こんにちは。白金ちなです。
ボーナスは「💲(ドルマーク)」の描かれた白い布に包んで硬貨でいただきたいです。
夏のボーナスの時期が近づいてきました。夏のボーナスの支給日は、公務員が6月30日、一般企業は7月初旬です。なぜか金曜日に支給されることが多いらしいので、その日のプレミアムフライデーは大盛り上がりになりそうですね。
今回は各調査機関の調査結果をもとに、2017年夏のボーナスを徹底的に予想してみました。金額に大きなサプライズはなかったものの、なかなか興味深い特徴をつかむことができましたよ。最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
リサーチ会社による夏のボーナス予想
大手シンクタンクが2017年夏のボーナス予想を発表しました。
1人当たり平均支給額は37万円
主要リサーチ会社三菱UFJリサーチ&コンサルティングとみずほ総合研究所の調査によると、2017年の民間企業における夏のボーナスの1人当たり支給額は、平均36万円から37万円となることが分かりました。これは去年よりも1%ほど増えるという予想で、実現すれば夏のボーナスは2年連続増加となります。
リサーチ会社 | 支給額 | 前年比 |
三菱UFJリサーチ & コンサルティング | 36万8,272円 | 0.9%↑ |
みずほ総合研究所 | 36万9,098円 | 1.1%↑ |
大幅アップまでとはいきませんが、まずまずの予測といえるのではないでしょうか。支給額が上がるとする予想結果になった主な理由には、人手不足が挙げられます。労働需給は相変わらず引き締まった状況が続いていて、企業は人集めに苦労しています。完全失業率は2017年2月時点で2.7%と低水準をキープ。企業は、新しい人を募集したり、すでにいる社員の勤労意欲を高めたりするために、ボーナスを含めた待遇の改善に取り組む動きが見られます。
大企業は横ばい
「でも36万円は少なくない?」と感じた方は大企業にお勤めですね。先ほどの予想はあらゆる規模の企業を対象にしたものなので、大企業から中小企業まで含みます。日本の給与水準は企業規模にほぼ比例するので、大企業のボーナスは手厚く、中小企業はひかえめになります。
大企業のボーナス予想をするなら、一般財団法人 労務行政研究所の調査が参考になります。5月のメーデーあたりに労働組合と経営側の話し合いで妥結したボーナス水準の集計結果が公表されています。それによると、東証1部上場の127社の夏のボーナス水準は以下の通りです。
金額 | 前年比 | |
全産業 | 72万8,662円 | 0.0%→ |
製造業 | 75万5,014円 | 0.3%↓ |
非製造業 | 65万431円 | 1.2%↑ |
労務行政研究所「一時金(ボーナス)の妥結水準調査」
バーンと金額がはね上がりましたね(笑)。全体平均のほぼ倍です。業種別では、前年比より減っているとはいえ製造業が高額です。中でも業種が自動車、化学、ガラス・土石の大企業は1人当たり支給額が80万円を超えています。やっぱり日本はまだまだモノづくりの中心の国なのですね。
中小企業は増加予想
とはいえ、大企業が横ばいなのに全体の予想が増加になっているのはなぜなのでしょうか?答えは中小企業と公務員です。民間企業のボーナスは売上高経常利益率(以下「利益率」)という指標に連動するのですが、大企業が2016年下期の利益率がマイナスとなっているのに対し、中小企業は0.18%プラスとわずかながら利益率が増加しています。それに連動してボーナスも上がるのではないかと予想されています。
昨年の中小企業の夏のボーナスの支給金額は以下のようになっているので、これの1%アップくらいを見込んでおいたら良いのではないでしょうか。
事業規模 | 支給額 |
30~99人 | 31万4,710円 |
5~29人 | 26万2,243円 |
→この金額から1%くらいアップ?
公務員は支給額アップ
公務員の夏のボーナスは前年比増が予想されています。これで4年連続の増加になります。金額でいうと64万円から71万円の予想、前年と比べて1.9%から2.5%の増加です。公務員のボーナスは月例給(毎月の決まった給料)とボーナス支給月数によって決まるのですが、そのどちらも2016年度の人事院勧告によって引き上げが決定されているため、夏のボーナスの金額がアップするのはほぼ間違いないでしょう。
月例給は前年比0.2%増額、ボーナス支給月数が0.05カ月増の2.075カ月となっています。なぜそのように待遇が良くなったのかは・・・分かりません!
リサーチ会社 | 支給額 | 前年比 |
三菱UFJリサーチ &コンサルティング | (国家公務員) 64万1,926円 | 1.9%↑ |
みずほ総合研究所 | (国+地方) 71万1,475円 | 2.5%↑ |
地方公務員は国家公務員に連動することが多いため、同じく増加が見込めます。公務員でなくてもたとえば私立学校の教職員など「公務員の給与水準に準ずる」職業の人はけっこういるので、その方たちのボーナスアップも望めます。
2017年夏ボーナスの大きな特徴
今年の夏のボーナスには注目すべき特徴があります。
支給対象者が広がっている
各リサーチ会社の予想では、前の年に比べ「1人当たり支給額」よりもみんなのボーナスを合計した「支給総額」の増加率の方が高くなっていることが分かります。ボーナス支給総額とは、支給対象者のボーナスをすべて合計した金額です。
1人当たり支給額の増加が1%程度なのに、全体の支給額が4%を超えているということは、ボーナス支給対象者が増加していることを示します。
リサーチ会社 | 1人当たり支給額 | ボーナス支給総額 |
三菱UFJリサーチ &コンサルティング | 0.9%↑ | 4.1%↑ |
みずほ総合研究所 | 1.1%↑ | 4.5%↑ |
人手不足を解消するため、企業は非正社員の正社員化や、非正社員の待遇改善に取り組むようになりました。そのため、1人当たり支給額の増加はそれほどでもないのに、支給対象者が増えたことによって、支給総額が大幅にアップしたのです。
非正社員にもボーナス支給の動き
2014年の厚労省の調査によると、正社員の86%はボーナス支給対象に入っているのに、非正規だと31%にとどまるのだそうです。正社員に50万円のボーナスを支給しても、パート・アルバイトにはなくて当たり前、あっても3万円程度の寸志、という光景はごく当たり前でした。
しかし、2016年12月発表の政府の同一労働同一賃金ガイドラインには、そのような行為は「不合理な待遇差」に該当するとあります。ガイドラインによると、会社の業績や貢献度に応じてボーナスを支給する場合、
<基本方針>
- 貢献度が同じなら、正社員も非正社員も同一の支給をしなければならない
- 貢献に違いがある場合にはその相違に応じた支給をしなければならない
<問題となる例>
- 正社員には職務内容や貢献にかかわらず全員支給しているが、非正社員には払わない
- 貢献が同一であるにもかかわらず、正社員と非正社員で同一の支給をしていない
※元の文が分かりにくいので私が意訳しています
均等処遇に対する意識は企業内でも高まっているようで、日本労働組合総連合会の調べでは『正社員と非正社員の待遇格差改善に取り組む企業が増えてきている』とあります。
※一時金支給だけでなく昇給ルールや社会保険への取り組みも含む
参考
みずほ総合研究所「2017年夏季ボーナス予測」
いきなり同水準というわけにはいかなくても、非正社員にもボーナスを支払うのは珍しくないという流れになりつつあるようです。
企業ごとの今夏のボーナス「勝ち組・負け組」
日本経済新聞社が5月21日にまとめた賃金動向調査を見ると、個別企業のボーナス支給額が公表されていました。中間発表なので最終発表とは異なるかも知れませんが、どの企業のボーナスが多かったのか参考になります。
「ボーナス勝ち組」企業
ソニーは2016年4~12月期(第3四半期)の決算で営業利益が前年の半分になるなどあまり振るわなかったのですが、今年の夏のボーナスは34.54%増の131万3500円を支給するそうです。悩みの種だったスマートフォン事業が黒字化するなど主力のエレクトロニクス事業が改善したためだとか。
ポテトチップスの原料となるジャガイモ不足で全国に「ポテチロス」を巻き起こしたカルビーですが、グラノーラ食品「フルグラ」がヒットしたこともあり、支給額は5.57%増です。
内需が緩やかに回復していることもあり、食品を中心とした内需関連の企業が好調です。機能性ヨーグルト「Rー1」などが好調の明治は7.14%増の86万6142万円です。
建設業界は人手不足が深刻で、人材の囲い込みに躍起です。戸田建設はベースアップを2倍に増やしたうえで、ボーナスを3.5%増の135万7000円を支給するそうです。同じく建設業界の鉄骨・橋梁の川田グループも25%と大幅増の75万円に。
「ボーナス負け組」企業
一方衝撃的だったのはトヨタ自動車の18.24%減という数字。円高による先行き懸念のために慎重な金額におさめたようです。それでも支給額は121万円なのでさすがトヨタといった感じです。
今回は自動車だけでなく自動車部品の減少幅が大きく、トヨタとつながりが深い自動車部品会社のデンソーも6.25%減の97万5000円となっています。
抗がん剤の価格引き下げなどから収入が減少したことから2016年12月に最終減益となり、支給額も13.02%減の69万3642万円となりました。
同じ電機業界でもソニーとは対照的にOKIは13.02%減の69万5100円と大幅減です。2017年3月期決算は、売上高が前年同期比3.9%減の1467億2500万円、経常利益が前年同期比73.9%減の19億5100万円となったことが影響したようです。
結論:なんだかんだでみんなボーナスが楽しみ
2017年夏のボーナス予想、まとめるとこんな感じです。
- 大企業は去年とあまり変わらない
- 中小企業はちょっと増えるかも
- 今年から非正社員のボーナス開始・増額に期待できる
- やっぱり公務員が最強!
正社員・非正社員の待遇格差問題が注目されるようになったのはとても良いことだと思います。労使交渉でも、賃金やボーナスだけでなく育児休暇取得や長時間労働の解消など働き方に関するテーマが増えてきているようですね。
ボーナスは不安定なので正式な賃金ではないという考え方もありますが、でもやっぱりみんな好きですよね、ボーナス!今年はいくらになるのかわくわくするし、予想以上にあればうれしいですし。今年の皆さんのボーナスが大盛りでありますように!