忌中と喪中の過ごし方
喪に服する期間は遺族が一定期間、故人の冥福歩ご奇かノ、を祈り、喪に服すことを「忌服」といいます。
かつては、忌服中は家に閉じこもり、他人と会わないようにするというしきたりもありました。
しかし、現在ではそれほど厳密な決まりもなく、一般的には四十九日の法要までを「忌中」、一周忌から旧力月くらいを「喪中」とすることが多いようです。
最近では官公庁の服務規定にある忌引き期間に従い、その後は平常な社会生活に戻るのがふつうです。
忌中・喪中のマナー
故人の冥福を祈る気持ちを心がけ、忌服期間中は次のことはなるべく避けましょう。
●祝い事への出席
結婚式や祝賀会、落成式などの華やかな場に出席するのは控えます。
●正月行事
しめ縄、門松、鏡餅などの飾りは一切しません。年始周りや初詣も控えます。
●お歳暮やお中元
お世話になった方へのお礼ですから、季節のあいさつを贈ってもマナー違反ではありません。
気になるようなら、お歳暮は寒中見舞い、お中元は暑中見舞いとして忌が明けてから贈ります。
●年賀状
服喪中は年賀のあいさつも行いません。
年賀状のやりとりをしている人には11月下旬から12月上旬までに年賀の欠礼をわびるあいさつ状を出します。
年賀欠礼状が間に合わなかったら
Q 12月に入ってから親が亡くなり、年賀欠礼状が間に合わなくなりました。
この場合はどうしたらよいでしょうか。
A が明け、松の内以降に「喪中につき賀状は失礼いたしました」といった返事を寒中見舞いとして出します。
不要になった年賀状は手数料を払って切手やはがきに交換してもらうか、郵便局に理由をきちんと説明すれば新品に限り、年内28日ごろまでなら無料で交換してくれます。
香典返し
香典の半額から3分の1をめやすに。
香典のお礼として品物を贈ることを「香典返し」と言います。
仏式では、四十九日のあとに忌明けのあいさつ状を添えて贈ることが多いようです。
品物の金額は香典の半額から3分の1が一般的です。
香典の金額に応じて3段階くらいの品物を用意しましょう。
よく利用されるのはお茶、のりなど後に残らない食品や、タオル、石けんなどの実用品です。
定着しつつある「即日返し」
最近は、通夜、葬儀の当日に香典の金額にかかわらず2千~3千円の香典返しを手渡す「即日返し」も増えています。
香典帳の整理や、品物を選んだり送ったりする遺族の負担が軽減できるというメリットがありますが、香典の金額がわからないため、一律の品物を渡すことになります。
香典がとくに高額だった人には、忌明け後、相応の品物を贈るとよいでしょう。
香典返しをしない場合
最初から香典を辞退するケースも最近は増えています。
お通夜・葬儀告別式の日時を連絡する際に、香典は謹んで辞退させていただきますとの文章を加えて連絡します。
香典には本来、遺族を経済的に助けるという意味があるので、香典返しは必ずしなければいけないものではありません。
一家の生計を担っていた人が亡くなった場合には、香典を遺族の生活菅〈などに充ててもかまいません。
また、故人の遺志で香典を福祉施設などに寄付した場合も同様です。
ただし、その場合は、理由を明らかにしたあいさつ状を送りましょう。
遺品整理
遺品は「保存」「処分」「寄付」の3つに分類する
葬儀が終わり雪ひと段落したところで遺品の整理をします。
気持ちの整理にもなるので、できるだけ早く取りかかりましょう。
遺品は、保存しておくもの、処分するもの、形見分けや寄付するものに分類します。
①保存しておくもの
日記、手帳、住所録、手紙の類は、後日必要になることもあるので、1年くらいは保存しておきたいものです。
預金通帳や株券、借用書、年金手帳や実印はひとまとめにして大切に保管しておきます。
もし仕事関係の書類や資料などが出てきたら、勝手に破棄したりせずに、会社に相談しましょう。
親が自営業だった場合、仕事に関する書類は、あとで過去の所得税が問題になる場合があることから、7年間の保存が義務づけられています。
②処分するもの
自宅で不要になったものは、遺族の手で焼却します。
遺品の数が多く、整理や処分に困ったら遺品整理業者に廉き取りを依頼するのもひとつの方法です。
③形見分けするもの、寄付するもの
遺品を寄付したいときは、市区町村役場の福祉課に相談するとよいでしょう。
役所で遺品の内容に適切な寄付先を紹介してくれます。
遺品整理業者はどんなことをするの?
「遺品の量が多すぎる」「遠方に住んでいて、時間がとれない」「思い出に浸ってしまい言遺品を片づけられない」。
最近は、そんな理由から遺品の整理を専門業者に頼む人も増えてきました。
葬祭業者に聞けば、遺品整理業者を紹介してくれる場合もあります。
サービスの流れは業者によってまちまちですが、通常のサービスの流れは下のようになります。
パソコンの処分には注意を
パソコンのなかには個人情報が想像以上にたくさん入っているものです。
一度書きこまれたデータは、ディスクを初期化して消去したつもりでも、実はハードディスク上に残っています。
完全に消去するには、専用のソフトや、中古パソコン店などの完全消去サービスなど、さまざまな方法があります。
的確な方法を選んで処分しましょう。
形見分け
形見分けは四十九日の忌明け以降にします。
生前、親が愛用していた物や大切にしていた物を、親と親しくしていた友人や近親者に贈るのが「形見分け」です。
四十九日の忌明けごろが一般的ですが、それより早くてもかまいません。
●神式、キリスト教式の場合
神式では五十日祭、あるいは三十日祭をめやすに行うことが多いようです。
キリスト教式では、そのような習慣はありませんが、1カ月後の召天記念日ごろに形見分けを行うことがあります。
受け取る人の身になって品物を選ぶ
形見分臆として選はれることが多いものは、衣類、装飾品、装身具、時計、万年筆、書物、コレクションなどです。
あまり古いものや汚れているもの、傷んでいるものは避けたほうが無難です。
もらったほうは捨てるわけにもいかないので、よく考慮して選びましょう。
また、相手が気持ちよく一受け取れるよう、品物はできるだけきれいに手入れをし、衣類などの場合はクリーニングに出すなどの心づかいが必要です。
着物はリフォームしても
着物を形見分けとして贈る際、時代遅れの柄のものを贈って先方にご迷惑になることがあります。
和装小物店やリサイクル店などでは、着物を持ち込むと、洋服やバッグをつくってくれます。
リフォームして贈るのもひとつの方法です。
形見分けの注意ポイント
①目上の人に形見分けはしない
故人からみて目上の人に形見分けをするのは失礼とされている。
ただし、故人の愛用の品をどうしても、といった希望があれば贈ってもかまわない。
②形見分けは包装しない
形見分けの品物は包装せずに、そのまま渡すのがしきたり。
むき出しがはばかられるときでも、奉書紙か半紙でくるむ程度にしておく。
③自分がよいと思わないものは贈らない
故人の愛用品でも古いもの、汚れたものなど、とても使えないような品を贈ったら相手は迷惑。
自分がよいと思わないものは贈らないようにする。
④不公平な分け方はしない
子どもや親戚などの形見分けで、諍いがあってはいけない。
遣言がない限り喪主は、平等を基本においてみんなの希望を調整~することが大事。