(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年6月6日付)
中国はこの10年間、数々の指標で1位の座を獲得してきた。世界最大の製造業大国になり、世界最大の輸出国になり、世界最大の外貨準備と世界最大の自動車市場を持つに至った。2014年には国際通貨基金(IMF)が、購買力平価ベースで見るなら経済規模が世界最大の国は中国だという報告まで行った。
だが、中国が失ってしまったかもしれない「世界最大」の称号が1つある。新しい人口統計調査によれば、世界最大の人口を擁する国は中国ではなく、インドかもしれない。非公式な推計ながら中国の人口はこれまで言われていたよりも少ない13億人弱で、インドの人口は13億3000万人だというのだ。
インドでは、過去30年間における世界最大の話題は中国の台頭だったが、今後30年間はインドが輝く時代になるとの認識が強まっており、このニュースはその傾向に拍車をかけることになるかもしれない。
確かに、長期の経済成長の観点から見るなら、人口トレンドは中国よりもインドの方が好ましく見える。インドの人口は中国を上回った可能性があり、今後はインドの方が成長率も高くなるかもしれないというだけではない。
それ以上に重要なのは、インドの人口が中国のそれよりも大幅に若いこと、つまり生産年齢人口が中国より多くなる一方で、支える必要がある高齢者は中国よりも少なくなるということだ。近年の日本が示しているように、人口の減少と高齢化は経済成長を力強く押し下げる方向に作用する。
このような人口動態による力は、経済成長率に影響している可能性がある。インドはこれまでなかなか成長できず、「ヒンズー成長率」などと揶揄されても我慢しなければならない時代が長かったが、今日では中国を上回るペースで伸びている。今年の経済成長率は7%を超えると見込まれており、中国の公式予想である6.5%より高くなっている。