2017-06-14
■十割蕎麦に関する疑問と、解決してくれたマンガ 
なんか東京にいるとあちこちに「十割蕎麦」という看板を見る。
十割そばというのは、そば粉100%の蕎麦のこと。
もともとの蕎麦がそば粉100%だったら、わざわざ十割と名乗る必要はない。
しかし十割そばだけが美味いのなら、他の蕎麦は混ぜものをした二級品のように誤解される可能性がある。
僕の地元の新潟県中越地方ではへぎ蕎麦というのが有名で、これは麸のりをつなぎに使った蕎麦で、これはこれでつるつるして美味しい。
もっといい例はハンバーグで、たとえばファーストフードのハンバーガーのパティはビーフ100%と謳っていることが多いが、オリンピックの残り肉で造られたハンバーグよりも美味しいとは思えない。
ビーフ100%というのがどういう意味なのか、そしてビーフ100%で造られたハンバーガーパティが数百円で売られていることをどう解釈すべきか。
たとえばオーストラリア牛のヒレ1キロが6400円というのをネットでみた。ということはグラムあたり6.4円。1ポンドは約453.5gだから、1/4で113.4g。つまりヒレ肉でクォーターパウンダーを作ろうとすると6.4x113.4=725.76円の原価がかかることなる。
某ファーストフードのクオーターパウンダーは400円なので、オージービーフのヒレでは絶対作れないことになる。まあヒレ肉をハンバーグにするなんて勿体無いことはしないだろう。
しかし焼肉屋で一番安い肉ってなんだろう。
基本的に牛肉で一番高価なのはヒレである。ヒレの中でもど真ん中の一番美味しいところをシャトーブリアンと呼び、お尻の方をフィレミニヨンと呼ぶ。
ロースも負けていない。肩ロース、リブロース、サーロインと繋がる。さらに焼肉屋にいくと、バラ、モモ、ランプ、イチボ、カイノミ、カブリ、トモサンカク、トウガラシなどの不思議な名前の部位にぶちあたるが、どこも個性がある。
しかしどの部位からでもハンバーグを作れる気があまりしない。それなりに各部位が高価だからだ。
ビーフ100%ハンバーグの看板を見ると、そもそも牛肉は高いのが当たり前なので「へー」と思うんだけど、それが美味しさに直結しているかは疑問だ。
個人的には豚との合い挽き7:3くらいのハンバーグが一番美味しいと思うんだけど、その良さを理屈で説明するのは少し難しい。
難しいことを承知で無理に解説すると、牛肉の持つ魅力は力強さで、シンプルだがしっかりとした味の濃さがある。「いかにも肉」という感じの濃さだ。一方豚肉は、そのまま食べて美味しいということはあんまりなくて、せいぜい豚しゃぶくらいの蛋白な味だし、だからポークソテーをソース無しに食べたりすることはあまりしないんだけど、蛋白でありながら甘みがある。たぶんそれが豚肉の魅力で、たとえヒレ肉だろうとビーフ100%よりは、牛肉の味濃さを豚肉の淡白さと甘味で緩和したほうが美味しく感じるのではないかと思う。また、豚肉は牛肉より融点が低いので、つなぎとしても機能するのかもしれない。
ビーフ100%は売りやすいキャッチフレーズだと思うけど、実際には合い挽きのほうが美味しいというのは皮肉な話だ。肉だけに。
僕は蕎麦が好きなんだけど、へぎそばを食べる時はいつも汁に全部入れてしまう。東京に出てきて、「江戸っ子は気が短いから江戸前の蕎麦は下1/3だけ汁につけて食うんだよ」と言われて試してみたがどうも美味くない。
けど、江戸前の神田藪蕎麦では確かに麺の1/3だけ汁につけても美味しく食べられる。秋葉原からすぐなので神田の藪には子供の頃からときどき通っていた。親父が好きだったのだ。
が、実は江戸前といっても、藪蕎麦もあれば更科もあり、砂場というのもある。その三系統では全て汁も蕎麦のつくりも違うというのをつい先日知って驚いた。
確かに麻布の更科も食べたことがあるし、美味しかったけど、その背景とかはぜんぜん知らなかったのだ。
日本人は麺が好きだ。特に蕎麦とうどんは欠かせない。中華そばの発展系としてのラーメンもそうだ。その蕎麦の歴史やうんちくといったものを多少は知ってると楽しくなるし、なんなら健康的なのではないか。
ラーメン発見伝とか、ラーメン才遊記だとか、ラーメンマンガを読んでいるとラーメンを食べたくなりたいそう危険なのだけど、蕎麦ならまあ多少食いすぎても健康を害することはなさそうだ。
というわけでTumblrで知った蕎麦うんちくマンガ「そばもん」を読んでみた。
- 作者: 山本おさむ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/05/29
- メディア: コミック
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この蕎麦漫画、すぐに終わると思いきや、なかなか終わらない。でも蕎麦の豆知識は確実に増えるし、いつもより美味しく蕎麦が食える気がするのが凄いところだ。しかも実在の店舗が数多く登場するので孤独のグルメ的にも楽しめる。
内容としては孤独のグルメのような淡々とした放浪モノではなく、ビッグコミックスらしい料理バトルマンガではあるが蕎麦なのでわりと上品なのが面白い。
鰹出汁の引き方(出汁はとるんじゃなくて引くのか!という発見もあった)、蕎麦の茹で方、打ち方。手打ちがいいのか、そうでもないのか、蕎麦の作業の要である木鉢、なんていうか奇をてらうことなく忠実な内容なので普通に勉強になる。
この手のマンガの常で、もちろん作者と監修者の非常に偏った視点を共有することになるんだけど、どれかひとつくらいは偏っていても専門的視座からそのジャンルを見つめなければ本質を知るのは難しい。
蕎麦だけでなく蕎麦につきものの天ぷら、カツ丼、なんてのも出てくる。僕はカツ丼も大好物だから、面白くてあっという間に大阪を往復する間に9巻まで読んでしまった。
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