米国映画「Hidden Figures」の邦題「ドリーム 私たちのアポロ計画」がひどいと話題だ。BuzzFeedが配給会社の20世紀フォックスに聞いて記事にした後、ねとらぼが邦題から「私たちのアポロ計画」を削除し、「ドリーム」としたと報じた。アポロ計画は関係ないのだから当然だ。
でもなぜ「ドリーム」を残したのかという疑問が残る。もっといいタイトルがあるだろう。単純に「隠された数と人」でもミステリアスだしいいかもしれない。
それでも「ドリーム」。なぜこだわるのかがわかった。
あくまでも推測だが。
それは、「Hidden Figures」が1960年代米国の黒人女性3人を中心にしたストーリーだからだ。
60年代、モータウンにはたくさんの女性コーラスグループがいて、その多くは3人組だった。その代表格がザ・シュープリームズ。リードシンガーはダイアナ・ロス。
メンバーの1人であるメアリー・ウィルソンによる自伝を元に、グループ名やストーリーを少し変えて映画化したのが「ドリームガールズ」。ダイアナ・ロス役をビヨンセが、メアリー役をアメリカンアイドル出身のジェニファー・ハドソンが演じ、大ヒットした。
音楽ビジネスで黒人女性が努力し、成功を勝ち取って、というストーリー。
「Hidden Figures」もやはり舞台が60年代でオールディーズが流れる。モータウンじゃなくてヒューストン。音楽ではなくて数字。ミュージシャンじゃなくてエンジニア。ステージではなく、ロケット。
「わたしたちにとって、このロケットがステージなのよ!」とか言い出しそうだ。
ただ、あからさまにドリームガールズっぽいタイトルをつけるのは配給会社も違うしアレなので、適当に「私たちのアポロ計画」と追加したのではないかと、これも推測。
でも、「ドリーム」だけでもドリームガールズは想起できるだろうから目的は達せられたのではないだろうか。
まあ、こういうのがなくてもエンジニアの話はITmedia NEWS読者なら魂を揺さぶられると思うので紹介したという次第だ。
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