市のシステム不正使用しストーカー行為 職員を懲戒免職

市のシステム不正使用しストーカー行為 職員を懲戒免職
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熊本県荒尾市の男性職員が、市の住民情報システムを不正に使って、3年前から同僚の女性職員の個人情報を入手し、つきまといなどのストーカー行為をしていたとして、市はこの職員を懲戒免職の処分にしました。
懲戒免職になったのは、熊本県荒尾市役所の総務課に所属する浦明徳副主任(33)です。
荒尾市によりますと、副主任は、福祉課に在籍していた3年前からことし3月にかけて、市役所の住民情報システムを不正に使って同じ課にいた女性職員の住所などの個人情報を入手し、外出先でつきまとうなどのストーカー行為をしていたということです。
女性職員の髪を触ったり、乗用車にGPSの機器を取り付けたりしていたということで、ことし1月に女性職員が上司に相談して発覚し、副主任は謝罪しましたが、その後の市の調査で、市の職員の男女48人分の住所などの個人情報をまとめたリストなどが業務用のパソコンから見つかったということです。

市の調査に対して、副主任は、不正な情報の入手やストーカー行為を認めたうえで、「同僚の女性職員に好意を持っていた」と話しているということです。

市は、13日付けで副主任を懲戒免職の処分にするとともに、近く、市長と副市長を減給処分とする条例案を市議会に提出する方針です。

荒尾市の浅田敏彦市長は「公務員の信用を失墜させる行為で市民の皆様に深くおわびします。同様のことが二度と無いよう、職員の教育や研修を強化します」と謝罪しました。

警察が警告

荒尾市によりますと、つきまといの被害を受けた女性職員は、ことし3月に地元の荒尾警察署にも相談していました。
警察は副主任に対し、ストーカー行為をしないよう宣誓書を書かせたうえで警告をしていたということです。

荒尾市の住民情報システムとは

熊本県荒尾市によりますと、今回、悪用された住民情報システムは、行政サービスに必要な個人情報などを一括して管理するため、荒尾市が独自に構築したシステムです。

このシステムは、荒尾市のすべての住民の名前や住所、生年月日などの個人情報をはじめ、課税情報や医療・介護に関する情報など行政サービスに必要なすべての個人情報を一括して管理しているということです。

職員などがこのシステムを利用するためには、事前に承認を受けたうえで、専用のカードとパスワードが必要だということです。

また、職員などがシステムで閲覧できる情報もそれぞれの担当業務に関するものに限られていますが、今回、処分を受けた職員はすべての住民の名前や住所などの個人情報を見ることができる権限があったということです。

個人情報の不正入手事件 相次ぐ

大量の個人情報を扱う公務員などが職場のシステムを悪用して個人情報を不正に入手する事件は、各地で相次いでいます。

このうち、女性への強制わいせつなどを繰り返していたとして起訴された東京・中野区の元臨時職員が、区の住民情報基盤システムに接続して女性の個人情報を閲覧したなどとして、区の個人情報保護条例違反の疑いで、ことし1月、逮捕されました。

また、去年6月には、松山市の元職員が、およそ13万人分の市民の名前や住所などの個人情報のデータが入ったパソコンを愛媛県内の会社に提供したとして、市の個人情報保護条例違反の疑いで逮捕されています。

さらに、去年7月には、日本年金機構静岡年金事務所の元契約職員が、機構が保有する女性の個人情報を私的に利用する目的で不正に入手したとして、独立行政法人の個人情報保護法違反の疑いで逮捕されています。

東京・中野区の元臨時職員の事件を受けて、総務省はことし1月に全国の市区町村に対して通知を出すなどして、個人情報の不正閲覧の防止や個人情報保護の適正な管理などについて徹底を図るよう求めていました。