先日、自転車通勤に使っているクロスバイクの自前メンテナンスに挑戦しました。
チェーンの洗浄と注油に加えて、ブレーキシューの交換も行いました。自前でやるのは初めてです。
そこで今回はブレーキシューの交換方法、位置調整の際のチェックポイントなど、自分なりに工夫した点をまとめておきたいと思います。
目次
ブレーキシューとは
ブレーキシューとは、ブレーキをかける際にタイヤを挟みこむ樹脂製のパーツです。
タイヤの金属面をブレーキシューで挟むことで生じる摩擦力でタイヤの回転を止めるのが自転車のブレーキの仕組み。
少し固めの消しゴムのようなもの、とイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
摩耗したブレーキシューは危険
長い間同じブレーキシューを使っていると、ブレーキシューのタイヤに接する面がどんどん削れていきます。
消しゴムが小さくなるように、ブレーキシューの面も摩耗していくんですね。
摩耗したブレーキシューをそのまま使い続けるのは危険です。
ブレーキの効きが悪くなる
まず、ブレーキの効きが悪くなります。
ブレーキレバーをたくさん引かないとブレーキがかからなくなるんですね。
理由は、ブレーキシューが摩耗するとブレーキシューとタイヤまでの間隔が広がるからです。
いずれはブレーキレバーを目いっぱい引いてもブレーキシューが十分にタイヤに密着しなくなります。
するとブレーキの効きが悪くなったり、最悪ブレーキが全くかからない羽目になります。
制動距離が伸び、すぐに止まれない
ブレーキをかけたときにすぐに止まれなくなります。
ブレーキをかけ始めてから止まるまで距離を「制動距離」といいます。
ブレーキのかかりが悪いと制動距離がどんどん伸びてしまうんですね。
たとえばブレーキシュー交換前のぼくのクロスバイクでは制動距離が20メートルくらいでした。(時速15kmくらいのとき)
つまり、20メートル以上手前でブレーキをかけ始めないと意図した場所に止まれない、ということです。
最悪、事故につながる
これ逆に言うと、20メートル以内の距離で何かが飛び出してきても止まれない、ということです。
5メートルの距離に子どもが飛び出してきたら轢いてしまう可能性が高いです。
10メートル先の交差点で信号無視の車が走ってきても避けられません。
最悪の場合、人の命にかかわる事故につながってしまいます。
こわいですね。
ブレーキシューは消耗品なので交換しよう
このような最悪の事態を避けるために、自転車のブレーキの効きは常日頃チェックが必要です。
特にブレーキシューは摩耗していく消耗品ですので、ブレーキの効きが悪くなってきたなと感じたら交換しましょう。
交換方法がよくわからない人は、サイクルショップへ持ち込んで交換を依頼することをおすすめします。
ブレーキシュー交換に必要な工具
ただブレーキシューは単品売りしているため、自分でも付け替えることができます。
ぼくも愛用のクロスバイクのブレーキシューを自分で交換しました。
必要なのは、六角棒レンチひとつだけです。
ブレーキシューの交換方法
ブレーキシューは、ブレーキ部分にネジで固定されています。
六角棒レンチでネジをゆるめて古いブレーキシューを取り外します。
そこに新しいブレーキシューを同じ要領でネジで固定すればOKです。
工程自体はとても簡単なんですが・・・
ブレーキシュー調整のチェックポイント
ブレーキシューは、細かな設置位置や角度によってブレーキの効きや自転車の走行感が大きく左右されます。
快適に走れ、かつしっかりブレーキが効くようにするには、正しい位置に調整・固定する必要があります。
以下、ぼくが位置調整の際に使ったチェックポイントをご紹介します。
ブレーキシューがタイヤのゴム面と触れ合わないこと
ブレーキレバーを引いたとき、ブレーキシューの表面がタイヤのゴム面と触れ合わないようにします。
タイヤのゴム面はブレーキをかけるための場所ではありません。
ブレーキをかけたときにブレーキシューとタイヤのゴム面が接してしまうと、過剰にブレーキがかかりすぎてタイヤの横滑りを起こします。
またタイヤのゴム面が過剰にすり減ることでタイヤの寿命が必要以上に早く減ってしまいます。
ブレーキシューとタイヤのゴム面は触れ合わないように、ブレーキシューの設置位置と角度を調整しましょう。
ブレーキシューの全体がタイヤの金属面に触れること
ブレーキレバーを引いたとき、ブレーキシューの樹脂面全体がタイヤの金属面に接するようにします。
ブレーキシューの一部だけがタイヤの金属面に接していると、その部分だけでブレーキをかけることになります。
すると接している部分のみがどんどん摩耗していくんですね。消しゴムの角が減るのが早いのと同じ原理です。
ブレーキシュー全体でタイヤを挟むようにすることで、ブレーキシューの過剰な摩耗を防止できます。
ブレーキシューとタイヤの向きが平行になること
ブレーキシューとタイヤの向きが、上と横から見たときともに平行になるようにします。
ブレーキシューとタイヤが平行でない状態だと、ブレーキシューの前または後ろの一部分だけがタイヤに接する状態になります。
するとそこだけ摩耗が進んでしまい、ブレーキの効きが悪くなるのが早くなります。
先ほどあげた消しゴムの角の例と同じです。
ブレーキレバーを放した状態でタイヤとブレーキシューが触れ合わないこと
ブレーキレバーを放した状態で、タイヤとブレーキシューが触れ合わないようにします。
ブレーキをかけない状態でブレーキシューがタイヤと触れていると、常に弱いブレーキがかかった状態になってしまうからです。
ブレーキシュー設置部分におけるタイヤとフレームの間隔が狭かったり、フレームに対するタイヤの横位置が中心からズレていたりすると、ブレーキシューが常にタイヤに触れる状態になってしまいます。
ブレーキワイヤーの締め具合を調整する、タイヤの横位置を調整するなど、必要に応じてブレーキシュー以外の部分の調整も必要になります。
(ぼくはここが一番苦労しました・・・)
調整に自信がないならプロに任せる
以上のチェックポイントを意識しながらブレーキシューの位置調整を行うんですが、自前でやってみて感じたのは、かなり慣れが必要だということ。
ベアリングを噛ませる角度やネジの固定位置など、1ミリ単位でブレーキシューの位置や角度が全然変わるんですよね。結果、ブレーキのかかり具合や走行感がグッと変わってしまいます。
勘所をつかむまでかなり時間がかかるように感じました。ぼく自身、上記チェックポイントを満たすための調整に25分くらいかかりました。
六角棒レンチをそもそも使ったことがない、自前でのメンテナンスに自信がないという方は、素直にプロに任せるほうが早いと思います。
もし近所に「サイクルベースあさひ」があるなら行ってみるといいかもしれません。ぼくはクロスバイクを買ってからずっとにお世話になっています。たしかなメンテと端的なアドバイスで個人的には絶大なる信頼をおいています。
まとめ:すり減ったブレーキシューは交換しよう
以上、自前でブレーキシューを交換したので方法とチェックポイントをまとめてみました。
ブレーキの効きは安全運転のかなめ。ブレーキの効かない自転車を運転するのは安全を損ねてしまいます。
自分のためにも他人のためにも、ぜひブレーキシューが摩耗していないかチェックして、必要ならば交換してあげてくださいね。