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 スイス・ジュネーブで開催中の国連人権理事会で12日、国連の「表現の自由の促進」に関する特別報告者のデービッド・ケイ氏が、昨年4月の訪日調査結果について口頭で報告した。ケイ氏は「当局者による直接・間接のメディアへの圧力、いくつかの歴史問題を議論する場の制限、国家安全保障を理由に情報へのアクセスに対する規制の増加を特に懸念している」などと発言した。

 ジュネーブ国際機関政府代表部の伊原純一大使は「政府当局者は、不法もしくは不当にジャーナリストに圧力を加えていない」などと反論した。

 ケイ氏は報告書で、表現の自由を保障する日本国憲法21条を高く評価。自民党の改憲草案が21条に、「公益」や「公の秩序」を害することを目的とした活動は認められないとの文言を加えようとしていることに懸念を示した。

 一方、政府がすでに提出して公表されている反論文書や、この日の伊原大使の声明では、自民党の改憲草案には触れず、現行の21条を踏まえる形で「表現の自由は憲法で保障されている」と主張した。伊原氏は「我が国は、民主主義の根幹を成す言論の自由や報道の自由を最大限尊重している」とも述べた。(ジュネーブ=松尾一郎)