Send Feedback

It's just a few simple steps!

Register for a FREE pixiv account!

Enhance your pixiv experience!

Enables features such as re-submitting work, hiding ads, and other convenient features!

Get pixiv Premium

Welcome to pixiv

"幸せの形", is tagged with「あれ?画面が滲んで見える…」「涙腺崩壊」and others.

これが二人の幸せの形。この作品は見る方によって落ちの意味が変わると思われます。死...

丸

幸せの形

4/13/2014 23:53
これが二人の幸せの形。

この作品は見る方によって落ちの意味が変わると思われます。
死ネタですので、どうか覚悟を持って読んで頂けると幸いです。

ブクマ、コメント、メッセージ、タグ、評価して下さった方々本当にありがとうございます(*´`*)
「五百川くんに、プロポーズされちゃった…!」

真っ赤な顔をして帰宅し両手で鼻と口を覆ったひよはもう24歳。
そしてその左手の薬指に今朝会社に行く前にははめていなかった指輪がきらりと輝いていた。

「あ、あいつ…とうとうやりやがった…」

ビール缶を握りつぶして机に突っ伏し項垂れる桐嶋さんに俺は苦い笑みしか浮かばなかった。
俺の娘が、あのくそ餓鬼、とぶつぶつ呪いの様に呟きながら唸っていた桐嶋さんがひよが直ぐ目の前に座ったことでのろのろと顔を上げた。
真っ赤になったままのひよはまだ夢心地の表情で、俺は桐嶋さんと同じように大事な娘が取られしまった寂しさもあったが何よりも嬉しさがこみ上げる。

「…ねぇ」
「嫌だ」
「まだ何も云ってないじゃないー!」
「絶対に、嫌だ。隆史、隆史助けてくれ!娘が取られちまう!!」

再び突っ伏して泣き真似をする父親に、唖然という表現が近いぐらいにひよは桐嶋さんを見下ろして溜息を漏らしていた。
分かるな、俺もこの人の子供みたいな我侭に何度溜息が漏れたか分からん。

「もう、お兄ちゃん呆れてるから」
「んな事ねーよ、隆史はいつだって俺の味方だからな。なー隆史ー?」

なー?と云われても俺は困る。
何となく居心地が悪くなりそっとソファに逃げて腰を下ろしテーブル席で未だに言い争いしている二人を眺める。
ひよが五百川くんに中学に入って告白された事も、それから付き合っている事も、実は桐嶋さんより早くにひよから相談受けていたので知っていた。更にいえば今日プロポーズされるであろう事も実は知っていたのだが。
暫く眺めていれば結局寝室にまで逃げ込んでしまった桐嶋さんだったが大好きな愛娘に勝てるわけも無く、ぽっきりと折れてしまい今度五百川くんと会う事になったらしい。

「はー…暫く立ち直れねー…」
「もうっ、五百川くんが良い人だってお父さんも知ってるでしょ?」
「五百川って名前がなぁ…」
「え?」

…桐嶋さん絶対にあの事根に持ってやがるな。
ま、あの五百川さんは結局2年ぐらいで出会った人と結婚して子供が出来てたがな。今では、あのエレベーターでの出来事とか色々な事は良い思い出だ。

「お父さん」
「あ?」
「私、幸せだよ。お父さんと、お兄ちゃんがそうみたいに」
「ひよ…」
「私にとってお母さんは一人しかいないけど…大好きな人と一緒にいる温かさとか幸せは全部お父さんとお兄ちゃんが教えてくれたんだよ。だから、私にとっての幸せな夫婦の見本はお父さんとお兄ちゃんなんだから。私ね五百川くんとならお父さんとお兄ちゃんみたいになれるって思ってるの」

あ、桐嶋さん泣いてやがる。
俯いてしまったふわふわと癖のある髪をゆっくりと撫でるように手を動かした。
黙っていた桐嶋さんが震える声を堪えながらプライドを手繰り寄せてひよに涙を見せまいと声を掛ける。

「…ひよ、風呂、はいってこい…明日も早いんだろ」
「ふふ、はーい。お父さんの目の赤みが無くなるまでゆっくり浸かって来るからね」

嬉しそうにぱたぱたと風呂場に向かうひよを見送り、深く息を漏らしてからベランダへ出て行き扉を閉めた桐嶋さんを追いかける。
乱暴に袖で涙を拭うと夜空を見上げる桐嶋さんの隣に並びそっと横顔を見つめる。

「隆史…とうとうひよが結婚するな」

なんだ、もう五百川くんの事許してんじゃねーか。
つい笑い声を漏らすと桐嶋さんはそんな俺とは裏腹に息を漏らした。父親としてずっと育ててきた娘の小学生からの同級生で長年知っていたとはいえ、やはり取られてしまうのが寂しいのだろう。桐嶋さんから視線を逸らして手摺に寄り掛かりながら、少しだけ、ほんの少しだけ距離をつめて頭を傾け桐嶋さんの肩に寄り掛かる仕草をした。

「俺達が見本だってさ」

あぁ。

「お前と付き合ってるってひよに云った時には知ってたなんて云われて、お前すげー驚いたが…まさか見本にまでしてくれてるとは。流石に俺も思わなかったからびびった」

俺も、びっくりした。

「こんなちゃらちゃらした父親見本にしたって事は、五百川くんはちゃらちゃらして俺に似てんのか?うわー…絶対に嫌だ、駄目だ」

自分で云うな、自分で。あんたを選んだ俺はどうなるんだよ。

「あーあ…。ま、好きになったもんは仕方ねーな。俺も桜にも、隆史にもそうやって惚れたんだもんな」

惚れたもん負け、だな。
ふわりと優しい風が桐嶋さんの髪を撫でた。






五百川くんが桐嶋さんに土下座をしてから一ヶ月、ひよは桜が咲き誇る満開の時期に式を挙げた。
ウエディングドレスを身に纏ったひよは、それはもう驚くぐらいに美人で桜さんにそっくりだった。桐嶋さんがやっぱり嫁にはやりたくないと駄々をこねていたが正直本当に往生際が悪いというか何というか。
挙句の果てに少しばかりふてくされた顔をして親族の席に座る姿に若干引いた。分かるが、気持ちは分かるが、本当にあんたは子供か!

「お父さんへ」

傍に寄り添いすっかり消沈している桐嶋さんを見つめていた視線をスポットライトを浴びてスピーチを始めたひよに向ける。

「物心つく前にお母さんを亡くした私にとって、お父さんが全てでした。仕事が忙しい時も、高熱で苦しい時も、寝不足の時も、お父さんはいつだって私の事を一番に考えてくれて、いつもいつも守って導いてくれました」

きゅっとひよが唇を噤む。

「そんなお父さんに、大切な人が出来ました。私にも優しくしてくれた、私も大好きな人です。お父さんにとってきっと何よりも大切な人なのに、それでもお父さんは私を一番に考えてくれていて、その大切な人の事でずっとずっとお父さんを我慢させてしまいました」

手にしていた手紙を震える指先で落とさないように掴んだまま、そっと腕を下ろしひよは真っ直ぐに桐嶋さんを見つめてきた。

「お父さん、私、お嫁さんになりました。新しい家族が出来ました」

大きな瞳からぼろぼろと零れる涙を拭うことなく、目を赤くして声を震わせながらひよは尚も続ける。

「私は、もう、大丈夫だから!」

悲しみから溢れる涙と一緒に、懸命に笑顔を作って桐嶋さんを見た。

「もう、もう、我慢しなくて良いんだよ。…お父さんは、お父さんのやりたいようにして良いの。だから、だからね…お兄ちゃんの」
「日和!」

黙って聞いていた桐嶋さんが立ち上がると、ひよの傍まで駆け寄って強く強く抱きしめる。
ドレスが皺になってしまうことも、桐嶋さんのスーツに日和の涙や鼻水が染みてしまうことも一切気にせず。ずっとずっと一人でひよを守ってきた両腕で背がしなるほどに抱きしめる。
ひよも、手にしていた手紙を落とすと桐嶋さんの背に両腕を回してつま先を立てながら強く抱き返す。

「日和、日和…お前は俺にとってお父さんにとっての宝物だ。お前が俺の子供として産まれてくれて、ここまで無事に育ってくれて…一生を誓える人に出会えて…本当に、本当に良かった」
「う…ひ、っく…ぱ、パパぁ…っ」
「愛してる日和、お父さんはずっとずっとお前を見守ってる」
「ぱぱ、ぱぱ…ごめんなさい、ごめんなさい…!パパが、したいこと、気付いてた。でも、ずっと、ずっと私のせいで…私がいたからパパは…っ」
「日和…お前がいてくれたからお父さんはずっとずっとこうして立っていられたんだ。お前が愛おしくて仕方ないから。日和のことを一度も恨んだりしちゃいない。こんなに綺麗な姿を見れて本当に、本当に俺は世界一幸せな父親だよ」
「う、うう…う、うっ」

涙で化粧も崩れぼろぼろになったのに、ひよはとても綺麗だった。
同じ色をした髪を触れ合わせながら額同士が擦り合わさる。子供のように泣くひよと、静かに涙を流す桐嶋さんの涙が同時に頬を伝い布へと吸い寄せられた。

「パパ…私幸せだよ…パパの子供になれて、本当に幸せなの…っ」
「あぁ」
「幸せを沢山教えてくれてありがとう…次は、パパが幸せになる番だよ」

そっと抱擁を解いた二人で新婦の親族の席を見詰める。
ひとつ、空席の椅子。

「パパ…必ず毎年会いに行くから。絶対に会いに行くから」

ひよの指先が桐嶋さんから離れる。

「ありがとう…日和。待ってるよ」







世界一馬鹿な人だと思った。
その馬鹿で、でもどうしようもなく大好きなその人の横顔を俺は黙って見詰めていた。車のハンドルを握る桐嶋さんの手に力が篭った。
結婚式を終えて二次会にも参加せずに桐嶋さんは車へと乗り込みエンジンを掛けるとアクセルを踏み走りだした。その隣に腰を下ろした俺はミラーにひよが着替えもしないままこの車を泣きながら追ってきている姿が映し出されている事に気付き思わず振り返る。どんどんひよは小さくなり、やがてその場に縺れながら崩れてしまった。道を曲がりひよが見えなくなる直前で、五百川くんがひよを支えている姿にホッとした。
車内に会話は無かった。
ただ、桐嶋さんが運転をしながら静かに涙を流し、偶に袖でぬぐったり鼻をすする音だけが落ちる。
そして暫く走った車は、海の見える高台へと辿り着き漸く停車した。
桐嶋さん、と声を掛けた。返事はない。
ハンドルに両腕を乗せて額をそこに預けて俯いていた桐嶋さんは、徐に車から降りると上着を脱いでシートに置きポケットから財布を取り出しその上へと投げ置く。そのまま高台のある崖へと上っていく背を慌てて追いかけた。
桐嶋さんの腹あたりの木の柵で遮られた海を一望できる崖で桐嶋さんは大きく手を広げ息を吸い込み、夕暮れに染まった空を仰ぎ見た。

「たーかふみ」

おう。

「すまん、待たせちまったな」

…別に待ってねーし。

「見てただろ?ひよ、めちゃくちゃ綺麗だったろ。あー…五百川くんがひよを泣かせたら俺呪える自信あるわ」

綺麗だった。すごく綺麗だったな。

「ちゃんと幸せになって欲しいな。誰一人欠ける事無く…日和と五百川くんと、その内出来る子供とずっと一緒に」

そうだな。

「隆史」

ん?

「隆史…」

桐嶋さん。

「漸く、会いに行ける」

俺がずっと後ろから見詰めていた大好きな背中が、ふっと揺れたかと思うと。
目の前から消えた。
その先の崖と、崖の下で波打つ音だけが耳に届いて桐嶋さんの声は聞こえなくなった。
桐嶋さんの立っていた足元には…革靴が残されていた。






「あのね…五百川くん。…聞いて欲しいことがあるの。私の大好きなお父さんと…お父さんが愛した大切な………10年前に亡くなった横澤のお兄ちゃんの話」






俺、横澤隆史は10年前に死んだ。日和が14歳、桐嶋さんが40歳間際の時だ。俺は…確か32歳だったと思う。
死んだ理由は交通事故。驚くくらいにあっという間の人生だった。
死後の世界は漫画で色々と想像されていたけれど、実際来てみれば地獄も天国も無い、いまだに良く分からない。この地球にいるのだから死んだ実感も無い。姿が鏡に映る事も無いので鎖骨から上はさっぱり分からないがとりあえず服装は死んだときと同じでスーツだった。
生きている人間と同じように徒歩でしか行動できない、唯一違うのは生きている人間には見えないという点と、すり抜けたりは出来る事だった。俺は事故現場から直ぐに桐嶋さんを探した。
桐嶋さんは、俺が死んだことを知って死体と向き合っても涙を流さなかった。ひよは可哀想になるぐらいわんわん泣いていたっけか。
俺は桐嶋さんが泣かなかった事を薄情だなんて一度も思わなかった。

ずっと二人を見守っていて気付いた事がある。
桐嶋さんもひよも俺を変わらず家に置いていてくれた。
桜さんは本当に家族だったのだから仏壇を家に置けたが、生憎俺は結婚もしていなかったし、桐嶋さんとの関係は伝えていなかったから仏壇は実家だ。
だからせめてと思ってくれたのだろ。ずっと居なくなってから10年間この桐嶋家ではまるで俺がまだ一緒に居るように二人は俺に問いかけたりしていた。本当にずっと傍に居て返事をしていたが、当然二人にその言葉は届いては居ない。
式場で俺の席まで用意されてた事に、死んだ後でもこんなに幸せなことってあるのかと驚かされた。

…桐嶋さんが死にたがっていると気付いたのはいつだっただろうか。確か墓参りに来てくれた時だっただろうか。
「会いたい」
ただその一言呟いただけの桐嶋さん。それでも俺はその重みを知ってしまった。
絶対に来るな。早く俺の事は忘れて幸せになれ。幸せにしてくれる人だってちゃんといる。そう何度も思った。
思っただけだった。
口に出しても生きている人間に決して聞こえないと分かってはいても、俺はそれを言葉になど出来なかった。
桐嶋さんに会いたいと願ったのは俺も同じだったから。

波の音が、やけに耳に付く。






「たーかふみ」

夜空の下で革靴を眺めていれば先程まで目の前に居た愛おしい人の声が背中から聞こえる。そして、腕が直ぐに回っていた。
この温もりを知ってる。この声を知ってる。この腕も知ってる。

「来ちまった」

来ちまった…

「じゃ、ねーよ…っ」

幽霊も温もりを感じるんだ。幽霊も会話が出来るんだ。
幽霊も、泣けるんだ。
後ろから抱き締めてくる腕を振り払い面と向かうと、その顔を見てまたぼろぼろと涙が溢れる。式場で泣いていたひよみたいにぼろぼろと。
背に回った腕を覚えてる。触れ合う体温を覚えている。声も、息遣いも、くすぐったい髪質も、何もかも覚えている。

「桐嶋さん…っ、桐嶋さん…!!」
「隆史…隆史、ずっとずっと会いたかった…」
「くそ、ばか、死ね!なんで、なんでひよを一人にしたんだ…!」
「いや、もうマジ死んだんだけど。ひよは一人じゃねーだろ?ちゃんと家族が出来た…俺がいなくても大丈夫だ」
「けど…っ」
「それにひよは俺がお前に会いたがってる事も知ってた。だから…やりたい事して良いって言葉に甘えた。式場で抱き締めた時にお兄ちゃん大好きって伝えてって小さな声で言われたしなぁ」

俺は桐嶋さんにまた会えた。
自分を殺してまで会いに来てくれた。それがとても罪深いことを知っている、どんな理由であれ自分であっても人を殺すことなど決して許されることではない。
桐嶋さんが裁かれ罪になるというのなら、どうか俺も一緒に裁いて欲しいと願った。恋に溺れたおろかな共犯者なのだから。
地獄になら一緒に落ちていきたい。もう二度とこの人と離れたくは無い。

「それに、俺ももう長くなかったし…余生なんざいらねーし」
「…」
「その様子だと知ってるんだな、俺の病気のこと。まぁ…お前には見守ってんなーってたまに感じてたが」

桐嶋さんは末期の癌だった。余命半年と云われていた。
それを医者から告げられたときに、この人が余命よりも早く死ぬ決意をした事を俺は悟った。
ひよの結婚がその期間に行われたのも、ひよが桐嶋さんから病気の話を聞いて泣きなが五百川くんに連絡したのがきっかけだろう。五百川くんも桐嶋さんが生きている間にひよの花嫁姿を見せたいと思って僅か1ヶ月でプロポーズをして結婚式まで挙げてしまったのだから。
まぁ、なかなか言い出せない五百川くんの背を押したのが桐嶋さんの余命宣告だったわけだ。

「隆史…待たせてすまなかった」
「桐嶋さん…」
「10年もずっと、一人にしちまって悪かった。もう絶対に離れない…俺はずっとずっと傍に居る」
「でも…こっちには桜さんが…」
「桜とはさっき話した」
「え!?」

思わず身体を離して顔を見詰める。
桐嶋さんの姿は死んだ時と同じ姿だった。目の周りの皺が増えた、でもその瞳の優しさは変わらない。

「お前を大事にしたいって、ちゃんと云った」
「そ、んな…でも、桜さんだって…ずっと一人で…」
「あいつは…何もかもお見通しだったよ。俺がお前を選ぶことも」

―日和を育ててくれてありがとう。…行って、禅くん。

ふわりと桜の花びらが一枚俺達の間を通り抜けた。
その花びらが落ちるのを見守っていたが、また桐嶋さんに強く抱き締められる。

「桜が最後に俺に願ったのは、桜よりも大事な人を見つけて幸せになる事だった。けれど横澤…お前と誓ったのは一生を共に傍にいる事だ、お前を幸せにしてやれる男はいないって云っただろ?」
「だけど…っ」
「お前が良いんだ、お前じゃなきゃ…駄目なんだ」

近づいた顔、合わさった唇。
忘れていた温もり。俺にはもう無いと思っていた温もり。凍えそうな心が温まっていく。

「ん?」
「桐嶋さん?…って、な、なんだ?」

ぽう、と俺と桐嶋さんの身体が淡く光る。きらきらと光る肌に驚いていれば、スッと一筋の光が天から伸びて俺達の足元まで辿り着いた。

「…もしかして成仏ってやつか」
「そ、そうなのか?」
「そうなるとお前って成仏できない漫画だと怖がれるタイプの幽霊だったんだな」
「う…」
「これって俺も天国行けるって事か?良かった。どうやってお前を地獄に引きずり込むかずっと考えてたんだよな」
「なっ、あんたなぁ!」

桐嶋さんの指が、俺の指に絡む。

「行こうぜ隆史、もう二度と離さない。ずっと一緒だ」
「…やっぱりあんた死ぬ前にエメ編に行くべきだったんじゃねーの」
「あはは!生まれ変わったらそうしても良いかもなー、お前はまた営業で俺の作り上げる少女漫画売ってくれよ」
「ったく、仕方ねーなぁ」

絡めた手をそのままに、俺達は長い長い光の道を登って行った。
今度こそずっとずっと二人で居られる場所へ。






「お父さん約束どおり来たよ」

日和が青空を仰ぎ見てから五百川とそして、小さな子供と三人で墓の前で手を合わせた。

「お兄ちゃんと仲良くしてるかなー?お父さんったら直ぐお兄ちゃんに甘えて迷惑かけるから心配っ」

―ひよは良く分かってるな。
―ひよ、違うぞ、隆史が迷惑かけられるの好きなだけだ。
―はぁ!?

二人で言い争うのが聞こえたかのように、日和が振り向いて、笑った。






END

もう一度、横澤さんが亡くなったと認識しながら初めから読み直していただけると嬉しいです。

Send Feedback

We are actively accepting feedback for future improvements to pixiv.
Do let us know if you run into any problems while browsing the site.
We may not be able to reply every message we receive, but we promise you that our team will go through every single message.
Type of Feedback
Your Feedback
Type of Feedback:
Thank You!
This site is constantly updating.
Give us your feedback if you have any concerns.