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G7環境相会合、溝埋まらぬ米と6カ国 説得先送り

2017/6/12 6:43
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 【ボローニャ(イタリア北部)=原克彦】11日に開幕した主要7カ国(G7)環境相会合は、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」を巡る米国と日欧・カナダの溝が埋まらないまま初日を終えた。プルイット米環境保護局(EPA)長官は午前の討議後に会合を離れ、英仏は国内政治の事情で閣僚が不在。パリ協定からの離脱を表明した米トランプ政権の説得には先送りのムードが出てきた。

パリ協定を巡る米国と6カ国の溝は埋まる見込みがない(11日、伊ボローニャ)=代表撮影
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パリ協定を巡る米国と6カ国の溝は埋まる見込みがない(11日、伊ボローニャ)=代表撮影

 12日までを予定する同会合は、日欧とカナダの6カ国がパリ協定の推進を巡りどう米国に対応するかが焦点になった。トランプ米大統領が協定離脱を宣言してから10日での開催で、翻意させるのは難しい状況だ。

 議長国イタリアのガレッティ環境相は「パリ協定への姿勢には大きな乖離(かいり)があり、今後もそのままになる」と報道陣に語った。出席した国連環境計画(UNEP)のソルヘイム事務局長は「ホワイトハウスで何が起きようと、日欧とカナダは気候変動への取り組みを推し進める」と述べ、米国の参加にこだわらない考えを示した。

 プルイット長官は開幕前に山本公一環境相と会談した。日本政府関係者によると「(パリ協定の親条約に当たる)国連気候変動枠組み条約の締約国として二酸化炭素(CO2)の排出削減に取り組む」と発言。温暖化防止策には背を向けていないと説明した。山本環境相は「米国と一緒にパリ協定の枠組みで働きたい」と伝えた。

 討議では6カ国がそれぞれ米国のパリ協定離脱に不満を表明した。地球温暖化に懐疑的なことで知られるプルイット氏は午前の討議を終えた段階で早退した。トランプ大統領との会議が理由という。

 英仏閣僚の欠席も響いた。英国は8日の総選挙で与党の保守党が敗北を喫し、新内閣の環境相が会合までに決まらなかった。フランスのユロ・エコロジー相は11日に国民議会(下院)選挙が行われているため12日だけ参加する予定。AFP通信によるとドイツのヘンドリクス環境相は12日の討議に参加しない。

 パリ協定は気温の上昇を産業革命前に比べ2度未満に抑える目標を掲げ、2015年に採択された。経済成長で排出量が増えた中国やインドなどほぼ全ての国・地域が20年以降の対策に参加する内容で、16年に発効した。

 トランプ氏は大統領選の選挙活動からパリ協定を痛烈に批判。5月の主要国首脳会議(タオルミナ・サミット)でも米欧間の最大の対立点となった。トランプ氏は離脱表明の際に協定を再交渉する意向を示したが、独仏伊はその直後に応じないとの共同声明を発表している。

 環境相会合は12日に成果文書を採択して閉幕する予定。環境問題で干ばつや海面上昇などに直面するエチオピアやモルディブも招待されている。

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