ちょっと今再評価中なのがヴァント。
かつては20世紀末、ブルックナー指揮者として、国内では朝比奈御大と人気を二分した。
僕はもちろん朝比奈派だったので、ライバル視じゃないけれど、ヴァントは乗れなかった。
最後の来日公演も、ペットはトチるし、あまりいい印象なかった。
でも最近、じわじわ来てるんだよなぁ。
ブル5もブル8も悪くない。
これは昔から評価していたが、ブラ1、迫力と響きの透明感、とてもいい。
そして最近発見した、ベルリン・ドイツ響との「英雄」、おお、これはいい!
速いだけのスマートな演奏は腐る程あるが、これはちゃんと鳴り切っている。
ペットとティンパニの最強奏、デカいだけじゃなくて、音色が鋭くていい。
ヴァントは音響とテンポには本当気を遣ったらしいからね。
そして普通の演奏からは聴き取れない音型の描写に驚かされる。
凄いじゃないか!
当時の「レコード芸術」のインタビューを覚えているが、公演直後にスコアを広げて、ここはダメだった、とかここはこうするはずだった、とか、反省会に徹しているのも、求道者のようで、カッコ良かった。
多少トチったけど、まぁいいじゃないか、飲みに行こうぜ!の朝比奈御大とは対極的な、しかしだからこそ、充分に個性的な指揮者だったと思う。
ちなみに上の動画は珍しいBBC響との演奏。