ズルい? 悪いと思ってない人も? どう防ぐ「不正折り返し乗車」 苦悩の鉄道事業者

横浜高速鉄道が2017年5月17日から19日まで、みなとみらい線で不正乗車防止運動を実施しました。悪質な不正乗車には正規運賃と増運賃を要求すると呼び掛けていますが、常習者の罪の意識は低く、後を絶ちません。

きっぷを持たなければ不正乗車

 Bから上り列車に乗ってA駅に向かう場合、いったん下り列車に乗ってC駅に行き、上り列車に着席してA駅に向かう。これが「折り返し乗車」と呼ばれています。B駅から乗ると混雑して座れないけれど、逆方向のC駅から乗れば座れる――実行する人にとって「賢い方法」と思うでしょうし、B駅から乗る人にとっては「ズルい方法」に見えます。

みなとみらい駅に掲示された不正乗車防止のポスター(杉山淳一撮影)。

 この場合、折り返し乗車をする人が、C~B間の往復に有効なきっぷを持っていれば問題ありません。実際にC~A間の定期券を購入している人もいます。しかし、B~A間のきっぷや定期券しか持たない場合は、C~B間は無賃乗車となります。

 改札口を出なければ良い、と勘違いする人も多いようです。しかし、きっぷに指定された経路以外の区間を乗車する行為はダメです。改札口を突破すれば無賃乗車、改札口を出なくても経路外乗車、どちらもキセルと同等の不正乗車です。通勤時間帯に座りたいという理由だけではなく「A駅からB駅へ向かう際に、C駅の駅ナカで買い物をする」という行為も不正乗車になります。

乗車券を持たずに乗ると不正乗車となる。

 不正乗車による折り返し行為は、通勤で混雑する路線では少なからず起きているようです。路線の始発駅に行けば確実に座れます。しかし、鉄道事業者にとって取り締まりは難しいようです。列車の扉付近ですべての乗客のきっぷを確認すれば確実ですが、すべての扉に人員を割けませんし、混雑が激しくなり列車が遅れてしまいます。ほとんどの鉄道事業者では対策を明らかにしていません。過去の報道をみると、悪質な常習者を発見した場合にしばらく追跡するなどして実態を確認し、個別に対応しているようです。

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コメント

6件のコメント

  1. 下車客と乗車客の動線を柵などで完全遮断するしかないが、物理的にムリだろう。
    残念ながら呼び掛けで解決できるほど、世間様(含自分)は倫理性が高くない。

    一般的に途中駅からの始発列車(優等列車ならば尚良し)が出来れば多少は解消される(誤方向に行くことがなくなる)だろうが、東京圏ではなかなか難しい。

    交通ICが普及したことを逆手にとり、例えばホームにスキャンをかけまくって不正行為既遂情報をICに登録して出場時にペナルティ運賃を強制控除・・・なんてことが出来るわけもないし。
    (というより技術的に如何なのだろう?詳しい方ご教授いたたけませんか。)

    何か打つ手はないか。

  2. 折り返し駅で一旦車内整理(ドアを閉めて車掌が見て回る)をすればすむ話。過密ダイヤで編成が長ければ、ラッシュ時のみ駅ホームに嘱託社員を追加すれば時間もかかるまい。
    一旦降りることで列の最後尾に並ぶことになり、折り返すメリットがなくなる。

    • どっこい“列に並ぶ”から問題なわけ。
      次発ではなく次々発、その次発の着席を狙って折り返し乗車するわけさ。
      結局いたちごっこになってしまう。

    • みなとみらい線の場合は、
      途中駅なのがややこしい。

      だから一旦全員下ろせという手段が使えず、
      過度に乗降もしくは方面分離が出来ない。

      元町(始発駅)からの列車が、
      軒並大混雑なら…
      というのもない模様。

  3. >折り返し乗車をする人は、不正をしたいのではなく、座りたいのです。

    現実乖離発言ご容赦。
    ひとり単位で座面を収納できる車両を開発する。ICカードで使用料決済をして座面を降ろして着席。立ち上がると収納されて次の課金まで待機状態。規定駅での乗務員操作で着席状態の席に対し警告音が鳴り離席と降車を促す。
    ……互いに空気読みすぎで事実上の立席車両になるぞとか、直通他社間の料金精算どうするんだとか、誰かが課金した途端に隣の馬鹿が座って乱闘が発生するぞとか、問題ありすぎ。

  4. せこいな、