「失敗しても怒られない」元・格闘家が建築施工管理技士を目指すワケとは?

「失敗しても怒られない」元・格闘家が建築施工管理技士を目指すワケとは?

竣工検査後に回転寿司屋でインタビュー

スーパーゼネコンの建築現場で派遣社員として働いている福田昭文さん。福田さんは元・格闘家で、今、建築施工管理技士を目指して勉強中の33歳です。

元・格闘家から見た建設現場はどう映るのか?

お昼休みの時間を頂戴して、回転寿司屋さんでインタビューしてきました。

失敗しても怒られたことがない!

建築施工管理技士を目指して勉強中の福田昭文さん

――ちょうど昨日、竣工検査が終わったところなんですよね。ホントお疲れ様でした。

福田 ありがとうございます。おかげさまで。

――早速ですが、福田さんは工事現場でどんな失敗をしましたか?

福田 最初からそんな質問ですか(笑)

――はい。好きなだけ、お寿司を食べていいので、正直に教えてください。

福田 失敗はたくさんあります。まだまだ経験が浅いので失敗は多いです。足場の数量をミスしたり、広くない現場で建築資材の置き場を間違って指示してしまい、重機が旋回できずに干渉してしまったり。

現場監督になって最初の頃は、現場の進捗状況や、今後の現場はこのようになっていく、というイメージができていなかったんです。

――怒られたことはありますか?

福田 それが、怒られたことは一度もないんですよ(笑)所長の人柄なのか、育てていただいて本当に感謝しています。

――格闘家だったから怖いのでは?

福田 いや、それはないと思います(笑)建設現場での知識や経験がほとんどない自分が、スーパーゼネコンの現場で約1年間、着工から最後の引渡しまでいられたのは、所長に恵まれたことが大きいです。

複数の現場を担当されている所長さんなので、本当にお忙しい方なのですが、工事の進捗状況だけでなく、健康状態まで気にしてくれるなど、様々な相談に乗ってくれました。

この所長さんのおかげで、現場を最後までやり遂げられましたし、次の現場も同じスーパーゼネコンさんの現場でお世話になることになりました。

施工管理技術者として派遣会社でスキルアップ

――今回はどんな現場でしたか?

福田 工場の新築工事です。精密機器を製造する際のクリーンルームを作っていました。S造3階建で、そこまで規模の大きい現場ではないのですが、そのぶん自分が担当する分野が多岐にわたるので、とても勉強になりました。

以前に就業していた現場は、大規模な現場で作業班も分担制だったため、自分の目の前の作業や工程だけを見ていればよかったのですが、今回の現場はそれほど規模も大きくないので、自分の分担範囲がとても広かったんです。

業務内容としては、施工管理全般。朝礼から昼礼、各業者さん、職人さんとの打ち合わせ、工程にあわせた現場の管理。新規入場者教育など様々な対応を担当しました。

――施工管理者として成長した現場ですね?

福田 そうですね。この現場に来たときは、建築の専門用語も完全には理解できず、現場で迷惑を掛けてばかりだったのですが、仕事を上手く回すことができるようになってきました。自分が段取りした作業工程が無事に終了したときには達成感がありますね。

――給与も上がりましたか?

福田 はい。所属している派遣会社がいいので(笑)

現場でまじめにコツコツと努力していたことを所長も認めてくれて、派遣会社が給与交渉してくれました。給与のことも含め、自分ではなかなか言い出せないことも、派遣会社に相談すれば、スーパーゼネコンの所長さんに対して、きちんとモノ申してくれるので、労働環境も給与も良くなっています。

――でも本当は、正社員になりたい?

福田 いや、今はなりたくないですね。給与の部分が一番大きいです。それから、正社員の立場では致し方ない部分もあるかと思うのですが、派遣社員の立場から客観的に見ると、正社員としてやらなければならない嫌なところもあると思います。今の現場ではありませんが、職人さんから建設会社の正社員はサービス残業しているという話も聞きますし。

派遣であれば、勤務地も希望が通りやすいですよね。色々な現場を選べて、施工管理技術者としてスキルアップしやすい点も派遣の魅力です。

修斗の格闘家が建築施工管理技士を目指す!

――現場目線、派遣社員という客観的視点から見て、今の建設現場の課題は何だと思いますか?

福田 人手不足と工期の短さですね。なかなか言いにくいですが、短い工期で施主さんから受注してしまうことで、現場にシワ寄せが来てしまうことだと思います。厳しい工程になるとそれだけ安全にも影響しかねません。

ただ世間で3Kと言われるような、不衛生な部分はほとんどないと思います。それを発見して掃除する、させるのが 現場監督の仕事ですから。

――すぐ建設業から離れる若者については、どう思いますか?

福田 その気持ちは分かります。私も格闘家、警備業、建設現場での職人、運送業と、様々な職業を経験してきましたから。それでも建設業で生きていこうと思ったのは、やはり、ものづくりが楽しかったからです。建物ができていく工程をみながら、最後に竣工検査に合格した時はうれしいですよ。職人さんも含め、みんなでチームとして1つのことを完成させたときは感動します。

――年齢的にも近い先輩から、若者にメッセージとかありますか?

福田 石の上にも3年です。まずは続けることを前提に考えていくことがいいと思います。

たとえば自分が最初に経験した現場は、大規模な建設現場でプロパー社員も派遣社員も多かったため、正直そこまで大変ではありませんでした。でも振り返ってみると、その現場での成長はなかったように感じます。

一方、今の現場は、中規模の現場で社員も少ないので、担当分野が広く、責任も多い。けれども着工から引渡しまでの全工程を経験させてもらえたことで、スキルと経験が上がったと実感しています。辛抱して成長すること、達成する喜びを味わってほしいです。

――素朴な疑問ですが、なんで格闘家になり、辞めてしまったのですか?

福田 子供の頃から空手、合気道を経験し、その後、柔道やムエタイ、システマという格闘技を経験しました。格闘家としては「修斗」の選手として、後楽園ホールなどで試合に出ていましたが、網膜はく離を2回やってしまいました。これ以上試合に出場して、同じところを負傷すれば、失明する可能性もあると医師に宣告されてしまい、やむなく選手を引退しました。

――残念ですね。でも建設の道に入ってくれて嬉しいですよ。

福田 ありがとうございます。辞めないようにします(笑)

――好きな格闘家は?

福田 UFC(Ultimate Fighting Championship)のリョート・マチダ選手ですね。空手の技術を生かした戦い方をするのですが、自分のスタイルとも重なるのです。魔裟斗選手も尊敬しています。

――職人さんとのケンカは負けない?

福田 いや、自分は現場でケンカしません(キッパリ!)。合気道の師匠も「仲良くするのが一番強い」と常々言っていますし、合気道の「合気」は気を合わせる、つまり人の思いを合わせるコミュニケーションにも繋がります。仲間になるということが一番強いと学んできたので、絶対にケンカはしません。

――仲良くなれなかった人はいますか?

福田 建設現場では過去に一人だけ、どうしても気の合わなかった方がいます。とてもプライドの高い方で、職人さんへの業務指示とか扱い方とか、人を尊重する気持ちに欠ける方だったので、そういった部分を現場で見ていると、あまりいい気分ではありませんでした。自分もまだ仕事の面で未熟だったということもありますが、小馬鹿にされていました。

もちろん業務上はきちんと対応するのですが、こういった部分も上手く管理する所長は、やはり人間性が求められるのだなと勉強になりました。

――格闘家の経験は、建設現場で生かせますか?

福田 仕事を一緒にする職人さんは体育会系のノリなので役立っています。「合気」の部分も役立っていると思います。まだ筋トレもしていますので、現場で動き回るときにも、体力的に格闘家の経験は生きていると思います。

仕事の合間に2級建築施工管理技士の試験勉強

――休日は何をしていますか?

福田 2級建築施工管理技術検定の試験勉強と、道場で稽古しています。最近は登山にハマっていて、栃木の男体山とか中禅寺湖周辺、日光などで登っています。森林の植生が変わっていく森林限界とか、山頂からの眺めも素晴らしく、登山は達成感があります。冬はスキーもしますね。

――アウトドア派ですね。2級建築施工管理技士の資格勉強は進んでいますか?

福田 苦労しています。施工管理の仕事は日々多忙なので、休憩時間の合間に、ネットで過去問を解いて勉強しています。

――1日に何時間くらい試験勉強をしていますか?

福田 まとまった時間を取れないので、合間合間に勉強するのと、帰宅してから勉強する時間を合計すると、およそ1時間半くらいでしょうか。参考書で独学しています。

――もう昼礼がはじまっちゃうので、そろそろ終了しますか。

福田 ごちそうさまでした(笑)

――そういえば、けんせつ小町と一緒に働いたことはありますか?

福田 あります。頑張れ、って思います。

――今日はいろいろとお話聞けてよかったです。ありがとうございました。

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