東京で働き始めて丸3年が経ち、4年目が始まってしまいました。
生まれてから大学院を卒業するまでの24年間は岡山で過ごしていました。
大都会です。
今はWEBのエンジニアをしていますが、3年前にジーンズブランドの立ち上げをしました。今でも毎日自分が手がけたジーンズを履いています。
EVERY DENIM
なぜWEBのエンジニアをやっている自分が、ジーンズを作ったのか独り言のように振り返ってみようと思います。
ジーンズの聖地・瀬戸内
実は岡山はジーンズの名産地であり、国産ジーンズ発祥の地でもあります。
とはいえ大学生になるまでは知りませんでした。
繊維産業が発達していて、なんとなく「なんか工場が多いなー」と思っている程度でした。
学生時代に大変お世話になった先生がいます。
岡山出身で、非常にジーンズが好きで、
ジーンズに関する本まで執筆されていました。
- 作者: 杉山慎策
- 出版社/メーカー: 吉備人出版
- 発売日: 2009/02/27
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 46回
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ある時、そんな先生の紹介で児島のジーンズ工場に、
ジーンズ好きの後輩と見学に行きました。
今でも、あの時の工場で織機が動いている賑やかな音を覚えています。
なんとなく履いていたジーンズは、このようにして作られていたのか。
職人の人たちが丹精を込めて作っている姿に胸を打たれました。
その時、「岡山が世界中から評価されている」という事実を知りました。
電車が一時間に一本しかないような田舎に、海外の有名ラグジュアリーブランドのデザイナー達が頻繁に足を運んできているのです。
岡山にいながら、そのような事実を知らなかったことに、
衝撃を受けるとともに、非常にもったいないな、と思ったのがキッカケでした。
岡山県民は「岡山は何もないよね」と口ぐせのように言います。私もそれまでは言っていました。でも、全くそんなことはなかったのです。ただ知らなかっただけで、世界に誇れる素晴らしい文化・技術がありました。
当時、私は大学の広報課と大学のFacebookページの立ち上げや学内サークル検索サービスの運営などをしており、WEBは得意だったので、もっと工場の現場や職人さんのこだわりなど発信していけばよいのでは、と思いました。
実際に、ジーンズの工場の多くが参加している組合の方に提案をさせていただき、組合の人たちもぜひやりたいという反応だったので、話を進めていきました。
しかしあるとき、組合の方から、
「インターネットで発信してもメーカーからの受注が増えるわけじゃないからなあ」
と言われてしまいました。やはり工場の方にとっては生業なので、売り上げにつながるかが非常に重要であること、に改めて気付かされました。
今振り返ると非常に安直ですが、「じゃあECで売ればいいじゃん!」と思い、計画を変更しました。
RailsならSpree使えばECも出来そう!と意気揚々と組合の方に話を持っていくと、
「配送は?」「梱包は?」「問い合わせ対応は?」と、実際の運用のところが何も考えられていませんでした。
そうこうしているうちに、就職活動や修士論文の時期が来てしまい、いったんストップし、風化しそうになっていました。
クラウドファンディングという新しい選択肢
私が東京1年目の夏に実家に帰省した時
ジーンズ工場に一緒に行った後輩と飲みに行きました。
そこで彼は言いました。
「やっぱり俺、ジーンズやりたいっす」
たしかに最初からECは無理かもしれないけど、出来ることから始めていきたい。
「よし、やろう!」
まずは、情報発信をするメディアの立ち上げが決まりました。
瀬戸内の工場でつくられるジーンズの現場を知ってもらいたい、と、ウェブメディアという形で工場を取材して発信していきました。
ひたすらそれを繰り返し、工場との接点を増やし、信頼関係を構築するところからスタートしました。
工場の方に取材を繰り返していくと、現場の課題もたくさん見えてきました。
- 資金力がなく在庫を抱える余裕がないため、新しいものづくりにチャレンジできない
- ブランドから大量生産型の仕事を受注しないと工場がまわならいため、オリジナル商品をつくる余裕がない
- ファストファッションの煽りを受け、工場で働く生産者の待遇は悪化する一方
アパレル業界では依然としてメーカーと工場の上下関係が強いのです。
IT業界とも構造的に似ている部分がありました。
世界から高く評価されている技術をもつ職人の力が活かしきれていないのです。
工場主体でジーンズを作り、それを消費者に直接届ける仕組みが出来ないだろうか?
そこで、クラウドファンディングを利用して、新しい商品開発にチャレンジすることにしました。
クラウドファンディング(完全受注生産)の仕組みを利用することは以下のメリットがあります。
- 在庫を抱えるリスクがない
- 少ない初期費用で始められる
- キャッシュフローが優れている
世界に誇る技術をもつ職人が働く児島の工場と提携して、新たなジーンズブランドを生み出すことを決めました。
ブランド名は「EVERY DENIM」
世界で一番着用されている衣類はジーンズです。
年齢・性別・国籍・貧富の差に関係なく、誰もが履ける「地球着」としてのジーンズブランドを目指す、という意味があります。
コンセプトは「未来の伝統を、織りなす。」
単なる新しいブランドではなく、リーバイス501のように世代を超えて、身近な存在として履き続けられるジーンズを作っていきたい、という思いを込めました。
そんなコンセプトをベースにロゴも作成。
初回の商品の生産に必要な資金はクラウドファンディングで集めました。
おかげさまで、開始4日で目標金額の達成。
最終的には目標の2倍以上の金額が集まりました。
50年以上にわたって続いてきた、工場のすぐれた技術は、今の日本にとって貴重な資産である。
そんな大切なものを簡単に絶やすことなく次世代につないでいくためには、さまざまな”あり方”が変わる必要があると考える。EVERY DENIMのジーンズを多くの方に履いていただき、岡山を中心として瀬戸内が活性化することにより、工場が盛り上がる、地域が盛り上がる。
職人がもっともっと楽しく働き、次世代に技術を継承していく。
それを受けとった若い人がワクワクしながらものづくりに携わっていけば、こんなに素晴らしい未来はないのではないか。そんなことを私は考えている。
EVERY DENIMが生まれたきっかけ – 島田舜介 – Medium
未来の当たり前をつくる
そして2作目。
ブランドを立ち上げるにあたって、多く人にヒアリングをしていました。
どんなジーンズを履いているのか、どんなジーンズだと履きたくなるのか。
ヒアリングをしていて気づいたのは、「履き心地」の重要性でした。
これまでのジーンズの良さといえば「色落ちを楽しむ」ところがありましたが、10代・20代の若い人にとっては関心を持ちにくい要素でした。
ジーンズを履かない理由としてよく耳にしたのは「あのゴワゴワした感じがあまり好きでない」という声でした。日常的に履くからこそ、余計に履き心地が重要だったのです。
「ものづくり」にこだわるのも重要だが、「消費者の求めるもの」を作ることも重要なのでは?
ストレッチ性のある生地は非常に履き心地が良いのですが、葛藤もありました。
ストレッチ性のあるジーンズはジーンズといえるのか?
従来のゴワゴワさもジーンズの良さの一つではないのか?
でも自分たちが決めたコンセプトは「未来の伝統を織りなす」ということ。
次の世代にとっては、履き心地の良いジーンズが当たり前になっているのではないだろうか。そういう提案をしていってもよいのではないだろうか?
そうして誕生したのが
「Relax」
ゼロベースで考え、生地の繊維からこだわりました。
トルコのデニム生地メーカーの、lycraという繊維を利用しています。
クモの糸のように細く、透明、引っ張ると4~7倍にも伸び縮みする化学繊維です。
くつろぎには、快適なデニムが必要だ」
日々のくつろぎを思いっきり楽しむには、邪魔なものが多い時代。
生地が伸びきってしまったり、履くのが窮屈だったり、いままでのストレッチデニムは少し、快適とは遠かったかもしれません。
履いているのを忘れるくらい心地良ければきっと、あなたのくつろぎはもっと、豊かな時間になるでしょう。
最先端の機能性は、ささいな日常の”リラックス”のために。
履き心地は非常に柔らかく、体型にフィットします。
一度試着してもらった時のコンバージョン率は驚くほど高いです。
履いてくださる方の声
自分が作ったものが、こうして履いてくださる人のところに届いて、
実際に履いてもらって、「履いてよかった」って言ってくださる。
これほど嬉しいことは無いですよね。
ついにきたきた!!!#everydenim #gdKyoto #gdmall pic.twitter.com/69pSFxsRkt
— くぼり。 (@kuboyoro) 2017年4月19日
EVERY DENIMのライン「Relax」、むちゃくちゃ伸びるから超いい https://t.co/p8yAhV5v7R #denim #everydenim @シーナと一平 https://t.co/qdCO9DMCoS pic.twitter.com/6UVYQrpanZ
— コウメイ (@koumei_hiro) 2016年7月18日
everydenimを買ったんだけど、本当に everydaydenimです。毎日履いてます。
— Arisa Shimizu (@Arijaaaano) 2016年10月21日
履き心地、シルエット。最初に履いたときよりじわじわくる。
でも最近マニュキュアをこぼした・・・どうやってお手入れしていいのやら。#everydenim #手入れ
止まらないブランドの成長
この頃から、残念ながら私が直接関わる頻度は少なくなりました。
個人的な事情もいくつかありましたが、主にオンラインを担当していた私としては、オンラインにこだわりすぎずリアルの場を大切にしたほうが良いのだと感じ始めていました。
その後、ブランドとしては、全国各地で展示会や藍染などのワークショップを開催し、着実にファンを増やしていきました。
写真担当している岡山発ジーンズブランド EVERY DENIM( @EveryDenim )の試着展示会を東京日本橋のIRORIで開催しています。
— kota (@kotayoshidaa) 2016年4月16日
本日は18時まで。僕もおりますので、お近くまでお越しの際はぜひお立ち寄りください😋 pic.twitter.com/GZxMbFZ3SV
そして、3作目はモデルの鎌田安里紗さんとコラボ。
未来につながるメイド・イン・ジャパンジーンズ「Story」が発売 | ORICON STYLE
www.instagram.com
そして、共同代表の二人が、Forbes誌が選ぶ、「アジアを代表する30歳以下の30人」としてRETAIL&ECOMMERCE部門で選出されました。
アジアを代表する「30歳未満」に香川真司ら日本人16組が選出 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
そして、二回目のクラウドファンディングへの挑戦
兄弟2人で立ち上げたブランド「EVERY DENIM」はこれまで、店舗を持たずに全国各地に自ら足を運び、デニムを販売してきました。今回新たな取り組みとして「移動型販売」にチャレンジしたく、その移動をともにする"キャラバン"の購入資金を募るクラウドファンディングを実施します!
— 山脇 耀平 (@you_hei_hey_yoh) 2017年6月4日
そして、今月、6月27日(火)放送予定のテレビ東京「ガイアの夜明け」にも出演が決まりました!!!
つい、先日も、EVERY DENIMを過去に購入していただいた方を対象にした感謝祭があり、参加してきました。
そこで感じたのは、共同代表の二人が、とても愛されているということ。
商品の良さもありますが、二人のパーソナリティも含めてのブランドだということ。
きっとこれからもファンは増え続けるのだと信じています。
これからの活躍ぶりにも目が離せません。
一番のファンとして、これからも応援し続けていきます。