マーケターなら知ってるコンバージョンを改善させる6ステップ
- 小川 卓
- 2017年6月12日
- ニュース
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ウェブアナリストとして、マイクロソフト・ウェブマネー・リクルート・サイバーエージェント・アマゾンジャパンで勤務後、フリーに。複数社のChief Analytics Officerとして活動する傍ら、個人でもコンサルティング・勉強会・執筆などの活動を行っている。
主な著書に「ウェブ分析論:増補改訂版」「ウェブ分析レポーティング講座」「漫画でわかるウェブ分析」「Webサイト分析・改善の教科書」など。
Googleアナリティクスはコンバージョンを改善するためのツールです。広告などの集客から、ランディングページ、エントリーフォームの課題点を見付けて改善するところまで行えます。
しかし、Googleアナリティクスを使い始めたばかりの方は、どのように改善をしていけばよいか、わからない方も多いと思います。
そこで、マーケティング実務者がGoogleアナリティクスを使って行っているコンバージョン改善ステップをご紹介します。ご紹介するステップは以下の6つです。
●Googleアナリティクスを使って行うコンバージョン改善ステップ
1. インパクトの多い部分を知る
2. 目標に至っているフローを知る
3. 離脱ページを知る
4. 離脱ユーザーのセグメントを知る
5. ページの改善ポイントを仮説立てる
6. A/Bテストで改善
以上が改善のステップとなります。基本は「森を見てから木を見る」ことです。実際に紹介していきましょう。
コンバージョン改善への6ステップ
1. インパクトの多い部分を知る
まずは、改善すべきポイントを知る必要があります。大規模サイトであれば改善ポイントはいくらでもあります。しかし、忙しいマーケターにとって全てを改善する時間はないはずです。そこで、何を改善すれば最もインパクトが大きいか知ることが重要です。
まずは、集客レポートでラストクリックに最も貢献している流入チャネルを調べましょう。そうすると、以下の4カテゴリーにわけられるはずです。
●流入チャネルの4つのカテゴリー
1. 流入数が多く、コンバージョン率が低い
2. 流入数が少なく、コンバージョン率が高い
3. 流入数が多く、コンバージョン率が高い
4. 流入数が少なく、コンバージョン率が低い
最も改善すべきカテゴリーは「1」です。多くユーザーが流入しているのにコンバージョン率が低い場合、いわゆるカゴ落ちが発生している状態なので早急に改善が必要ですし、改善後の効果も大きいです。
一方、「2」のカテゴリーは高いコンバージョン率の割に流入数が少ないため、母数を増やす必要があります。この時点で、どのチャネルからの流入数が少ないのかがわかるので、SEOで増やすのか、ソーシャルで増やすのかを判別できます。「3」のカテゴリーはより改善する方法を検討し、「4」のカテゴリーは改善してもメリットがあまりないので手を付けないでおきましょう。
2. 目標に至っているフローを知る
次に、ユーザーがコンバージョンに至っているフローを知りましょう。Googleアナリティクスにはコンバージョン経路を表す、目標到達プロセスレポートと目標パスの解析レポートがあります。
これにより、コンバージョンまでにどのステップでカゴ落ちが発生しているのか、どの経路でコンバージョンに至っている数が多いのかを知ることができます。この時点で、エントリーフォームが問題であればEFO(Entry Form Optimization:入力フォーム最適化)、ランディングページに問題があればLPO(Landing Page Optimization:ランディングページ最適化)、途中のページで離脱が多いのであれば対象ページがどこかを突き止める、というフローになります。
参考:
EFO【Entry Form Optimization 】とは|ferretマーケティング用語辞典
LPOとは|ferretマーケティング用語辞典
目標到達プロセス
コンバージョン > 目標 > 目標到達プロセス
目標パスの解析
コンバージョン > 目標 > 目標パスの解析
3. 離脱ページを知る
次にユーザーが離脱しているページを知りましょう。行動レポートの中にはランディングページや各ページの情報を知るためのレポートが用意されています。
離脱ページ
行動 > サイトコンテンツ > 離脱ページ
その中にはユーザーの離脱が多いページを知ることも可能です。コンバージョンまでに経由したページの内、離脱率が高いページを確認しましょう。これにより、どこにボトルネックが発生しているかを確認する事ができます。
4. 離脱ユーザーのセグメントを知る
次に離脱しているユーザーの深堀を行います。離脱しているユーザーがなぜ離脱しているかを調査します。これはGoogleアナリティクスのセグメントを使用することで可視化できます。
例えば、離脱しているユーザーをデバイス別に見ていくとスマートフォンだけ離脱率が高い場合があります。この場合、スマートフォンのUIに問題がある可能性があります。また、離脱が多いページの流入元ページを調べることで、ユーザーにとって最適な導線になっていないことがわかります。
5. ページの改善ポイントを仮説立てる
次に、どこを改善しなければいけないかを確認しましょう。
実際にページにアクセスして、どこに問題があるかを確認します。ユーザーがどこで戸惑い、操作に迷っているかを逐一メモしましょう。仮説を立てた後は実際に数値で確認します。ページにJavaScriptを設定してユーザーの行動を計測してもよいですが、Googleアナリティクスの拡張機能のページアナリティクスが使えます。こちらは、ユーザーがページに流入した後の直帰率やどのボタンをクリックしているかなどを調査できます。
ただし、あくまでこちらは簡易的なものになるので、より詳細に調べたい場合はヒートマップツールを導入しましょう。
6. Google OptimizeをA/Bテストで改善
最後に問題のあるページを改善します。その際、改善前と改善後のページのどちらが優れているかを確認する必要があります。これを行うのがA/Bテストです。ユーザーを各ページに流入させて、コンバージョン率の差異を調査するものです。
A/Bテストのツールは有償なものが多いですが、Googleが開発したGoogle Optimizeは無償で使用できます。Googleアナリティクスと連携して初めて使用できるツールですが、要素の位置やソースの変更をブラウザ上で行うことができる、極めて使いやすいツールです。
Step1.
Optimizeのアカウントを作成します。( https://optimize.google.com/optimize/home/ )
Step2.
GoogleアナリティクスとOptimizeを連携します。
Step3.
スニペットを取得し、サイトのソースに埋め込む
Step4.
対象ページのURLを設定する
Step5.
GoogleOptimizeのChrome拡張機能をインストール
Step6.
テストケースを作成し、改善したいページの要素を変更
Step7.
Saveしてテスト開始
以上がGoogle Optimizeの利用方法です。コンバージョン指標を決めておき、コンバージョン率に差が出てくると、自動的にユーザーを良いページに割り振っていきます。
Google Optimizeの詳しい利用方法が知りたい場合は下記記事も参考にしてみてください。
参考:
「Google Optimize(BETA)」で無料かつ楽にA/Bテストを設定しよう(準備編)|Googleアナリティクスを一から学べる情報サイト|アナリティクスガイド
「Google Optimize(BETA)」で無料かつ楽にA/Bテストを設定しよう(結果確認編)|Googleアナリティクスを一から学べる情報サイト|アナリティクスガイド
まとめ
このように、コンバージョン改善までのステップを述べていきました。ただし、実際は改善しても効果が出なかった、逆に悪化したなどの現象が発生します。しかし、この繰り返しこそがコンバージョン率を上げていきます。劇的に改善されるケースは非常にまれです。よって、諦めずに改善していくことが求められるでしょう。