AutomatticのCEOマット・マレンウェッグ氏
Wordpress
人気のブログサービスWordPressの運営会社Automatticは、サンフランシスコの本社オフィスを閉鎖するという異例の決定を行った。従業員は、自宅やカフェ、どこでも好きな場所で、働くことになる。
実は、もうとっくに従業員たちはそうしていたとウェブメディアQuartzのオリバー・ステイリー(Oliver Staley)氏は伝えている。だからこそ、AutomatticのCEOマット・マレンウェッグ(Matt Mullenweg)氏は、とてもきれいなのに、ほとんど使われていないオフィスを見て、会社のお金を別のことに使うことにした。
「Automatticは、初期の頃から完全に分散型の会社だった。サンフランシスコオフィスは、好きな時に使えるコワーキングスペースやイベントスペースみたいなものだった」と同社広報担当者マーク・アームストロング(Mark Armstrong)氏はBusiness Insiderに語った。
アームストロング氏によると、同社の550人超の従業員のうち、サンフランシスコ近辺に住んでいるのは30人程度に過ぎない。他は50カ国以上に散らばっているとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
Automatticは、リモートワークを徹底的に推進していることで有名だ。会社の体制は完全にリモートワーク向けになっている。従業員にはホームオフィスを推奨し、ミーティングはオンラインで行われ、全てがチャットルームで完了できる。チームメンバー同士が実際に対面する必要がある際は、会社が世界中どこであろうと旅費を出す。2013年に、マレンウェッグ氏はそのようにBusiness Insiderに語っている。また、同社は一時、対面での面接を行わずに、オンライン面接で従業員を採用していたことでも知られている。
誰もいない、Automatticのサンフランシスコオフィス。
Automattic
それでも、同社は何年間もサンフランシスコにオフィスを構えてきた。オフィスは当初、テック企業が集まるPier 38にあったが、2011年、市が同エリアを安全でないと判断してオフィスを閉鎖。それで現在の1万4250平方フィート(約1300平方メートル)の豪華なオフィスに移転した。だがウォール・ストリート・ジャーナルによると、出社する従業員は1日5人程度だったようだ。
さらに同社は年次カスタマーカンファレンスの開催地を、サンフランシスコから、よりコストがかからないフィラデルフィアやナッシュビルに移している。結果的に、サンフランシスコ・オフィスは、そうしたイベントの開催場所としても使われなくなっていた。
Yahoo、IBM、ヒューレット・パッカードなど多数の従業員を抱える、より古い大企業は、近年リモートワークに消極的で、禁止しているケースもある。そんな状況の中で、Automatticはアンチテーゼのようだ。会社の体制が整ってさえいれば、遠く離れた場所にいる従業員も十分活躍できることを証明している。
source:Wordpress、Automattic
[原文:$1 billion startup Automattic is closing its San Francisco office and having everyone work from home]
(翻訳:Yuta Machida)