大事です。やりがいを感じることができるただ一つの方法は、すばらしい仕事だと心底思えることをやることです。そして偉大なことをやり抜くただ一つの道は、仕事を愛することでしょう。好きなことがまだ見つからないなら、探し続けてください。決して立ち止まってはいけない。本当にやりたいことが見つかった時には、不思議と自分でもすぐに分かるはずです。すばらしい恋愛と同じように、時間がたつごとによくなっていくものです。だから、探し続けてください。絶対に、立ち尽くしてはいけません。
どんなに辛いことが起こっても、信念を投げ出さずに進み続けることの大切さを教えていただきました。私は、彼のお話は仕事だけではなく全てのことに通じると思っております。なかなか信念を貫徹することは難しいのですが、KIKUは彼の言葉を胸に、今日も好きなことには邁進いたしております。
3. "death (死)"
こちらのスピーチをしている前の年、彼は膵臓癌の診断を受け、余命を宣告されました。奇跡的に手術によって回復したものの、このとき彼は死を強く意識されていたと拝察いたします。
Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life. Don’t be trapped by dogma ― which is living with the results of other people’s thinking. Don’t let the noise of others’ opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.
― Steve Jobs, at the Stanford University's 114th Commencement on June 12, 2005
あなた方の時間は限られています。だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマ(教義・常識・既存の理論)にとらわれてはいけません。それは他人の考えに従って生きることと同じです。他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです。
こちらは私が特に胸を打たれた言葉です。人生は儚いものです。実はKIKUも九死に一生を得た経験があります。生きていることは奇跡的なことで、人間の生は意外とあっさり終わる可能性があることを忘れてはならないと思います。だからこそ、KIKUは自分の人生を、自分自身の手で精一杯生きたいと思います。
彼の"Stay hungry. Stay foolish."という言葉には「未来を渇望し、追い求めよ。常識に捕われるな、信じた道を行け。」という意味が込められていると思います。
私には彼ほど活力に富んだ生き方は難しいですが、できる限り自分自身を信じて自分自身の道を歩んでいきたいと考えております。