東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

読むと赤面「共謀罪」答弁 「コッカイオンドク!」全国一斉実施

神奈川県藤沢市で、「共謀罪」法案を巡る国会論戦を音読劇で再現する市民ら=11日

写真

 笑えない国会審議の再現劇はやっぱり笑えなかった。「共謀罪」法案を巡る国会審議を音読する活動「コッカイオンドク!」が十一日、東京や神奈川など全国四十四カ所で一斉に行われた。国会の議事録を基に書き起こした迷言や珍問答を声に出して読むことで、国民置き去りの国会審議の問題点を浮き彫りにする試みだ。金田勝年法相などの役になってみた市民らの感想は−。

 神奈川県藤沢市のJR藤沢駅北口の広場では十一日、「金田勝年法務大臣」などの配役を記したパネルを首から下げた参加者が、国会でのやりとりを書き起こした台本を読み上げ、論戦を再現した。午後四時から約一時間。通行人らで百人近い人だかりができた。

 「ただいまのご指摘はですね、その一般の方々が、その集団に属しておる方々が、一変した場合の組織的犯罪集団に、えー、そのまま属している場合に、その、みなさんが『関わり合いを持つ』ということになるわけであります」

 金田法相の答弁を、参加者の会社員内藤繁さん(55)=藤沢市=が読み上げると、別の参加者から「何を言ってるのか分からない」と声が上がった。失笑も交じる。法務省の担当者役の参加者が、金田法相に後ろから何度も答弁を耳打ちする場面もリアルに再現した。

 内藤さんは「台本をよく読んできたが、実際に言ってみても意味が分からなかった。犯罪の計画をしたとあらぬ疑いを持たれてしまったら、『違う』と反論するのは難しいのでは。冤罪(えんざい)が増えてしまうんじゃないか」と心配そうだ。

 藤沢での「コッカイオンドク!」を主催し、安倍晋三首相役などを務めたバレエピアニスト朝倉優子さん(53)=同市=は「市民がなりふり構わず声を上げている姿を見てもらい、国会を動かしたい」と力を込めた。

 東京都調布市若葉町の市東部公民館の和室には、二十人が集まった。「安保関連法に反対するママの会@調布」の主催。金田法相役をした世田谷区の藤川哲也さん(54)は「文章として成り立たない発言がよくできるなと、読んでいて恥ずかしくなった」。

 社会起業家の渡邊智恵子さん(65)らが企画した東京都港区白金台での会には、「コッカイオンドク!」を発案した金沢市の主婦小原美由紀さん(52)も参加した。五月中旬、小原さんが仲間と始め、全国に広がったオンドク。今回は一斉に開催しようとインターネットなどで呼び掛けた。「全国の人々が動いてくれた。私たちは微力だけど、決して無力ではない。微力がたくさん集まればまだ何が起こるか分からない」と訴えた。

◆22都道府県で再現劇

 11日の全国一斉コッカイオンドク!は、北海道から鹿児島まで全国22都道府県で行われた。

 金沢市の路上で行われた音読で金田法相を演じた北陸大2年木林純太郎さん(19)は「追い詰められ、うやむやにしなきゃという(政府側の)思いを感じた」。名古屋市南区では子育て中の母親ら15人が集まって挑戦。参加した弁護士田巻紘子さん(39)は「法案の中身に加えて審議もごまかしばかりだとよく分かる。法案の疑問点はちっとも解消されていない」と批判。札幌市で会を開いた神代(くましろ)知花子さん(39)は「市民の関心を高めたい」と強調した。

<コッカイオンドク!> 衆院予算委や法務委などでの共謀罪を巡る攻防を、金田勝年法相や野党議員になりきって再現する音読劇。5月15日に石川県で始まり、共謀罪に反対する市民グループらが自主的に全国で開催している。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報



ピックアップ
Recommended by