虚しいストレス発散
みなさんは彼女が返すことができそうもない借金を作ったらどうしますか?これまで書いてきたように私の彼女は薬物依存に苦しんできました。アルコールにも依存しています。
「こんな自分が嫌だと思うと薬を飲んじゃう。分からないうちに違う自分が出てくる」
自暴自棄になると荒れます。暴れて何かを壊したり、私に当たり散らすぐらいならまだいいです。その違う自分とやらが大きくなるとホストに行ってしまうことがある。ひどいと1日で100万円も遣う。それで借金を何度も重ねてきました。
「これで最後だよ。今度こそ治療を続けよう」
何度も信じて立て替えては裏切られてきました。彼女にしてもストレスをぶちまけたところで結局、自己嫌悪、自己否定に包まれる。こんな形でストレス発散しても何にもならないのは本人も分かっています。
「自分が嫌だ。死にたい」
何度も聞きました。だけど実家暮らしですから私が注意を払うにも限りがあり、止めることができないで来ました。
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ちゃんと話すから
もう無理矢理にでも入院させるしかないと思って親にも相談をしました。「お母さんにだけは言わないで。知られたら死ぬ」
自殺しかけたことがあるので不安でしたが、そのあたりは前回書いた通りです。
いくつになっても親の前ではいい子でいたい。裏切りたくない。悲しませたくない。
いろんな気持ちがあったのでしょうが、「分かってくれない」という気持ちも激しかったです。
一緒に生活しながら苦しんでいることに気づかない。打ち明けたこともあるというのに苦しみも深刻さも理解してもらえない。大きなストレスになっていたのは分かっていました。だから引っ越しも計画しましたが、実現できませんでした。
「僕がちゃんと話す。大丈夫だよ。分かったら必死で力になってくれるよ」
時折、会話がかみ合わないなあと感じることもありましたが、深刻さを理解してはくれました。入院もさせると。
絶対に守って!
今後、適切に対処してもらうには実情をしっかり分かってもらった方がいいと思い、できるだけ丁寧に話をしました。いろんなことがありましたから、中には「この部分の話は本人が打ち明けない限り絶対に本人には言わないでください」と申し入れたものもありました。「絶対にです。守ってくださらないと彼女はどうなるか分かりません。さらに自暴自棄になってしまいます」
「娘さんの今の状態が分かってショックもあるでしょうが、今後のためになりませんからそれだけは絶対に守ってください」
何度も念押ししたのですが、1日しか守られませんでした!彼女からそれを知らされ、私は頭が一瞬真っ白になりました。
「もうどうでもいい」
これだけは避けたかったのに。なぜなのか。理解できなかった私が彼女の状況を伝えて、親に確認すると沈黙。そして「言ってないですよ」と言う。
そんなはずがないのに。落ち着きかけていたのにどうしてくれるんだ。バカなんじゃないのと思っていた私に親はこう言いました。
「私の方がずっと長くみてきてます。いろんな苦労もありました。どうしていいか分からないけど大丈夫です」
大丈夫じゃないよ。
今までのことを追及したり、あれこれ聞いたりしても彼女は嫌なことを思い出すだけ。だから説明するから、限界状態が来ていることを理解してくれ。それをしっかり踏まえて接してやってくれ。余計なことは言ったらだめ。今は怒ったり、叱ったりもしないで。本人が治療を受ける気持ちになるのを最優先に考えないといけないから。
何で分かってくれなかったのか。そんなことがあった日、途方に暮れていたら明け方に電話がありました。
分かってくれる人がいなくなった
出ても無言のまま。いくら話しかけても何も言わない。「大丈夫?何でもいいよ。言って」
沈黙が続いていましたが、ぼそぼそと何か言っているのが聞こえてきました。
「聞こえないよ。大丈夫?」
「病院にも行ったよ。お母さんも医者も何も分かってくれなかった」
「何だか飲んでる薬が分からなかったとかで、あまり話が深まらなかったって聞いたよ」
「ちゃんと言った!ちゃんと言った…」
「分かってくれる医者もいるって。別のとこ探そう。どこ行ったんだっけ?」
「覚えてない」
「あそこの病院じゃなかった?」
「知らない。分からないんだからほんとに」
「そっかそっか。大丈夫だからね。分かってくれる病院探そうね」
「いい。もういい。今の私の周りには分かってくれる人は1人もいない」
「お母さんよりも信頼してたのに。誰よりも信頼してたのに」
「今までそんな人、一人もいなくて。一番信頼してたのに」
「大嫌い!顔も見たくないから」
「電話もメールもしないで。ラインも全部ブロック削除するから」
何で助けるんですか?
どうすればよかったのでしょう。本人の状態をできるだけ把握してもらっていた方がいいと思ったのですけど…。結果を招いたのは自分。私がダメだったのでしょうね。「そもそもなんで助けるんですか?」
彼女の親にはこんなことも言われました。
「闇金で借りるだとか、風俗に行くとか言うんですよ。実際、面接に行こうとしたこともありました。見過ごせませんでした」
「何でそんなこと分かるんですか?それ本当なんですか?」
うーん…。風俗店とやりとりしていたけどな。車運転している私の横で。いきなり状況を明かされてびっくりしたなあ。って言えばいいのか?
「本当って…どういう…」
「本当なんでしょうけど、なら痛い目にあったらいいんですよ」
「親としてそうなっても仕方ないと思われるのですか?借りられるところもなくなって、さらに闇金で借りたらどうなるか。分かりますよね?自分の大事な人が体で借金を返す。これも僕には見過ごせませんでした。何とかしたいと思いました。バカなのでしょうけど。何とかしたかったし、そんなことになったら病気を治すどころではなくなる。どうにかして治療を受けさせたくて。それには一番身近な人の力が必要だと思っていました」
話が終わった後には親も「本当にそう思ったわけではない」と言っていました。「痛い目に」。本人にも似たようなことを言いそうで怖いです。
見捨てればよかったのでしょうか。確かに大変なことになっちゃっていますからね。実際、「もうだめだ」と思ったこともあります。でも顔を見たら、そんなことできなくなってしまうのです。
はあ。ため息が出る。自分のこともしっかり考えて行かないといけません。頑張れるかな?
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