AMHという言葉をご存じですか?
AMHとは、アンチミューラリアンホルモン(抗ミュラー管ホルモン)と呼ばれるホルモンのことです。卵子のもとになる卵胞から分泌されます。
このAMH値を検査することで、あなたの「妊娠する力」をある程度、予測することができます。なので妊活を始めるなら、年齢に関係なくこの検査を受けることをオススメします。
もしAMH値が低くても、心配しすぎることはありません。なぜならAMH値が低い=妊娠できない、というわけではないからです。
では、なんのためにAMH値を測るのでしょうか。今回は、妊活をすすめる上での目安になる、AMHについてご説明します。
もくじ
AMHで卵巣に残っている卵子の量がわかる
AMH値を検査することでわかるのは、「卵巣にどのぐらい卵胞が残っているか」です。卵胞とは卵子の元になるもののことです。
毎日新しく作られる精子と違い、卵胞は女性が胎児のときに一生分作られます。
卵胞は、子宮の左右にある卵巣の中で眠っていて、少しずつ卵子へと成長し、うまく育ったものが選ばれて排卵します。
そして年齢を重ねるごとにどんどん減っていき、全部なくなったときに閉経するのです。
AMHはこの卵胞が卵子に成長する途中で出てくるホルモンです。
AMHの値が大きければ卵巣にはまだ多くの卵胞が残っているという意味になり、逆に少ないと、これから作られる卵子の数も少ない、ということになります。
年齢が若くてもAMH値が高いとは限らない
女性は、年齢が上がるほど妊娠しにくくなります。
その大きな理由は2つあります。
・卵子の質が下がり、受精しにくかったり流産しやすくなったりする
若ければ若いほど作られる卵子の数が多く、さらに質のいい卵子ができる確率も上がります。
AMH値も若いときのほうが高い傾向がありますが、これには個人差があります。
20代や30代前半でもAMH値が低く、妊娠しづらい人もいるのです。なかには、その年代でもう卵胞がなくなってしまい、早期閉経する人もいます。
これは月経がきちんと来ている人や、ふだんから健康な人でも起こりえます。
外から見ただけでは判断できないので、妊娠したいなら年齢に関係なくAMH検査することをおすすめします。
AMH値が低い=妊娠できない、というわけではない
検査を受けてもしAMH値が低かったら、もう妊娠できないのでは…と心配になりますよね。
AMH値はあくまで卵胞の数が反映されるものなので、卵子の質とは関係ありません。AMHの値が平均より低くても、卵子の質がよく、ちゃんと受精できれば、妊娠は可能です。
反対に、AMH値が高くても質のよい卵子が少ない場合、妊娠しづらくなる可能性があります。
AMHの検査方法
AMH検査は、今後のあなたの「妊娠する力」を予測できる便利な検査です。
まだ20代でも、なかなか妊娠しないと思ったら、一度検査してみるといいでしょう。
AMH検査は不妊治療を行っている婦人科で受けることができます。
ただしすべての婦人科で受けられるわけではありません。
事前にクリニックのホームページで確認したり、電話で問い合わせてから行きましょう。
AMH値は血液検査でわかります。婦人科というと触診があるのでは……と不安になるかもしれませんが、AMH検査だけなら触診はありません。(ほかの検査も合わせて受ける場合は、触診する可能性もあります)
基本的には保険適用外なので、料金はクリニックによってまちまちです。1万円以内ですむことが多いですが、初診料なども含めるとその限りではありませんので、料金も事前に問合わせておくと安心です。
不妊関係の検査は月経周期に合わせなければならないこともあるのですが、AMH検査に関してはいつでもできます。
AMHの数値が低かったときにできること
AMHの数値が平均より低いと、ショックですよね。
しかし何度も言うように、AMH値が低い=妊娠できない、ということではありません。
卵子の質がよければ自然妊娠も可能です。
ただ、AMH値が低いということは、排卵する卵子が少ないということなので、受精するチャンス自体が少なくなります。
なのでその貴重なチャンスを確実なものにするために、自然妊娠に近いタイミング法に時間をかけるのではなく、人工授精→体外受精といった不妊治療のステップアップを早めることも考えられるでしょう。
つまり、AMH検査を受けることによって、より確実に妊娠できる方法を検討する判断材料になるのです。
卵子の質を上げたいなら生活習慣を改善しよう
卵胞の数は生まれる前から決まっているので、AMH値を上げることは、残念ながらできません。
AMH値が低い人は、残っている卵子の質を上げることが重要になります。また、AMH値が高い人も、卵子の質が悪ければ妊娠しづらくなってしまいます。
卵子の質を上げるためには、次のことに注意してください。
・栄養バランスがかたよった食生活をやめる
・禁煙する
・睡眠をしっかりとる
・お酒を飲みすぎない
・ウォーキングなど適度な運動を続ける
不規則な生活は、ホルモンバランスが崩れる大きな原因になります。
ふだん体調不良や月経不順がない人も、生活習慣が乱れている場合は注意しましょう。
また、妊娠は受精したら終わりではありません。そこから赤ちゃんが順調に育ち、流産のリスクを下げるためには、生活習慣の改善が不可欠です。
不妊の原因は卵子だけにあるわけではない
AMH検査は、あなたの妊娠する力を判断するひとつの目安になります。
検査の結果によっては、早めに不妊治療を開始したほうがいいでしょう。
妊活を始めて半年以上妊娠しなければ、年齢に関係なくAMH検査を含む不妊検査を受けてください。
検査を受けたからといって、すぐに体外受精などの不妊治療をすすめられるわけではありません。
まずは、妊娠しない原因があるのかどうか、はっきりさせることが大切です。
不妊検査は男性も一緒に受けよう
不妊検査を受けるときは、できるだけ男性も一緒に受けるようにしましょう。
不妊というと女性側に原因があると思っている人がまだまだいますが、そんなことはありません。
男性にも原因がある不妊カップルは全体の約50%。女性だけががんばって検査を受けても、男性に原因があれば時間とお金のムダになってしまいます。
男性の検査は精液検査になりますので、抵抗がある人もいるのですが、不妊治療を考えるのなら受けたほうがいいです。
こちらの記事も参考にして、ふたりでよく話し合ってみてください。
AMH検査を受けることは妊娠への近道になる
「AMH検査を受けて、もし結果が悪かったら…」と考えると不安だと思います。
しかし、AMH検査は今のあなたの「妊娠できる力」を予測できる、数少ない検査です。
保険適用外ですが、1万円以内で受けられるところが多いので、一度受けてみることをおすすめします。
そのとき、「AMH値が低い=妊娠できない」ではない、ということを覚えておいてください。
AMH検査はいわば、あなたの体質をはっきりさせるための検査です。
卵胞が年齢の割に少ないのは、あなたに問題があるのではなく、そういう体質なだけ。
それがわかったら、あとは体質に合わせた妊活をすすめるだけです。
検査は妊娠への近道になることを忘れず、ぜひ前向きな気持ちで受けてみてください。