行きつけのレストランで迷惑な客に遭遇した。
「出てくるのマジで遅いんだけどー」「何分待ってると思ってんの? あり得なくない?」
厨房に聞こえる程度の絶妙な声の大きさで、ず~っと嫌味を言っている女が居た(敬意を持てないので女性とは言えない)。
タメ口でわずかに聞こえる程度に文句を言い続ける女
たしかに複数の客がいる場合、料理が出てくるのは遅くなる。しかし、このお店は家族経営でシェフは旦那さん一人、ホールは奥さん一人しかいないのだ。
でも、初めてきた人にはわからないかもしれない。少なくとも、その女に察する能力がないのは明らかだった。
「なんなのこの店~」「これでマズかったら有り得ないんだけど~」
……こんな女のために、なぜ僕が我慢しなければならないのか。お世話になっている大好きなお店なのに。幸いだったのは、僕らがデザート待ちだったことくらいだ。
その彼氏もまた問題あり……?
その女のツレ。あれだけ気の弱そうな人も珍しい。おそらく彼氏だと思うが、その女との間にパワーバランスの隔たりが見えた。
嫌われたくないから強く言えない。でも、迷惑をかけているのはわかっている。「抑えて、抑えて」的な仕草からそれが伝わってきた。
心境はわからなくもないが、やっぱりあなたが注意しないと……と思ったが、ダメか。この女はギャーギャー喚ける環境(男)に移って、今の彼氏に至ったのだろう。そんな気がしたし、今後も繰り返されるだろう。
店員に偉そうな人間に男も女もない
彼氏にしたら嫌な男の行動ランキング的なものに「店員に偉そうな男は嫌い」とある。
しかし、思うのだ。これは男とか女とか関係ない。
それこそ、この女が「店員に偉そうな男ってあり得ない~」なんて口走ったら、僕はその場で超サイヤ人3になっていた。
かと言って、この類の女と関わってもロクなことにはならないと断言できる。こちとら小中高を通して勉強済みだ。
何より、目の前にいた彼女の鋭い視線に
我慢しろ、余計なことをするな
という意図を痛いほど感じていた。少しでも関与してしまえば、後で長々と説教されることはわかりきっている。
極めつけの一言が……
僕らのデザートが先に運ばれてきた時も気に食わない様子が感じられたが、そんなことは関係なく食べていた。
しばらくして、奥さんがその女のテーブルへ料理を一品持っていくと
「や~っときた!」
と、去り際の奥さんに聞こえる程度にしっかりと言っていた。
きぃー!
あー、もうね、本当にお亡くなりになっていただきたい、心から。思い出してもイライラする。
しかし、料理を食べた女が一言、
「美味しい~! めっちゃ美味しいコレ!!」
と大きな声で言った。
「そやろ! ここの料理は最高やろが! だからガタガタ言わずに黙って待っとけやボケ! お前らが頼んだ料理も極上のもんばっかや!」
と反射的に思ったのだが、すぐに「しまった!」と思い直した。
(こ、こんなヤツに一瞬とはいえ心を許し、共感してしまったなんて……。あああ! なんてことを……)
その後、次々と運ばれてくる料理のすべてに対し、その女の言葉は称賛のみになった。その度に「そうやろ……うんうん」と共感してしまう自分が悲しくなった。
帰り道
入店してきてすぐに、「僕が嫌いそうな女が来た」と彼女は気付いたらしい。そして、少しだけ印象が好転しかけた僕に比べ、彼女は「まあ、こういう人、別に珍しくないし」と平然としていた。
さすがだ。
女性の世界にはこんなやつがGOROGOROいるわけでしょ。そりゃあ大変だ。めんどくさいわ、性格きつくなるわ。表面上のコミュニケーションを身につけるのもなんら不思議じゃない。
人間ってわからない
「どんな人間にも良いところがある」
この言葉があまり好きじゃない理由は、自分都合に解釈すればそりゃあ良いところはあるでしょ! と思うから。この言葉を使う人って、割り切るのが上手なんだと思う。ある意味、悪いところを見過ごしてるとも思うから。
それに、その人にとって良いところがあるからって、僕にとって良い奴になり得るわけではないのだ。
……でも、今回のケースで、また自分の価値基準がわからなくなってしまった。
大好きなものを同じレベルで共感されれば、どんな人間にもいいところはある、と思わないでもないかもしれない。タイミングが違えば縁になっていた可能性も否めないわけで。
人生は、コミュニケーションは、まだまだ続く……。
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